ランク Bの上

 

4人の子供を持つ万年係長の

 貧しい一家に起る小さな?波風を

   温かく描いたホームドラマです。

 

 

高峰秀子映画祭で観ました。

 

 

山田五十鈴、笠智衆、佐田啓二という

  豪華俳優陣出演作品で、

    特に、岸恵子の

      映画デビュー作品です。

 

敗戦後6年という日本が貧しかった時代です。

 

借家に住み、真面目な会社員の父親笠智衆と

 しっかり者の母親山田五十鈴演じる家族です。

 

  (貧しいとは言っても、

     当時では、中流階級になるはずです)

 

悪役が登場しない、

   典型的な善良ホームドラマです。

 

この映画で驚いたのは、

  森永製菓、高島屋との企業タイアップを

    しっかりとしていたことでした。

 

  (敗戦後の日本映画界の

      資金不足のためなのでしょう) 

 

山田五十鈴演じる母親が

 自分の達成できなかった夢を

   高峰秀子演じる長女に託す映画です。

 

 (私の母も同じでした。

 

  トンマな私を、

    ベートーベンにしようと

      ピアノ教室へ通わせ

    ゴッホにしようと、絵画教室へ通わせ

    アインシュタインにしようと、

      そろばん塾へ通わせようとしましたが

    すべて、すべからず、間を置かず

      私は拒否しました。

 

     ことの顛末は、テーマ「ファミヒス」記事に

        書いています。

 

     妻も、娘にピアノ、習字、バレエ、合唱と

       通わせましたが、私の血を受け継いだためか

          すべからず通わなくなりました・・・トホホ。)

 

      「子は、親の思うがままに育たぬもの」 

 

家庭に生まれた小さな喜びと失望

  夢と希望をもって、明るい将来を信じ

     家族愛で乗り切る映画です。

 

この映画は、高峰秀子演じる長女が中心ですが

  山田五十鈴演じる母親が主役かもしれません。

 

   戦前からの大女優で、4度の結婚以外に

    衣笠貞之助監督との同棲、など

     数々の恋愛遍歴をしています。

 

   最初の夫との間の娘は

     女優の嵯峨三智子です

 

 

文句を言わず、自分の運命を受け入れ

  子供のためにすべてを尽くすという

     旧来の母親像を描いています。

 

日常に起る出来事を、

  丹念に描いた家族愛の物語です。

 

たわいのない映画ですが

  俳優陣の演技力の高さと

     職人技の演出で

        爽やかな作品となっています。

 

監督は、手堅い素直な作風で

 庶民の生活を活写した中村登監督です。

 

 (文芸作品が得意な監督ですが

   実は、私は多くを観ていません・・・すいません

 

  2度、アカデミー賞外国語作品賞にノミネートされた

   こともある実力派監督です。

 

  花柳界育ちの東大英文科卒のエリートです。)

 

 

原案・脚本は、

 女性脚本家の草分けの田中澄江です。

 

 映画、テレビドラマの脚本で活躍します。

 

 ド派手な作風ではなく、

  庶民の細やかな日常生活にある

    喜怒哀楽を丁寧に描いていたと思います。

 

  (私が幼いころから、

    何気なく観ていたTVドラマの脚本を

      たくさん書いていたのに

        気にも掛けていませんでした・・・トホホ)

 

 

この映画の長女を演じたのが

  高峰秀子です。

 

 

戦前の天才子役から大活躍し、

  正統派美人女優でありながら

    どんな役でもこなせる大女優です。

 

  文筆業も一流でした。

 

1941年 山本嘉次郎監督「馬」の撮影で

  助監督だった黒澤明と恋に落ちましたが

    高峰の母親の反対で、結婚できませんでした。

 

  (貧しい家庭の稼ぎ頭だったこともあります。

 

   なお、映画「馬」の多くは、黒澤明が

     撮影していたという話があり

       黒澤明の実質のデビュー作は

         「馬」かもしれません)

 

  この「馬」の山形ロケで高峰を見て、

    一目ぼれし、名前を勝手に拝借したのが

     コメディアンの「ケーシー高峰」です。

 

 

  ケーシーの母親は産婦人科医という名家、

   日大医学部から芸術学部へ転部し、

     大卒後に司会、芸人となります。

 

   映画、ドラマでは、脇役として、

       数々の名演技を残しています)

 

ファミリー映画、ホームドラマ映画の

  教科書のような作品です。

 

善良な家族に、理解ある隣人が現れて

  トラブルを克服していくという

     パターンです。

 

以外だったのは、長女の恋人が亡くなって

  大きな展開があるのかと思ったのですが

    サラっと流されていたのは

      上映時間の制限が

         あったのかもしれません。

 

  (普通のフホームドラマ映画を

    2時間以上にするのには、無理があるかも)

 

チャンスがあればご覧ください。

 

敗戦後の貧しい時代に、

  これからは明るい将来の夢と希望が

   来ることを信じることができると

    この映画を観て、力付けられたのでしょう。

 

小品ながら、爽やかな素敵な映画です。