ランク Aの下

 

コロンビア・メデジンの売春婦から

 マイアミの麻薬の女王・ゴッドマザーとして

    君臨しグリセリダの人生を描いた

       バイオレンスドラマです。

 

 

実在の女性グリセルダ・ブランコをモデルにした

   実録脚色ドラマです。

 

オープニングで

 コロンビアの麻薬王・エスコバルの言葉

 

   「私が怖れた人間はただ一人

     その女の名は、グリセルダ・ブランコ」

 

       で始まります。

 

  (エスコバルについては、

     傑作ドラマ「ナルコス(麻薬)」を

        是非、観て下さい!)

 

グリセルダは、1970~2000年代にかけて

 マイアミを中心とした、

   コカイン密売組織の麻薬王でした。

 

彼女がいかにして、男性社会の

  麻薬組織内で、パワハラ、セクハラ、DV、

   鋼鉄の天井をぶち壊して

    頂点を極めたかを

      描いています。

 

見方によっては、女性自立の

  フェミニズム映画かもしれません。

 

コロンビアの麻薬都市メデジンでの

  売春婦から麻薬マフィアの男と結婚し、

   ニューヨークへのコカインビジネスに

     携わります。

 

夫のDVと理不尽な強要から

  夫を射殺し、マイアミへ子供3人を連れて

    逃亡します。

 

男たちに騙されたり、裏切られながらも

  マイアミの金持ち白人への

     コカイン密売のビジネスを

       成功させて

   「コカインの女王=ゴッドマザー」として

     君臨します。

 

ドラマの前半は、グリセルダが

  子供たちのために必死に、命がけで、

    麻薬密売の男社会で

      権謀術策、極悪非道を重ねながら

        伸し上がっていく成功物語です。

 

特に、グリセルダの夫となる殺し屋や

 殺し屋へと変貌するウエイター、

   経理担当者などが登場し

     コカインビジネスを企業化していく

       面白さがこのドラマにあります。

 

 (グリセルダのまわりに、

  男女を問わず、人が集まってくるのは

    少しばかり「七人の侍」を

      思い浮かべてしまいました。)

 

殺人、暴力、セックスありの過激なドラマですので

  気の弱い方は、ご注意ください。

 

後半は、頂点を極めたグリセルダが

 警察の捜査や、裏切りを怖れ、麻薬に溺れ

   自分以外を信じられなくなり、

     最も大切にしたかった家庭が

       崩壊していく悲劇を

         劇的に描いています。

 

 (特に夫の誕生パーティーシーンは

     このドラマで、一番の見せ場かもしれません)

 

お金をかけたドラマは

  安心して、その世界に没入できます。

 

このドラマは、グリセリダの波乱万丈の

   人生を描いている一方で、

      もう一つの女性刑事の苦闘も描いています。

 

つまり、このドラマは二人の女性を

  麻薬密売人と追う刑事という対立する立場で

    描くのですが、どちらも、男性社会に抗い

       自立する姿を描いています。

 

ズバリ、女性を描いたドラマです。

 

ということは、実は、男性が観るべき

  ドラマでもあります。

 

ドラマでは、男性たちが、女性を蔑み

  無能扱いし、性的対象としかみない

    ジェンダー差別を露骨に描いています。

 

私を含めて、世の男性は、このドラマに登場する

  醜い男性の姿をみて、自らの女性への

   日頃の言動を反省すべきだと

     訴えているようです。

 

  (でも、女性は、男性より

    本当は強いんだようなあ・・・

 

    特に私の妻なんか・・・トホホ、嗚呼)

 

アメリカは死刑に関しては

  とても慎重な国のようです。

 

グリセリダが、死刑が免れないという時に

  信じられない事が発覚し、

    グリセリダの判決が大きく変わります。

 

 (是非、ドラマを観て下さい!

   

   本当の話で、ドラマでは1人でしたが

        実際は、二人いたそうです。

 

  何があったかは、ドラマを観てね!

 

   嘘みたいな本当の話です!)

 

このドラマのテーマは、全6話で

  最終話のグリセルダと女性刑事の

    会話にでてきます。

 

一言で言うなら、

  「人生に意味があるのか?」

     という哲学的命題を

        含んでいるドラマです。

 

どの俳優もいい演技をします。

 

グリセルダを演じたソフィア・ベルガラは

 主婦?から、犯罪に手を染めながら

  麻薬の女王へのし上がって栄華を極めたが、

    麻薬中毒と不信感に苛まれて、

       転がり落ちていく様や、

  異常なほどの子煩悩の母性愛を見事に

    演じています。

 

 

夫役も非常な殺し屋から、

  善良な夫であり、父親へと

     変わる様を見事に演じています。

 

何といっても、ドラマ内で、存在が大きくなるのは

  陰日向でグリセルダを助け、裁判を覆してしまう

    麻薬密売人です。

 

一見チャライけれど、ずる賢い中に

 仁義を守るキャラが、カッコ良かったです。

 

グリセルダの3人の子供も

      いい味を出しています。

 

ともかく、麻薬密売組織の脇役陣が

  個性豊かな風貌で、的確な演技をするので

     観ていて、爽快感さえ感じました。

 

最初は、登場人物が多く、名前が覚えられず

  混乱しますが、観ている内に

    人間関係が分かって、

      ドラマにのめり込んでしまいます。

 

無駄のない、スピーディーな演出なので

  飽きることはありません。

 

1970~2000年代の、ファッション、車、

  電化製品など、時代考証が完璧なので

     タイムスリップできます。

 

1870年代以降の名曲が

  バックで流れて、その時代の雰囲気を

    醸し出し、ドラマを盛り上げます。

 

良いドラマです。

 

一級のエンタテイメントドラマになっています。

 

残酷ですが、是非ご覧ください。

 

麻薬に関わると、本人だけでなく

  家族も幸せになれないことを

     教えてくれるドラマです。

 

贅沢を求めすぎて、金儲け中心主義が

  人生を儚くするようです。

 

ネットフリックスで観ました。

 

是非ご覧ください!

 

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最後に、ドラマのモデルとなった

 グリセルダ・ブロンコについてです。

 

ネタバレになるかもしれないので、

 ドラマを観てから読んで下さい。

 

 

1943年、コロンビアのメデジンで育ちました。

 

11歳の時、高級住宅街の子供を誘拐して

  身代金要求をし、最後は子供を射殺したと

    元恋人の証言があります。

 

若い頃、窃盗などで生活していましたが

   売春婦だったといことは

     本人は否定しています。

 

13歳の時、最初の夫と結婚し

  21歳までに3人の男児をもうけます。

 

   (ドラマの3人の子供です)

 

最初の夫とは、離婚後も麻薬ビジネスで

  協力しますが、意見の違いから処刑。

 

二人目の夫も、麻薬密売資金のイザコザから

  頭を撃ち抜き殺します。

 

3番目の夫の間に4人目の子供マイケルが

  生まれます。

 

  (映画「ゴッドファーザー」の役名

     マイケル・コルレオーネから

        と名付けます)

 

1983年、3人目の夫は、グリセルダと別れ、

  コロンビアへ帰り、マイケルの親権を争います。

 

  夫は、マイケルを誘拐し、コロンビアへ逃げますが、

   グリセルダは、殺し屋を雇て、夫を殺し

     マイケルを米国へ戻します。

 

1985年、麻薬密売と殺人で、逮捕されます。

 

1998年、グリセルダの信頼できる殺し屋の

       ホルヘ・ハラヤの機転?で

         20年の懲役刑に

 

  (ホルヘは、刑務所で生存中です)

         

2004年 心臓発作などの健康上の理由から

      釈放され、コロンビアへ強制送還

 

2012年 メデジンで暗殺される

 

最初の夫の息子3人は、

  マイケルが成人する前に、殺されます。

 

マイケルも麻薬密売で逮捕されたりし、

  このドラマ制作のネットフリックスに対して

    ドラマ公開差し止め裁判を起こした。

 

実際のグリセルダは

 ドラマのような女性とは言い難いようです。

 

脚色の上手さが、

  一級のエンタテイメント作品に

     なっています。

 

是非ご覧ください。