ランク Aの下

 

インドネシアのタバコ(クレテック)生産会社の

 長女の女性自立と恋の大ロマン大河ドラマです。  

 

病床の父親が、過去に出会った忘れられない女性を

  三男に探すように頼むところから

    物語は始まります。

 

その女性とは・・・嗚呼!

 

 

インドネシアドラマ界の実力の高さを

  見せつけられるドラマです。

 

  (日本ドラマ界の貧困を

      嘆くばかりです・・・トホホ、嗚呼)

 

このドラマで初めて知ったのですが

 インドネシアに「クレテック」タバコがあり

   タバコの葉に、香料などを混ぜたタバコで

     インドネシア特産です。

 

  19世紀の終わり、中部ジャワの

    ハジ・ジャマ―リが、胸の痛みを抑えるために、

      タバコにクローブの芽などを混ぜて

       吸いだしたのが、始まりだそうです。

 

  クローブ(和名チョウジ)には、

       強い香気があるそうです。

 

 

なお、インドネシアのタバコは

  オランダ植民地時代に

    オランダ人が持ち込んだそうです。

 

  (外来種になるのかなあ・・・)

 

 

禁煙時代の現在ですが、

  ドラマではヒロインをはじめ

    堂々と煙草の煙を燻らせています。

 

 (ひょっとしたら、このドラマは、

   反禁煙キャンペーン、

     「クレテック」販売促進

        ドラマかもしれません。

 

  実は、アメリカは、「クレテック」輸入を

    禁止しています。

 

 インドネシア政府は、アメリカに対して

   不当な貿易差別だと訴えています

 

 なお、「クレテック」の健康被害については

    賛否両論があるそうです)

 

ドラマは、1964年と2000年の

 2つの物語が同時進行で進み

   ヒロインの人生の

    謎解き物語となっています。

 

  (上手いシナリオ展開で

     ストーリーに引き込まれていきます)

 

そして、単なる大恋愛ドラマというだけでなく

  インドネシア現代史も絡む

     一大叙事詩?ともなっています。

 

インドネシア現代史を知っておくと

  ドラマの悲劇的な面が

    よく分かります。

 

  16世紀 オランダの東インド会社により

        植民地となる。

 

       (何度か、独立運動が起こりますが

         弾圧されます)

 

    インドネシア語で独立を「ムルデカ」といい

      ヒロインのタバコの

        ブランド名になっていますよ。

 

   1908~20年頃 「ムルデカ」を掲げて

       独立運動が盛んになるが

         オランダにより弾圧される。     

 

   1941~1945 日本占領下時代

      

         日本がオランダを追い出し、

          独立させてくれると期待したが

            見事に裏切られます。

 

         比較的、占領政策は上手くいった?とも

          言えるが、タイの泰緬鉄道建設などへ

           30万人を「ロームシャ(労務者)」として

             送り出し、7万人しか帰国できなかった。

 

        インドネシア語で「ロームシャ」と言えば

          「強制労働」の意味です。

 

   1945~1949年 対オランダ独立戦争

 

       初代大統領スカルノ(デビ夫人の夫)は、

          1920年頃からの独立運動の闘士です。

   

      (ドラマの中に、ヒロインの恋人は

        憎っくきオランダ人に教育されたために

         オランダ嫌いインドネシア民衆から

          差別されたエピソードがあります)

 

ドラマ舞台、1964年ころのインドネシアでは・・・

 

   1960年頃から、スカルノは、台頭してきた国軍を

     抑えるために、共産党に近づき、利用した。

 

   1965年の国軍の軍事クーデターが起こり、

     スカルノは失脚し、共産党は

       非合法化される(現在も)。

 

     (ドラマに描かれています)

 

  なお、軍事クーデター後に、

    共産党支持者50万人、

      中国系華僑40万人が虐殺されます。

 

    (約100万人が、インドネシアの街中で

      市民によって虐殺されます。

 

     関東大震災時の朝鮮人虐殺の

        大規模なものだとも言えます)

 

  長い間、インドネシアのタブー?でしたが

    ドキュメンタリー映画

      「アクト・オブ・キリング」を

        観るとよく分かります。

 

 

  私はこの映画を観ていたので

    ドラマ内の悲劇が

      分かりました・・・

 

  この辺りの歴史を知らないと

    ドラマの共産党エピソードを

      唐突に感じるかもしれませんので・・・)

 

現在も共産党は非合法です。

 

ゆえに、ヒロインと家族は、

         苦しめられます。

 

ドラマ内でサラッと?描かれているのは

  恋人の恋敵の軍人が

    イリアンジャヤ紛争のことです。

 

1963年以降、ニューギニアのイリアンジャヤ地方を

  インドネシアが一方的?に植民地化したので

    現在も独立運動「パプア紛争」が続いています。

 

  パプア紛争で、10万人のパプア人が

    インドネシア国軍によって殺害されています。

 

このドラマで、この事件が出てきたので

  驚きました。

 

このドラマは、反政府ドラマなのかと・・・

 

でも、違います。

 

単に、ドラマ展開の必然で

  イリアンジャヤ紛争(パプア紛争)が

    必要だったのでしょう・・・たぶん。

 

ともかく、このドラマは

 インドネシア現代史を知っておくと

   ドラマの面白さ?が倍増以上となります。

 

1960年代の古き良きインドネシアが

   再現されて、描かれています。

 

インドネシアの民族衣装の

  「バティック(ジャワ更紗)」、白レースの美しさ!

 

  (ヒロインの女優の美しさを

             際立せています!

 

このドラマのオープニングシーンは、

  美しいだけでなく、

    物語の重要な名シーンですよ!  

 

植民地時代?の建物、部屋、調度品の

     素晴らしいこと!

 

完璧な時代考証だと思います・・・たぶん

 

  (お金をかけているのが

     日本人の私でも、よく分かります。

 

  日本の映画ドラマ界とは

     ドエライ違いです・・・トホホ、嗚呼

 

  良いドラマ映画は、時代考証だけでも

     楽しめます)

 

男尊女卑のイスラム教国であるインドネシアで

  女性の自立を、しっかりと描いた

    秀作です。

 

ネタバレになるので、詳しく書けませんが

  必見のドラマです!

 

ネットフリックスで観ましたよ!

 

俳優陣は、主役から脇役まで

        目茶苦茶上手いです!

 

そして、何より、どの役者も

     目で演技をするのです。

 

 (叫ぶことも、大げさなアクションをすることなく

   目と表情だけで、心の動きや

     想いを伝えるのです。

 

  日本の俳優たちが、失った演技力です。

 

  このドラマを観て、

    日本の俳優、演出家、監督は

     「演技力とは何か」を

        勉強して欲しいです・・・トホホ、嗚呼)

 

特にヒロインを演じる

 ディアン・サストロワルドヨは

  クール・ビューティーの権化です。

 

見つめられたら、ヘビに魅入られた蛙状態です。

 

 

私が気にったのは、ヒロインの商売敵となる

  悪役を演じるベルディ・ソマンです。

 

   悪役が輝いている作品に

         悪い作品はありません。

 

 

ほんまに、インドネシア俳優は

       演技力が素晴らしいです。

 

ヒロインの両親も、渋い演技をします。

 

 

美しい映像に、素敵な音楽が重なります。

 

  (インドネシア語が分からないので

    歌の歌詞を知りたいです。

 

   ネットフリックスも、歌があったら

        歌詞の字幕を付けて欲しいです!)

 

ともかく、ドラマの面白さを

     堪能できます。

 

インドネシアドラマの素晴らしを

   教えてくれます。

 

「クレテック」タバコに魅せられた人々の

  物語です。

 

謎解きの面白さもタップリあります。

 

是非、観て下さい。

 

ハンカチも必需品です。

 

何といっても、オープニングシーンの

  種明かしシーンが、

    一番の見せ場です!

 

美しさと、強さと弱さ、

  哀しみが、押し寄せてきます。

 

  (ネタバレになるので、書けない!)

 

良いドラマです!

 

是非、観て下さい!

 

 

最後に、妻は、このドラマの3話で

  観るのを止めています。

 

妻  「あまりにもせつなくて

      観ていくのが、つらいから・・・」

 

是非、ご覧ください!