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<ヒロイン視点>
バスに近づけば、その近くでソフトクリームを片手にした沖田くんがいた。
私たちを見やってはにやりと笑った。
「左之さんて、手ぇ早いよね。もう千亜さんの頭撫でてたし」
「総司、変な意味で見るな」
左之の少し呆れたような声。
私もフォローするように沖田くんに声をかける。
「沖田くん、私原田先生と同級生だったの。だから久しぶりって話してただけ」
「へぇ…。そんな雰囲気でもなかったけど」
「そんなことないよ、うん」
目を細めながら私たちを見比べるようにしながら、ぺろりとソフトクリームを舐める沖田くん。
私はあはははと笑ってその場をやり過ごした。
目的地に近づけば、のどかな田園風景が目の前に広がる。
懐かしいな~なんて1人思っていると「懐かしいか?」と声をかけられる。
振り向けば左之がこっちを向いて笑ってた。
左之に頷きながら笑みで応える。
視線を移せば土方さんは腕を組みながら眠っている。
土方さんの寝顔なんて久しぶりに見た。
移動の隙があればこうやって寝てたなぁ。
懐かしさから笑みが零れる。
バスの中も静かになってきた。
皆朝早くから、しかも長距離移動で疲れたんだろうな。
鞄の中から予定表を取り出し、眺める。
今のうちに皆休んでおきなさいよ~と心の中でエールを送った。
「各自、部屋割り通りに荷物置いて来い!10分後には道場掃除始めるぞ!!」
「はい!」
宿主の井上さんご夫婦に挨拶を済ませ、土方さんの声が響き渡る。
部員たちが一斉に部屋へと向かっていく。
私も部屋へと急いだ。
「雪村さん、まずは食堂に行ってお茶の用意をしようか」
「はい!」
私たちは食堂へと急いだ。
「初日のお茶はここの井上さんが用意してくれてるはずだから…っと」
「そうなんですね」
雪村さんに伝えながら食堂の奥にいた井上さん夫婦に声をかける。
「すみません、麦茶を頂いてもよろしいでしょうか?」
「ああ、用意してるよ」
「ありがとうございます!」
大きなやかんに入ってる麦茶をドリンクキーバーに注いでいく。
「じゃあ重いからこれを一緒に道場に持って行こうか」
「はい!」
私たちがドリンクキーパーを持とうとしてたとき、声がかかる。
その姿を捉えれば左之で。
「ち…、高橋、雪村。コレを道場へ持ってくのか?」
「はい」
「俺が持ってやるよ」
「え…でも…」
『相変わらず女の子に優しいなぁ』そんなことを思いながら、
少し戸惑うような雪村さんに声をかける。
「雪村さん甘えちゃいなさいよ。原田先生が持っていってくれるって」
「いいんですかね?ありがとうございます」
「このくらいのこと男に任せとけって」
雪村さんの言葉に笑顔で応えた左之は私にも笑みを向ける。
私もつられるように笑みが浮かぶ。
左之の背中を見送って、雪村さんに声をかけた。
「じゃあ雪村さんも道場へ行って?私は掃除後のドリンク作っておくから」
「え…。お茶がありますよ?」
「土方先生が掃除だけで終わるはずないでしょ~?」
「そうなんですか?」
「ほら、早く行かないと怒られちゃうよ」
「は、はい!じゃあお願いします」
私に勢いよく頭を下げて道場に向かう雪村さんを見送っていると、後ろから声をかけられた。
「千亜ちゃんだね」
「源さん!覚えててくれたんですか?」
「当たり前だよ。でもどうしてここへ?さてはトシくんかい?」
「はい…ほぼ無理やり。でも来たからにはお手伝いさせていただきますので!
お世話になります!」
「ありがとう。助かるよ」
「宜しくね~、千亜ちゃん」
改めて挨拶をすれば調理場から源さんの奥さんも笑顔で顔を覗かせてくれた。
合宿が無事に終えれるように私もしっかりお手伝いしようと気合を入れなおした。