本論文は、7日目正常胚盤胞も十分妊娠可能であることを示しています。
Hum Reprod 2019; 34: 1697(米国)doi: 10.1093/humrep/dez129
要約:2012〜2018年に採卵しPGT-Aを実施した25,775胚、3824移植周期を対象に、正常胚盤胞率と単一胚移植による妊娠率(着床率)を後方視的に検討しました。結果は下記の通り(有意差がみられた項目を赤字表示)。
正常胚盤胞率 day 5 day 6 day 7
12,535胚 11,939胚 1,298胚
<35歳 66.9% 65.7% 51.1%
35〜37歳 58.3% 56.5% 42.7%
38〜40歳 40.8% 41.3% 37.4%
41〜42歳 25.1% 23.4% 19.0%
>42歳 16.4% 16.8% 9.5%
合計 54.7% 52.9% 40.5%
移植周期 day 5 day 6 day 7
2321周期 1381周期 116周期
着床率 77.9% 69.6% 44.8%
臨床妊娠率 65.4% 56.2% 30.1%
出産率 56.4% 45.8% 21.5%
多胎妊娠率 1.3% 2.2% 0%
流産率 11.5% 14.9% 19.2%
解説;PGT-Aを実施したday 7胚盤胞は、初めての報告では妊娠成績が極めて不良でした。しかし、最近は否定的な報告が多くなっています。本論文は、day 7に凍結した正常胚盤胞の妊娠成績を後方視的に検討したものであり、正常胚盤胞率も着床率、臨床妊娠率、出産率もday 5>day 6>day 7と有意に低下することを示しています。今回は後方視的検討ですので、前方視的検討が必要であることは言うまでもありません。PGT-A実施の際には、day 7までの培養が推奨されます。
下記の記事を参照してください。
2019.9.21「☆7日目正常胚盤胞も十分妊娠可能 その1」
2019.9.5「モザイク型の染色体を持つ夫婦のPGT-Aの是非」
2019.7.5「PGT-Aの正確性は?」
2019.5.13「胚盤胞のPGT-Aの正確性は?」
2019.3.12「モザイク胚100周期の移植経験」
2019.2.19「PGT-Aでメリットがある方は?」
2019.1.29「染色体一部モザイク(segmental mosaic)の取り扱い」
2018.8.19「☆PGT-A:賛成派 vs. 反対派」
2018.7.17「PGS(PGT-A)の精度は?」
2018.6.22「☆モザイク胚や異常胚の移植について」
2018.6.10「☆モザイク胚の淘汰:マウスモデル」
2018.6.3「モザイク胚の特徴は?」
2018.5.31「Q&A1845 PGS異常胚の出産」
2018.4.6「☆PGSの真価は?」
2018.4.5「☆PGSについて:ASRM公式見解」
2018.3.22「Q&A1772 モザイク胚について2」
2018.1.29「☆モザイク胚を移植したらどうなるか?」
2017.10.31「Q&A1627 ☆モザイク胚について」
2017.1.24「☆ASRM:PGS特集 その1 モザイクの取り扱い」