Q&A2328 38歳、AMH 3.73、移植4回、流産2回 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 38歳、AMH 3.73 ng/ml
プロラクチン 65.0 ng/mlでカベルゴリンを週1回服用。不妊検査ではこれ以外には特に引っかかっていません。排卵がうまくいかないことが多く、体外受精にステップアップしました。

採卵1回目:成熟卵 18/19個、運動精子濃度 600 万/ml、運動率 66.7 %、IVF 4/4個、ICSI  8/14個が正常受精。前核期で8個凍結。4個を培養し胚盤胞で1個凍結。

移植1回目:胚盤胞1個移植し陽性。9週で稽留流産(絨毛染色体検査にて22トリソミー)。
移植2回目:3日目分割胚2個移植し陰性(8A,7A,6A,6Bのうちどれか2個)、余剰胚2つを培養し胚盤胞1個再凍結。
移植3回目:3日目分割胚2個(9B,9B)移植し陽性。8週で進行流産。余剰胚を追加培養するも凍結できず。
移植4回目:胚盤胞1個移植し陰性。

採卵2回目:成熟卵 16/19個、運動精子濃度 700 万/ml、運動率 36.8 %、IVF 6/10個、ICSI 4/6個が正常受精。前核期で4個凍結。正常受精卵6個とその他受精卵2個を培養し、胚盤胞で6個凍結。

①移植5回目となる次回は、胚盤胞2個移植を勧められています。3回目の余剰胚追加培養で胚盤胞が獲得できたら、4回目に実施しようと言われていたけど胚盤胞にならなかったためできなかったものです。診察の時は双胎リスクもあるがどうするか、と聞かれましたが、2個移植して双胎になる確率よりも、1個移植して妊娠できない確率の方が高いのではないか、と思い2個移植に同意しました。私の判断は正しかったでしょうか。ただでさえ胚盤胞移植は双胎率が上がる、多胎妊娠は母子ともに危険、という情報を見て不安になっています。
②38歳での、胚盤胞2個移植の多胎妊娠率と、胚盤胞移植(1個、2個)の出産率(妊娠率ではなく)がわかれば教えていただきたいです。
③2回流産していますが、不育症検査をした方が良いでしょうか。1回目が染色体異常であったこともあり、病院では特に不育症検査の話は出ていません。2回目の流産は検査ができなかったため、原因は不明です。せっかく受精卵が多くストックできたので、無駄にしたくないという気持ちがありますが、病院で話が出ていない以上、まだ気にする段階ではないのだろうかとも思っていまいます。

 
A 
①38歳の胚盤胞の染色体異常率は47.9%ですから(2016.8.9「☆女性の年齢別染色体異常頻度 その2」)、2個で1個正常の確率です。つまり、2個移植すれば1個正常ですので、2個移植をお勧めします。もし、正常と異常の胚盤胞で両方とも着床したとしても、流産にならず発育が停止した胚は吸収されるからです。双子のリスクばかり強調されがちですが、なかなか妊娠がうまくいかない方にとっては、まず妊娠することを考えるべきだと思います。
②ご希望の確率をはっきり示したデータはありません。
③不育検査は是非やるべきだと思います。米国では、流産2回で不育症と定義しています。
 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。