ヒーラーに「肩や腰」というものは存在しません。
もちろん極端な言い方です。
「肩が痛い」と言われたら、それが何を指しているのをか必死で読み取ることが必要です。
肩なんてどこにも無いのです。
腰も同様です。
「肩が痛いんです」と言われたら、それは何を指しているのかを探しましょう。
たとえば、僧帽筋の上部の緊張や凝りを疑います。
僧帽筋(上部)は肩こり筋などと言われます。
慢性的に痛いのか、何かすると痛いのか?
ある特定の動きをすると痛いのか、その痛みはズキズキとするのか、ピキーンと痛むのかを分析していきます。
分析というか、本人に直接に聞きます。
聞いて、話しているのを観察しながら、身体の動きを見ながら、仮説をいくつも立てていきます。
そして片っ端からのその仮説をつぶしていきます。
(ポイントは潰すことであって、仮説をサポートすることではありません。これが分かると素早く正解に至れます。自説の間違い探しが正解に至るコツであって、自説をサポートするものを探すことは間違いへの道です)
ストレスによって痛めているだけかもしれませんし、(あまりこういう言い方をしたくないのですが)何らかの情報的なものによって、痛みが顕在化しているだけかもしれません(いわゆる霊は肩に乗ります)。
少し分かりやすい例を出します!
たとえば、バレリーナの卵たちは「股関節が硬くて、開きません」と言います。
股関節が硬いってどういうことでしょう?
ダイヤモンドより硬いとか、石のように硬いということではありえません。
単に可動域が無いという意味です。ROMですね。Range of Motionです。
とは言え、これだけでは不十分です。股関節が硬いという言葉が指しているのは、たとえば「アンディオール(大腿骨の外旋)がうまくできません」ということであったり、「グランバットマンが高く上がらない(股関節の屈曲)」ということであったり、「Y字に脚を上げられない(股関節の外転)」だったりします。
本人が何を意味しているかは本人しか分かりません。
これは聞いてみるしかありません。
開脚でベタッと開くのに「私、股関節がものすごく硬くて」というダンサーはたくさんいます。
ですので、その人が何をゴールにしているのかを明確に言語化してもらう必要があります。
言語化できない場合は、こちらから呼び水をどんどん仕掛けていきます。
「脚を高く上げたいの?」
それとも、
「アンディオールができるようになりたいの?」
「物理的にはアンディオールはできるけど、踊りの中で開けるようにしたいの?」
それとも、
「バットマンを高く上げたいの?」
それとも「アダージョでキープできる強さが欲しいの?」
これはどんどん聞きながら、本人が「股関節が硬い」という言葉で指しているものをはっきりさせていく必要があります。
たまに不精な子は(もしくはがめついのか)「全部」と答えてきますが(まあ、ダンサーとしてはそりゃ全部が正解でしょうが)、そのうちでもプライオリティをつけてもらいます。
どれが一番やりたいのか、と。
圧力というのは、力を面積で割ったものです。
満員電車でスーツの男性から脚を踏まれるよりも、小柄な女性からハイヒールで踏まれる方が痛いのです。体重は男性の方が重くても、ハイヒールの先は細いからです。
By Arroser - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link
*このハイヒールで踏まれたら痛そうです。どんなに小柄でも。
*これはアリアナ・グランデの歌詞(7rings)にも出てくるRed-bottom(ルブタン)
♫Happiness is the same price as red-bottoms.♫
(♫幸せはルブタンを買うくらいで買えるのよ♫)
圧力を高めるには、範囲を狭くしていくことが重要です。
ふんわりと「股関節をゆるめたい」みたいな広い面積では、ほぼ何もできません。
範囲を狭めていけばいくほど、同じ力でも圧力は増していくのです。
針よりも細くしていきましょう。
より具体的にしていくことで、範囲を狭めていけます。
アンディオールだったら、器質的に開かないのか、柔らかさはあるけれど踊りの中で使えないのかでは全然違います。
バットマンはできるけど、アダージョができないとしたら、方針は変わります。
バットマンの高さや開きによっても方針は変わります。
いまの状況がどのようなもので、どう改善することを狙っているかによっても、施術の方針は変わります。
かつて、とあるヒーラーが「脚を上げるのは大周天があればできる」と言って、メンバーの顰蹙(ひんしゅく)をかっていました。なぜなら、そこに細やかさが無いからです。
どれだけの努力をして、ダンサーたちが身体を創っているかを知らない人の暴論に聞こえるからです。
施術というのは入れ子構造になっています。
マトリューシカのようなもので、人形の中にはまた人形がいて、そのまた人形の中にはまた人形がいます。無限にいるのです。
一番外側の人形をなでただけで、中の全てを観ることもなく偉そうなことを言ってはいけません(自戒をこめて)(能力の輪の中にとどまりましょう)
逆に僕らは本当に狭い狭い世界のマトリューシカの中を観るだけで人生が終わるという諦観も必要です(ですので、「まといのば」はあくまでもバレリーナ専門ですし、身体のことのみにこだわりたいと思っています)。
ちなみに非常に面白いことに、脚を高く上げたり、アンディオールをしたり、前後開脚をしたり、
バットマンを高く上げたり、、、、
こういうことの全てに股関節の柔軟性はほとんど関係ありません。
股関節の柔軟性は関係ない???
そうなんです。
関係ありません。
よく施術では、普通に歩けるなら、股関節という臼状関節の柔軟性は十分だと言います。
ポイントは全然違うところにあります。
ですので、気功の力をつけた後は、言語能力を高めていくしかないのです。
「股関節が痛い」とか、「股関節が硬い」という言葉に脊髄反射して、何時間も股関節に気を流してもダメなのです。
ものすごい技術をそこにどんどん放り込んでいってもダメなのです。方針や戦略が無いとアウトなのです。
言語能力を高めて(いろいろな知識もつけて)、クライアントのニーズやゴールがどこにあるのかを探る必要があります(これはコーチングも同じです)。ですので、圧倒的な知識や経験は必須なのです。そして何よりも言語能力が、、、、、(日本人の3分の1は日本語が読めません。自分がその33%側に入っていると考えて、日本語を読む練習からするのはとても重要です。ちなみに、かなり多くの人は日本語が読めなくて、日本語を書いています。そして日本語を読めないのに書いている人の文章をあまりに読んでいると日本語の能力が劣化していきます)。
非接触系の気功技術を次々と学ぶ1Dayスクールを今週土曜日に開催しますが(魔法系ヒーラー養成1Dayスクール)、そこでのポイントはまさにグリモワール(魔導書)なるグラマー(文法)であり言葉です。言葉を支配するものが、世界を支配します。
そしてこの感覚を養うと、本当に小さな力で大きなことを成し遂げれらます。
「私に支点を与えよ。そうすれば地球を動かしてみせよう。(δῶς μοι πᾶ στῶ καὶ τὰν γᾶν κινάσω)」(アルキメデス)
面積を小さくすれば、ハイヒールで脚を踏むがごとく大きな圧力をかけることができるのです。
そしてその場所が正確であれば、圧倒的な結果を出せます。
しかし少しずれていたり、だいたいこの辺という感じでやっているとなでているだけになってしまいます。
ダイナマイトを鉛筆で1000回こづいても爆発しない。しかしハンマーで一回叩くと爆発する。(『プリズナートレーニング』)
プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ
2,100円
Amazon |
たとえば、「全身に対して気を流せば、問題箇所も包摂するだろう」という考え方ではうまくいかないのです(これは二重の意味でうまくいきません。第一に部分に流れる気の量が小さすぎるということ、第二に自分が知らないところには気は流れないのでそもそも包摂もしないのです)。
正確にダイナマイトをハンマーで叩く必要があります。
【動画紹介】
セミナーでも少し話しましたが、手のひらに彫った七輪のタトゥーで話題になったアリアナ・グランデの新曲について、、、いろいろと書こうと思っていたのですが、時間が経ちすぎてしまい、時期を逸しました。
*「そうだ、京都へ行こう」と思った人も多いかもw
7リングスの原曲はご承知のとおり「My favorite things(私のお気に入り)」。
これはミュージカルの原型とも言うべきSound of music(サウンド・オブ・ミュージック)からの一曲です(ドレミの歌などもサウンド・オブ・ミュージックから来ています)。
この「私のお気に入り」というナンバーは平たく言えば、♫どんなに辛いことがあっても、私のお気に入りを思い出すだけで、気分は良くなる♫という歌です。
When I’m feeling sad
I simply remember my favorite things
And then I don’t feel so bad
(悲しい気分になっても、私のお気に入りを思い出すだけで、気分は晴れるの)
雷鳴がとどろいて不安がる子どもたちに家庭教師のマリアが歌って、なぐさめるシーンです。
映画は観たことがなくても、歌は耳にしたことがあるのでは?
サウンド・オブ・ミュージックという映画は家庭教師兼乳母のマリアが厳格な一家を楽しく書き換えていくお話です。
ちなみに、とある一家に家庭教師が入り込んで、その家族を書き換えてしまうのは、ミュージカル「王様と私」も同様です!(ちなみにまっすぐそのテーマに切り込んでいるのは、「メリー・ポピンズ」ですね)
余談ながら、「王様と私」と「サウンド・オブ・ミュージック」の共通点は、、、、どちらも実話がベースということです。
渡辺謙さんが主演でブロードウェイでロングランされたことでも有名です(日本公演を観てきました)。
以下はトニー賞授賞式での渡辺謙さんのパフォーマンス!
ミュージカルとしての「王様と私」を知らなくても、その中のナンバーである「Shall we dance?」は知っているのでは?
*2015年のトニー賞授賞式での圧巻のパフォーマンス!
冒頭のGetting to know youも良い歌ですね。♫知れば知るほどあなた達を好きになる♫
3分40秒あたりから「Shall we dance?」
*映画版も是非!!Yul Brynner and Deborah Kerr perform "Shall We Dance" from The King and I(ユル・ブリンナーの出世作です!)
それに対して、アリアナの「7rings」の歌詞はかなり挑発的な内容です。
お金があれば何でもできるの!と言わんばかりの扇情的な歌詞です。
“Whoever said money can’t solve your problems”
“Must not have had enough money to solve ‘em”
(お金じゃ問題は解決しないと言っていた人は、きっと十分なお金を持っていなかったのね)
They say, “Which one?”, ’Nah, I want all of ‘em”
(どっちが良い?って聞かれたら、いや全部欲しいって答えるわ)
この曲はアリアナ・グランデの現在をあらわしており、行間を読む必要がないと言う人もいますが、、、、、
実際はそれはあまりに皮相的な解釈だと思います、、、、
という記事を書こうとしていましたw
一応結論だけ書けば、なぜ冒頭に「ティファニーで朝食を」と言い、なぜサウンド・オブ・ミュージックのMy favorite thingsをベースにしているかがヒントになると思います。
ティファニーでは2017年から本当に朝食が食べれるようになりましたが、そんな話をしているはずもなく、これはもちろんトルーマン・カポーティの小説のタイトルであり、(当初はマリリン・モンローが演ずるはずでしたが)オードリ・ヘップバーンが演じたホリーが思い浮かべられます。
*僕は若い時分に、オードリ・ヘップバーンの「ティファニーで朝食を」の原作者があの「冷血」を書いた人と同じとは到底思えませんでした。今なら少し分かる気がします。
*オードリ・ヘップバーンと言えば、ローマの休日がいま上映されています!
ホリーは平たく言えば。自由を求め、人から誤解されることをいとわない人でした。
(引用開始)
女優って、とんでもなく大変な仕事だし、まともな神経を持った人間には、馬鹿馬鹿しくって、とてもできることじゃないんだもの。そこまでの劣等感は私にはない。映画スターであることと、巨大なエゴを抱えて生きるのは同じことのように世間では思われているけど、実際にはエゴなんてひとかけらも持ち合わせてないことが何より大事なことなの。リッチな有名人になりたくないってわけじゃないんだよ。私としてもいちおうそのへんを目指しているし、いつかそれにもとりかかるつもりでいる。でももしそうなっても、私はなおかつ自分のエゴをしっかり引き連れていたいわけ。いつの日か目覚めて、ティファニーで朝ごはんを食べるときにも、この自分のままでいたいの(引用終了)(p.63『ティファニーで朝食を』村上春樹訳)
ホリーは不安が心に迫るときに、お酒を飲むのでもなく、アスピリンでもなく、マリファナでもなく、「これまで試した中でいちばん効果があったのは、タクシーをつかまえてティファニーに行くことだったな。そうするととたんに気分がすっとしちゃうんだ」(同p.65)と言います。
これはホリーなりのMy favorite thingsだということです。
そして、アリアナもまたホリーと同じであり、マリアと同じように考えているのです。そして人からどう思われようと気にしない、、、と。
「ティファニーで朝食を」のホリーの言葉がアリアナに重なって聞こえてきます。
(引用開始)
「私のことを果てしなくずうずうしい女だと思っているでしょう。それとも脳たりん(トレ・フー)とか。なんかそんな風に」
「そんなこと思っていないよ」
彼女はあてがはずれたみたいだった。「ふん、思っているわよ。みんなそうなんだから。でも別にいいんだ。そう思われている方がらくちんだもの」(引用終了)(同p.32)
“I suppose you think I'm very brazen. Or tres fou. Or something."
"Not at all."
She seemed disappointed.
"Yes, you do. Everybody does. I don't mind.
It's useful." (Breakfast at Tiffany's pp.21-22)
そう思われている方がらくちんなのかもしれません(蛇足に蛇足を重ねますが、それが彼女たちなりの「隠れて生きる」ということかと)。
【書籍紹介】
ティファニーで朝食を (新潮文庫)
637円
Amazon |
ティファニーで朝食を (字幕版)
199円
Amazon |
ティファニーで朝食を―Breakfast at Tiffany’s 【講談社英語文庫】
821円
Amazon |
*英文はこちらを参照しました!