病気になったら、「治りたい」と思うのが一般的です。
でも、摂食障害(拒食症)の人は治りたくないのではないかと思います。
拒食症の人は、食べる量が少なくて、いつもお腹を空かせているイメージがありませんか。
たしかに、お腹を空かせている人もいるのですが、お腹が空かない人もいます。
お腹が空かないのは治したくないからです。
アドラー心理学には、目的論という考えがあります。
目的があり、原因があるという考え方です。
先に原因があるのではなく、先に目的があります。
赤面症で人と関われないという悩みを抱えている人のことで説明をします。
Aさんは赤面症で、人と話すときに顔が赤くなってしまいます。
そのことを恥ずかしく思って、人とかかわれずにいます。
原因があるから結果があるという考えだと、赤面症のために人とかかわれないと考えます。
目的論の場合はそうではありません。
人と関わりたくないので、赤面症という症状を作っていると考えます。
課題に取り組まなくてよいように、症状を作っているのです。
拒食症の人がお腹が空かないのは、避けたいものがあるからではないかと思います。
お腹が空かなければ食べずにすみます。
「お腹が空かないから、食べられなくても仕方がないよね」と理由ができます。
食べずにすんで拒食症でいることで、何かを避けることができます。
症状を理由に嫌なことから逃げているのです。
私は中学生のときに摂食障害になりました。
高校生のころは、摂食障害を理由に、体育の授業や修学旅行を休みました。
通院していたので診断書を書いてもらって、休むことができました。
人と一緒に何かをするのが嫌いなので、体育も修学旅行も嫌だったのです。
人にどう思われるかを気にしてしまい、かかわりを避けてしまいます。
体育や修学旅行という嫌なことから逃れるために、摂食障害を使っていました。
症状をなくすためには、課題に向き合わなければなりません。
さっきの赤面症の人の例だと、人とかかわる課題に向き合うことで、赤面症は改善されていくことでしょう。
拒食症の場合は、拒食症を使って避けているものを克服することで、
食欲が出てきて、回復に向かうと期待できます。
人と一緒に何かをするのが嫌でそれを避けるために拒食症を使っているならば、
人とかかわっていかなければなりません。
人とかかわる機会を作って、自分がどう思われるかを気にしないようになっていけば、食欲が出てくるでしょう。
もう、拒食症を理由に何かを避ける必要がなくなったからです。
拒食症といっても、人それぞれ何を避けているのかは違います。
その症状は何のために作っているのでしょうか。
それを知って避けることをやめれば、症状をなくすことにつながります。