The Key of Midnight -37ページ目

瀬名秀明 「パラサイト・イヴ」(漫画)

しかくの, 瀬名 秀明
パラサイト・イヴ

 

書影が出ませんでしたが、しかくのさんによる「パラサイト・イヴ」の漫画です。

・・・・・・ちなみに原作は読んだことありません。

原作を飛ばして漫画を読むのはタブーだと思うのですが、100円だったのでついつい。

・・・・・・本音をいえば、原作で読むより時間を短縮できるから、ということなのですが。

ともかく。

漫画版の感想です。


あらすじは多くの方が知っていると思われますが、ミトコンドリアが人間をのっとって支配しようとする話です。と言ってしまうとなんかなぁ・・・・・・と感じますが、「なんか」の内容が説明できないのでこれでいいということにしておきます。

とにかく、冒頭から専門用語の連発。

枠外に解説はされているのですが、それを読んでも何がなにやら。

でも、意味はわからなくても面白い。

そもそも、用語が全て理解できる人のほうが少ないでしょうし。

理解できる人のほうがより楽しめるとは思いますが、全く知らなくても大丈夫なように出来ている物語なので、安心して読めます。

しかし、瀬名秀明さんって一体どれだけ頭が良いんだか・・・・・・。

さすが元研究者。普通こんな話は思いつきません。

設定も凄いのですが、展開がまた・・・・・・。

途中までは不気味なトーンで進行していきますが、ラストのほうは全く予想不可能。

一体どうやったらこんな話にもっていけるんだ、と驚かされました。


内容は結構エログロ交じりだったりするので、そういったものが苦手な人にはあまり薦められませんが、少なくとも話題になるだけのことはある(随分昔のことですが)ストーリーです。

ホラー小説大賞受賞というだけあって、随所で背筋が寒くなりました。

特に、ラストの見開きは・・・・・・。漫画ならではの演出を上手く利用していて戦慄。

突飛な設定ですが、この物語のようにはならずとも、似たようなことはありえるかもしれない、と感じてしまいました。それが一番の恐怖ですね。

 

読み終わって、やっぱり原作で読んだほうが良かったかなぁ・・・・・・と思いはしましたが、絵も悪くないですし、短時間の割には十分楽しめたので個人的にはこれで良かったのかな。

原作を読んだ人からするとどうなのかはわかりませんけど・・・・・・。

ダイジェスト版のような感覚で楽しめました。

とはいえ、他の漫画に比べると分厚く、ボリュームはありますが。

また、パラサイト・イヴの漫画はどうやらこれだけではないようですが、他のも読んでみたいですね。

でも、何より原作。

機会があれば是非読んでみたいです。




福井晴敏 「亡国のイージス 4巻」(漫画)

横山 仁, 福井 晴敏
亡国のイージス 4 (4)

僕が最も好きな小説の一つ、「亡国のイージス」漫画版の最新刊。

漫画版の区切りでは第一部の完結編にあたります。

・・・・・・こんなところで第一部完なのか!? と最初見たときは驚きましたが、区切りとしては良いでしょう。

小説版で言うと、文庫での上巻ラスト100ページから下巻の冒頭にかけて。

上巻で一番盛り上がるシーン。

 

最初はちょっと・・・・・・と思っていた絵も、随分マシになってきています。

少しグロテスクな部分もありますが、迫力が出ています。一巻と見比べると、相当画力がアップしていますね。

映画ではカットされていたスワローテイル対のシーンも忠実に描かれていて良い感じです。

映画でこれも一部カットされていて不満だった、「発、いそかせ。宛、自衛艦隊司令部」から始まる、<いそかぜ>の宣言も全文そのまま使われており、個人的に高感度高いです。

また・・・・・・これは原作にあったのかどうか覚えていませんが、作中で憲法第九条が<うらかぜ>撃沈にかぶさって書かれてあったのも良いなぁ、と。妙に効果的です。

最近色々と軍事関係が問題になってきていますが、だからこそ「亡国のイージス」も再注目されるようになったのかな・・・・・・。

まあ、確かに多くの人に読んで欲しい作品ではあるので、良いんですけどね。

 

漫画版はともかく、原作の小説をまだ読んだことない方は是非ご一読ください。

今まで読んだ全ての本の中で、ベスト3に入るくらい面白かった小説です。

面白いだけでなくテーマも深い、そしてミステリ的な驚きも持ち合わせている、という文句のつけようがない大作。

長いですし、最初のほうは読みづらいかもしれませんが、絶対に読んでよかったと思えるはずです。

映画版、漫画版は原作を読んだあとで。

確かにそちらのほうが読みやすい、というのはあるのですが・・・・・・。やはり、原作にはかないません。

ちなみに、原作を読まれている方はこの漫画版4巻はお薦め。

最大の見せ場が十分に描かれていますので。

次回以降は対人戦闘が多く出てきますが、果たしてこの人の絵だとどうなるか・・・・・・。楽しみです。

シンフォニックレイン ボーカルアルバム「RAINBOW」

ゲーム・ミュージック, 笠原弘子, 岡崎律子, 西脇辰弥, 磯江俊道, 中原麻衣, 光宗信吉, 長谷川智樹, 浅野真澄, 安部潤
シンフォニックレイン ボーカルアルバム「RAINBOW」

 

「シンフォニック=レイン」というゲームの中でも使われている音楽の感想、なのですが。

その前に、まずはゲーム自体のことから。

公式サイトはこちら

まあ、紹介したところでほとんどの人が興味を抱かないだろうと推測されるので、若干ネタバレ気味ですが紹介を・・・・・・。

それほどたいしたネタバレでもないと思いますが、事前情報なしでプレイしたほうが良いので、気になった人は何も言わずにプレイしてみてください。特にミステリ好きの人。きっと驚くと思います。

自主的にゲームをすること自体、一年に数回あるかないか・・・・・・という僕でもそう思いますから。


このゲームは、いわゆるどんでん返しものです

それも、非常にミステリ的なトリックが仕掛けられた作品。

明らかに、読者を驚かせる、という目的の元にシナリオが書かれているのです、

登場人物の設定などを読んでいればある程度ミステリマニアなら判ってしまうレベルではありますが。

ただし、判ってしまっても最後には必ず驚きが待っています。

なぜならそれを逆手にとったトリックが仕掛られているので。

尤も、見えないところに隠れた仕掛けなので、最後まで読み終えても気づかない、という方もいると思いますが・・・・・・。どこか麻耶雄嵩氏の作品を思い出させるような意地悪さです(褒めてますよ)。

全体に仕掛けられたそれとは別に、一つ一つのシナリオのオチにも大きな意外性が待っていて、こちらでも相当衝撃を受けることは間違いありません。

その上、とても綺麗な話(実際裏ではどろどろしているのですが)で、読んでいて心地良いです。


追記ですが、このゲームの仕掛けは一旦全てのシナリオをクリアし終わってから発動する、と言っていいと思います。

小説では為し得ないトリック。まさに、ゲームであるからこそ成立する。

ただし、このトリックに自力で辿り着くのは相当困難。

その分、物語を理解したときの感動は言葉に出来ないものがあります。少なくとも、これに並ぶほどのトリックなんて、咄嗟にはEver17やRemember11くらいしか思いつかない。

ミステリを超越している、といっても良いほど。

・・・・・・ま、そんな感じで、ミステリが好きならやっておいて損はないです。

ただ、本当に深読みしないと気づかないような構成なので、考えるのが好きな人のほうが向いていますね。

 

そして、そんな「シンフォニック=レイン」の中で重要な位置をしめるのが音楽。

何しろ、音楽学校を舞台にした話なので、いくつも曲が出てきます。

しかも、そのどれもが名曲といって良いものばかり。

それらを集めたのがこのボーカルアルバム。

値段以上の価値はあります。

これだけ良い曲はなかなか見つからないです。

もちろん音楽も素晴らしいのですが、歌詞が凄すぎる

トリックに関わってくるのですが、プレイしたあとに聴くと、意味がわかって驚きます・・・・・・。

音楽自体を伏線、あるいはトリックに関係させてしまう、という試み自体は「Ever17」などでもあるのですが、その上で曲のレベルが高い。

個人的にお気に入りは「秘密」「メロディー」「fay」の三曲。

「メロディー」は明るく楽しげな調子の曲でありながら、歌詞がブラックです。

ゲームを知らない人がこれを聞いたらどう思うのか気になるところ・・・・・・。

このボーカルアルバム、もちろんそのまま聴いても良さは伝わると思いますが、できればゲームとあわせて聴いて欲しいです。


何だかんだで、ゲームのほうの紹介のようですが。音楽単体でも良いですよ、本当。

どちらもお薦め、ということで。できればどちらも。


何故か、ミステリゲームというと「かまいたちの夜」などを上げる人が多くて、この作品の名前を聞くことはまずありません。そもそも、ミステリという視点を無視しても、知っている人は一体どれくらいいるのか疑問です。

知名度は低いのかもしれませんが、「Ever17」とともに、これはミステリゲームのベストクラスの作品だと考えています。だからこそ、マイナーな作品であることが惜しまれるわけで。

この機会に、と取り上げてみました、


・・・・・・と、ここまで書いてきてこんなことを言うのもなんですが、

ミステリ的な展開を期待してプレイするとそこまで面白くないです。

大体、元のジャンル自体ミステリではありませんし・・・・・・。

あくまで「ミステリ的な企みが用意されたゲーム」という感じで受け止めてもらえれば良いかな、と。

ミステリっぽいストーリーではなくとも、少なくとも、仕掛けはミステリそのものです。是非プレイしてみてください。

今日の収穫

あーあ・・・・・・。

本を買うのは自制しよう、と決意したのが三日前。

本日購入した本、総計24冊。

・・・・・・何やってるんだろ自分。


以下、購入本リスト。


・小説

ウィリアム・アイリッシュ 「幻の女」

有栖川有栖 「孤島パズル」

泡坂妻夫 「亜愛一郎の逃亡」

北野勇作 「かめくん」

霧舎巧 「ドッペルゲンガー宮」

マイケル・ギルバート 「捕虜収容所の死」

倉阪鬼一郎 「内宇宙への旅」

倉知淳 「占い師はお昼寝中」

     「日曜の夜は出たくない」

ウィリアム・L・デアンドリア 「ホッグ連続殺人」

二階堂黎人 「聖アウスラ修道院の惨劇」

西澤保彦 「ナイフが町に降ってくる」

森博嗣 「そして二人だけになった」

     「魔剣天翔」

     「六人の超音波科学者」

     「捩れ屋敷の利鈍」

矢崎存美「ぶたぶた」

     「ぶたぶたの休日」

     「刑事ぶたぶた」

山口雅也 「キッド・ピストルズの冒瀆」


・漫画

原作・貴志祐介 漫画・新井理恵 「青の炎」

原作・瀬名秀明 漫画・しかくの 「パラサイト・イヴ」

原作・法月倫太郎 漫画・風祭壮太 「都市伝説パズル」


・その他

「AIR アンソロジーノベル」(これは気にしない方向で)

 


・・・・・・と、これらに加えて、ビデオ「隣人は静かに笑う」350円を購入。

買ったものを全部あわせると、3000円と少しでしょうか。

これだけ買ってその値段なら、交通費などを引いても十分に満足感はあります。

・・・・・・じゃなくて。

買いすぎたー!

帰り、あまりの重さに背負っていた鞄の紐が肩に食い込んで、今でも痛いです。

BOOK OFFは100円コーナーがありますから・・・・・・。一度読んだ本でも、状態が良くて持っていなかったりするとついついカゴに入れてしまったり。

今回購入した本のほとんどは100円です。森博嗣のVシリーズ二冊と倉阪鬼一郎を除けば、全部。

おかげで相当安く抑えられているのですけれど。

ともかく。100円だったらとりあえず買っておくか・・・・・・と一度思ってしまったら負けです。

結果がこれです。惨敗。

いくら気をつけても誘惑をのける(?)のは難しい。ほとんど病気のようなもので・・・・・・。

まあ、まだ積読は100冊台を越していないので良しとしましょう。

200冊になったら一旦買うの止めます。こればかりは決意しておかないと拙いですから。

今でも十分に拙いですが。

大地震がきたら即圧死は確実なので、自分の部屋で寝られないという状態。

寝室を別にしたところで、自室で過ごしているときに地震がきたらそれだけで一巻の終わりですが・・・・・・。

いつか何とかしましょう。・・・・・・いつか。

さて、今日で年内の買い物は多分最後。

買うだけ買ったので、あとは読むだけ。

年の最後くらいは良い読書がしたいので、ちょっとばかり計画をたてて読み薦めています。

年間ベストも選んでいる最中。今年は良い作品が多かったので悩みます。

小説以外でも、相当良い作品がいくつもありましたし・・・・・・。どうしよう。

年内には記事を書く予定ですが、無理なら新年にずれるかもしれません。

2005年も残り4日・・・・・・。

今年を振り返りつつ、ゆっくり過ごしたいと思います。



道尾秀介 「向日葵の咲かない夏」

道尾 秀介
向日葵の咲かない夏

分類不能、説明不可、ネタバレ厳禁! エンタメ界激震、超絶不条理ミステリ。 


終業式の日、学校を休んだS君の家に寄ってみると、彼は家の中で首を吊って死んでいた。

慌てて学校に戻り、先生が警察と一緒に駆け付けると、なぜか死体は消えている。

混乱する僕の前に、今度はS君の生まれ変わりとやらが現れて訴えた。

――僕は、殺されたんだ。

何がなんだか分からないまま、僕と妹・ミカの一夏の冒険が始まった。

 

 ◆ ◆ ◆

 

帯にかかれた「本気で物語をつくるっていうのはこういうことさ!」という言葉と、印象的なタイトル、そして「生まれ変わり」ものらしい、という情報から、これもまたそれほど事前情報なしに読んだ作品(ちなみに、帯の言葉は読了後に改めて見るとかなり納得できます)。

 

最初に言ってしまうと、これは感想の書きづらいタイプのミステリです。

とまあ、こんなお決まりの文句を書いてみた時点で大方の人にはある程度どういう作品なのか想像がついてしまうかもしませんが。

でも、これは非常に斬新なトリック。

似たものはいくつかあっても、これは飛びぬけています。同じトリックは少なくとも見たことがない。

実際の世界では起こりえないような現象を、上手く作品にとりいれている、というのはSFミステリっぽいですね。

あくまで作品世界のルールに忠実なので、このトリックは「あり」でしょう(尤も、「ルール」が少しあやふやではあるのですが。この点は少し不満かも)。

 

個人的に、「生まれ変わり」が出てくるとどうしても疑ってしまうある事柄があるのですが(もう何パターンも目にしてきたため)、

そのおかげで、トリック自体は「こんな感じなのか?」と少し想像はついたものの、解決で明かされる真相は予想を軽く上回っていました。

仕掛け自体には思わず笑ってしまったのですが、これは驚きます。

少なくとも、真相の全てを見抜ける人はいないでしょう。

大体、こういった作品群は、少し疑いながら読んでいくと途中でトリックが割れてしまうことがしばしばあるのですが。

これはおそらくほとんどの方が無理です。

なので、ある程度すれた方にもお薦めできます。

驚きを求める人にはぴったりの作品

怒る人もいるかもしれませんが。バカミスっぽいのも確かですし・・・・・・。

 

また、トリック抜きでの話ですが、内容が少し重いです。

いじめやら虐待やら・・・・・・。そういった類のものが作品全体のあちらこちらに満ちていて、読んでいて「痛い」と感じてしまう部分もいくつか。

それが気になる人には、少し辛いかもしれません。

でも、ミステリが好きなら読んでみて損はないです。

そうでない人も楽しめるでしょう。

来年度の「このミス」などにランクインしてもおかしくない作品。

8点



(めりー・・・・・・くりすます・・・・・・)

昨日はクリスマス・イブ、そして今日はクリスマスと、

外を出歩けば必ず赤と緑と点滅するライトが視界に飛び込んでくるような二日間でしたが、

そんな世間のイベントは無視して、自分はずっと年賀状書いていました。

流石に二日間を布団の中で過ごすような事態には陥らなかったものの、少なくともクリスマスらしいことは全くしていません。

毎回のこととはいえ、仮にもカトリック系の学校に通っているわけですし、少しくらいは何かしてもいいんじゃないかなぁ・・・・・・とは思っているのですが、

せいぜい、加納朋子さんの「ハロー、エンデバー」(「魔法飛行」収録)を読み返すくらいで。

・・・・・・去年も確かそうだった気がしますけど。


で、今日は午前中に図書館へ行ってきたのですが、やはりいつもに比べて人が少なく、クリスマスを図書館で過ごす人は珍しいのかもなぁ・・・・・・なんて思ったり。

本屋のほうは、まだ人がいましたけれどね。


以下はいつもどおり、ここ最近借りた本&買った本のリスト。


・借りた本


あせごのまん 「余は如何にして服部ヒロシとなりしか」

有川浩 「空の中」

スタンリイ・エリン 「最後の一壜」

トム・ゴドヴィン他 「冷たい方程式」

道尾秀介 「向日葵の咲かない夏」

森山赳志 「黙過の代償」

・買った本

スタンリイ・エリン 「九時から五時までの男」

大阪圭吉 「とむらい機関車」

ジョン・ディクスン・カー 「火刑法廷」

小林めぐみ 「食卓にビールを 4」

朱川湊人 「わくらば日記」

サイモン・シン 「暗号解読」

ジョン・スラデック 「見えないグリーン」

アイラ・レヴィン 「死の接吻」

原作 福井晴敏・漫画 横山仁 「亡国のイージス 4」(漫画)

こうして書き出してみると、海外作品が割と多いかも。

大体、海外作品を購入する際には幻影の書庫 さんの海外ミステリ百選 を参考にさせていただいています。

ほとんど翻訳ものを読まない人間にとっては、大変ありがたいです。

横文字の出てくる小説を読むこと自体が苦手なので、読了には普通の国内作品の二倍くらい時間が掛かってしまうのですが、

それでも、いわゆる名作と呼ばれているような作品群くらいは読んでおくべきかな、と。

他は・・・・・・。

朱川湊人さんの「わくらば日記」は、読む前から「これは当たりだろう」と確信できますね。

絶対面白いです。今まで、朱川さんの作品で面白くなかったものなんて一つもありませんし。

これはなんとか年内に読みたいと思います。色々予定が詰まっているので厳しいかもしれませんが。

「向日葵の咲かない夏」は、どうやら「生まれ変わり」関連のようなので借りてきました。

転生ネタが大好きなので。

多分、これは明日には読み終えます。

その他の本は新年に持ち越しですかね。


これだけあれば冬休みの間は本に困りませんが、明後日に町田へ出かけるので、BOOK OFFでまた何冊か本を買うことになりそう。

・・・・・・折角積読を減らしてきたのに、また三桁に逆戻りか?

いくら読んでも、このペースで買ったり借りたりしていると追いつかない・・・・・・ということは自覚しているのですが、止められないのが恐ろしいです。

来年こそは気をつけるようにしないと。



あせごのまん 「余は如何にして服部ヒロシとなりしか」

あせごのまん
余は如何にして服部ヒロシとなりしか

クリクリとよく動く尻に目を射られ、そっと後をつけた女は、同級生服部ヒロシの姉、サトさんだった。
ヒロシなら、すぐ帰ってくるよ―。
風呂に入っていけと勧められた鍵和田の見たものは、緑色の張りぼての風呂桶。
そこに裸のサトさんが入ってきて…。
ゆっくりと自分が失われていく恐怖を描く、第12回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。
 

 ◆ ◆ ◆

 

日本ホラー小説大賞は、個人的に結構注目している賞で、

本書は第一次選考結果が発表されたときからタイトル、作者名が印象強く気になっていたものです(長編ですが、「子猫を食べる」もインパクト強かった・・・・・・でも受賞には至らず)。

尤も、タイトルの印象が強くても中身が面白くないといけないわけで。

本書には四つの短編が収録されており、どれも方向性は違うものなのですが、そんなに「面白い」と思える作品はなかったかな・・・・・・。

というよりは、文章が苦手です。この人の。

言葉のセンスなんかもそうなんですけど・・・・・・。


表題作は、ホラーといっていいのかどうか迷いますが、とにかく奇妙な話。

これがまた・・・・・・。つまらない、というわけではないのですけど。少なくとも読んでいていい気分はしません。これは他の作品すべてにもいえます。

オチもあるのかないのか良くわかりませんし、なんだか読んでいてネタを継ぎ接ぎして作ったような短編だ、と感じました。


二つ目の「浅水瀬」がこの短編集の中では一番面白かったです。

ただ、これも怪談話をまとめて一本の短編にしたような感じで・・・・・・。しかも最初の数ページが読んでいて疲れます。作者はバイクマニアなのでしょうか。

それでも、この短編は変わった味があっていいです。


次の「克美さんがいる」は、嫌な感じ。読んでいて気分が悪いです。もしかしたら、それが作者の狙いなのかもしれません。それなら成功している、ということになるのでしょうが・・・・・・。

ちなみに、一番ミステリっぽい作品です。オチが小林泰三を思い出させるような一編。


最後は、タイトルがすごいですね。

あせごのまん」。

作者名と同じ名前をつけた作品、というのは初めてみました・・・・・・。

どこか、民話っぽい話で、どこの言葉なのかはわかりませんが全て方言で綴られています。

これを読むと・・・・・・。なんでこの作者は「あせごのまん」というペンネームをつけたのか、気になって仕方がないのですが。

ペンネームが合って、この物語を考えたのか、それとも物語を作ってからこの名前にしたのか。

どちらにしろ、何でそんなことをしたのか気になります・・・・・・。タイトルが一番面白い作品。


この作者、「独特の味」がある作品ばかり書いているようですが(このミス大賞に応募していた作品もかなり奇抜な設定だった・・・・・・)、ただそれだけ、のように思えてしまうのがなんとも。

一つネタを思いついたから、それだけで小説にしてみました・・・・・・という感じなんですよね。少し残念です。

別に小林泰三さんや朱川湊人さんのレベルを期待していたわけではないのですが。

次が出ても読むかどうかは微妙。扱っているネタは面白いので、それ以外の部分が良ければ・・・・・・。

5点です。奇妙な話が好きな人は読んでみても良いかもしれません。



若竹七海 「スクランブル」

若竹 七海
スクランブル

80年代、16歳の冬。女子高のシャワールームで死体が発見されるが、事件は未解決。

15年後、文芸部員だった6人の仲間が結婚式で再会、事件の真相は明かされるのか。

学園ミステリー長編!

 

 ◆ ◆ ◆

 

以前「若竹七海さんの作品はほとんど読んだことがない」と漏らしたときに、さかきさんにお薦めをもらった本。

ジャンルからあらすじまで、何一つの事前情報もなく読んだのですが(ハードカバー版で手にとったのですが、カバーのどこにもあらすじが書いていなかった・・・・・・)、途中までは長編小説かな? と思っていたら、連作短編なのか・・・・・・・いや、やっぱり長編なのか? と、色々と混乱・・・・・・。

さすがに二章目を読み終えたときには全体の構成はつかめたので、問題はありませんでしたが。

連作短編のようなつくりでもあり、長編でもある、というのが正しいのでしょうか。

卵の調理方法にちなんだ章が5つあって、それぞれに一つの小さな謎が登場し、その章の中で解決される。

また、それとは別に全体を貫いている謎――シャワールームで起きた密室殺人事件――があり、これが本書のメインでしょう。

ほぼ全編が「過去の回想」形式になっており、「現在」パートでは結婚式の様子が描かれるのですが、この結婚式における花嫁が誰なのかは最後まで明かされません。

同時に、現在パートの最初で「金屏風の前に犯人がいる」という描写が出てきて、もちろんその名前は最後まで明かされないのですが、語り手がどんどん変わっていくために「金屏風の前にいる人物」が絞られてきて、犯人が推測しやすくなります。・・・・・・当てられませんでしたが。


花嫁も犯人もそこまでの意外性があるわけではありませんが、それでも作品としては面白いです。

青春小説とミステリが上手く合わさっていて、それも青春小説部分がやたらと「クール」なんですよね。

爽やかではないのですが、若竹さんらしい独特の冷やりとした感覚が全体を覆っています。

これが何とも不思議な感じ。

やはり、「クール」としか表現できません。

でも好きです。

ミステリ部分も面白いのですが、青春小説としてみたほうが個人的には楽しめる一冊でした。

高めの7点

聖園招待

本日は聖園招待に参加してきました。


聖園招待とは、色々な理由から親と一緒に暮らせない子供たちが集まって過ごしているところ――これが聖園ですが、ここの子供たちを学校に呼んで皆で一緒に遊ぼう、という催し物で。

今年はこれに参加して、マジックサークル全員で演技をしよう、と決まったのが数ヶ月前。

ここ一週間はこのために学校に遅くまで残って練習をしていました。

基本的には、先月のオープンスクールの時と同じ感じかな、と思っていたのですが、

実際今日演じてみると。

子供たちが予想以上に元気で、相当大変でした。

というより、既に演技どころではないといった状況も何度か・・・・・・。

それでも、初めてにしてはそれなりに成功したほうだった・・・・・・と思います。

某エセフランス人マジシャンの演じているマジックをいくつかアレンジして演じてみたら割と評判が良くて、こちらが驚かされたり。

もちろん本物にはかなわないわけですが。

別に「トレビアーン」などと叫ばなくても、十分にあの人のマジックは凄いです・・・・・・。

自分で演じてみて、そのことを改めて思いしらされました。


マジックサークルの演技は午前のみで、午後からは小講堂で色々な出し物を鑑賞したのですが、

その中の一つ、ブラスバンド部演奏のドラムの人が凄まじかった・・・・・・。

それ以外の表現が咄嗟に見つからないほど。

どうしたらそんなに早く手を動かすことができるんだ!? と。格好良かったです。

また、ハンドベルやジャグリング、ブレークダンスなど色々と見ていて面白く、

見終わった後には、マジックって地味だな・・・・・・とみんなで沈んでいたりしたのですが、

まあ、自分たちも負けないように頑張らないと・・・・・・という感じですかね。

反省会はひたすら暗い雰囲気でしたけど・・・・・・。

AIRのサントラをかけていたのが原因の一つだと思われます(あの曲は暗すぎる)。

でも、マジックがジャグリングなどに比べると地味であるのは確かなので、

子供たちを相手に見せるのはあまり向いていないのかもなぁ・・・・・・と感じたり。

派手目なステージマジックならまだしも、僕の学校のサークルでは、基本的にカードやコインを使ったクロースアップマジックの練習しかしていないので。

しかも、不思議さを追求するとより地味になっていく・・・・・・というのがマジックですから、かなり難しいです。

それでも、努力次第で解決できる問題なので、結局は練習不足なだけでしょう。

はっきりと言ってしまうと辛いですが。せめて、文化祭までには技術を磨いておかないと。


聖園招待、来年の参加は微妙ですが、非常に良い機会でしたし、何より楽しめたので参加してよかったですね。

子供たちと遊ぶということ自体なかなかないので、こういうのもたまにはいいかも・・・・・・と思いました。


で、それは良かったのですが、

昨日から鼻水が出て、頭が痛くて、のどもはれている・・・・・・という状況で、

無理して大声をあげて演技していたら、

完全に風邪引きました(いや、悪化したといったほうが正しいか)。

おかげで本読む気も起きません。

明日のクリスマス・イブは、どうやら一日中布団の中で過ごすことになりそうです・・・・・・。

さて、今日は早めに寝ないと。



田代裕彦 「平井骸惚此中ニ有リ 其貳」

田代 裕彦
平井骸惚此中ニ有リ〈其2〉

那須の一等地にあるホテルで休暇、という避暑のお誘いに一も二もなく飛びついた骸惚先生(と河上くん)だが、華族・日下家の遺産問題に絡んだ事件に巻き込まれることに――。

折からの嵐により密室と化した洋館で、次々に謎の死を遂げていく日下家の跡取りたち。

絡まる華族たちの思惑は、更なる事件を呼び起こす……。

大正十二年を舞台に、探偵作家・平井骸惚の活躍(おまけで弟子の河上くん)を描く、本格ミステリの第二弾!

 

 ◆ ◆ ◆

 

一巻の感想で、「もう少しミステリ部分が凝っていたらよかったのに」と書きましたが、本書は十分それをクリアしていました。

前回同様の古めかしい独特の文体と、魅力的なキャラクターたちの掛け合い。

そして、「嵐の山荘」状態のクローズド・サークルで起きる殺人事件。

読みやすく、普通に面白い。

また、ミステリ部分もやっぱり良く考えられている。

前例はあるものの、面白いトリックで、

真相(犯人といったほうが良いか)が明かされたときに、一番最初に思い浮かんだのは某有名アンチ・ミステリなのですが、正直こちらのほうが納得しやすいです。

動機などを含めて「これなら、それだけのリスクを犯してもおかしくないか」と思えたので。

少なくとも、十分読者を納得させるだけの力はある真相です。

また事件自体とは別のところで、平井骸惚の語る「考え」が興味深く、これも一つの見所でしょう。


ライトノベル・ミステリの中でも、この人が書く作品は、特に本格の度合いが高いと思います。

米澤穂信さんや桜庭一樹さんとともに、ライトノベルが好きな人にも、ミステリが好きな人にも受け入れられる作家ではないかと。

まだ未読の人は、「キリサキ」か「平井骸惚此中ニ有リ」か、どちらか手にとってみることをお薦めします。

少なくとも、ミステリが好きならつまらないということはないでしょう。

本書の評価は7点。残り三作も、これなら期待できそうですね。