The Key of Midnight -35ページ目

大阪圭吉 「銀座幽霊」

大阪 圭吉
銀座幽霊

前巻『とむらい機関車』と共に、戦前探偵文壇に得難い光芒を遺した〈新青年〉切っての本格派、大阪圭吉のベストコレクション。

当巻には筆遣いも多彩な十一編を収める。

著作リスト、初出時の挿絵附。

収録作品 三狂人/銀座幽霊/寒の夜晴れ/燈台鬼/動かぬ鯨群/花束の虫/闖入者/白妖/大百貨注文者/人間燈台/幽霊妻 解説・山前譲

 

 ◆ ◆ ◆

 

大阪圭吉は戦前の作家で、第二次世界大戦時に戦病死されてしまった方ですが、

一部の間ではかなり高い評価を得ている人だとはしっていながらも、戦前の作品は読みにくそう・・・・・・という理由で今まで手を出していなかったのです。
でも、いざ読み始めてみると、思ったより読みやすい。

文章がうまい、というわけではないのですが、むしろ独特の味があっていいです。

そして何より、ミステリとして高い完成度。

戦前の作品だから、そんなに驚くような作品はないだろうと思っていたのですが、一番最初に収録された「三狂人」を読んで驚愕。現代でも通用するようなトリックです。

それから、ほとんど一気に全部読んでしまいました。

ほとんどどれも傑作と読んでも良い作品ばかりなのですが、その中でも特に強く印象に残っているのは「三狂人」「寒の夜晴れ」「燈台鬼」「人間燈台」の四編。

 

「三狂人」は完全に騙されました。軽く見ていたせいもあるのかもしれませんが、細かな伏線やミスリードがすばらしいです。こんな作品が戦前に既に書かれていたのか、と驚きました。

「寒の夜晴れ」は目から鱗の足跡トリック(実際は足跡ではなくスキーの跡ですが)と、読み終えた跡に残る悲しさや切なさが良いです。

「燈台鬼」は本当に凄い作品。大がかりなトリックと、意外な真相。

この短編集の中ではベスト。是非、これだけでもいいので一読を。

「人間燈台」は割と短めの話ですが、真相には驚かされます。これはいろいろ書くとネタが割れそうなので、「読むべき」とだけ。

 

収録されている作品のほとんどはトリックメイン。それも、今読んでも驚けるようなものばかり。

一編一編が短く、すぐ読めるので、気になった人は最初の一話だけでも立ち読みしてみることをお勧めします。そうすれば、きっと全部読みたくなるはず。

雰囲気や挿絵が好きなので、少し高めにつけて9点。こんなに傑作揃いの短編集は現代でもなかなか見ません。

新本格以降の作品ばかり読んでいる方でも、ミステリが好きなら一読する価値はあると思います。

東野圭吾 「白夜行」

東野 圭吾
白夜行

1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。

容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。

被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂―暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。

二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。

だが、何も「証拠」はない。そして十九年…。

息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。

心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長篇。
 

 ◆ ◆ ◆

 

明後日から放送されるドラマまでに読み終わるよう、正月から少しずつ読み進めていたもの。

あちらこちらで絶賛されていたので、容疑者Xほどではないだろうけれど、それなりに期待できそうだな・・・・・・と思って読み始めたのですが、

読後、自分の予想は甘かったと認識。

これは、容疑者Xより凄い。

東野さんの中でも、自分の中ではベストの作品。

どんでん返しもなく、それどころか意外な展開というのもほとんどなくて、最初から最後まで淡々と話は進み、またラストも本当にあっさりとしているのですが、

あまりに余韻が強烈すぎる。

 

亮司と雪穂という、共生関係にある二人が歩んだ十九年間。

その間、彼らに関わった人間は、何らかの不幸な目にあっていく。

ちらつく犯罪の数々。だが証拠はなく、確信は得られない・・・・・・。

それどころか、前半は一つ一つのエピソードのつながりさえ見えてこない。

亮司と雪穂の関係は不明ですし、二人の心情もわからない。

それが、中盤からラストにかけて、すべてのエピソードが絡み合い、二人の物語があらわれてくる。

・・・・・・本当、構成に舌を巻きます。一切の無駄がない。ここまで緻密に計算された構成は、あまり見ないでしょう。

他者の視点を通じた、いくつものエピソードを積み重ねていくことで主人公たちの人生を書いているのですが、そのため主人公たちの心情などはほとんど書かれていません。

それなのに、とても共感できる。十九年もの間、偽りの昼を生きてきた彼らに。

読後に残る感覚は、なんと表現していいのかわからないのですが、一番近い感情は哀しみ、ですね。

でもこれは、読んだ人にしかわからないと思う。

凄い、でもその凄さは決して言葉では伝わらない。

ミステリではないけれど、東野圭吾の代表作、と呼ぶのにふさわしい作品。

10点に近い9点

 

ちなみに、ドラマは一番最初から原作のラストのネタバレをしています。未読の人はご注意を。

ドラマがどうなるかはわかりませんが、原作の出来があまりにすばらしいので、出来れば原作を読んでからドラマを見た方がいいと思います。

近刊情報

気になる刊行予定とか。

 

1月11日 高田崇史「QED 神器封殺」(講談社ノベルス)

購入確定。どうやら袋とじらしい・・・・・・。図版のため?

 

1月12日 連城三紀彦「戻り川心中」(光文社文庫)

復刊。せっかくの機会なので、未読の人は是非。

ページ数からすると、「夕萩心中」収録の花葬シリーズは未収録のようですが。

 

1月20日 鯨統一郎「パラドックス学園」(光文社カッパノベルス)

あの「ミステリアス学園」と何らかの関わりがあるのか?

気になります。「学園」シリーズでしょうか。

 

1月23日 はやみねかおる「ぼくと未来屋の夏 1巻」(講談社シリウスKC)

ミステリーランドで刊行されていた作品の漫画化。

はやみねかおるなので、一応購入予定。


2月12日 朱川湊人「赤々煉恋」(東京創元社)

せきせきれんれん、と読むらしい。刊行ペース早すぎる・・・・・・。

ミステリーズ!に連載されていた真紅のシリーズでしょうか。

 

2月18日 はやみねかおる「オタカラウォーズ」(講談社青い鳥文庫)

これもはやみね作品なのでチェック。

ミステリではないようですが・・・・・・。

 

2月 中町信「空白の殺意」(創元推理文庫)

「高校野球殺人事件」改題。解説を折原一が担当している(はず)。

中町信だからこれもすごいんでしょうね・・・・・・。

 

2月 福井晴敏「OP.ローズダスト」(文藝春秋)

上下巻。また長い作品を・・・・・・。久々の新作なので、その分期待も高いです。

以前に連載されていて途中で終わったものに大幅な加筆修正が加えられての出版。

 

2~3月 大山誠一郎「双竜町事件ー仮面幻双曲」(小学館)

電子書籍で刊行されていたものの単行本化。

双子もののミステリとしてとんでもなく凄い作品なので、この機会に多くの人が手にとってくれればいいなあ、と。

 

とりあえずぱっと目に付いたものだけ挙げてみました。

 

ちなみに、明日から新学期です。

日記の割合が多くなると思いますが、そこはお許しを。


法月綸太郎 「都市伝説パズル」(漫画)

法月 綸太郎, 風祭 壮太
都市伝説パズル―法月綸太郎の事件簿
 
日本推理作家協会賞を受賞した「都市伝説パズル」を含む四編の漫画化。
僕は「都市伝説パズル」のみ原作で読んだことがあって、他はこれが初めてだったのですが、やはり法月綸太郎らしくどれもストレートな本格でした。
 
「都市伝説パズル」
あとがきで法月さんも書いていますが、原作は終始会話だけで成立しており、動きがありません。
これだと漫画化したときに味気ないので、多少のアレンジが加えてあります。
それでいながら、肝心のロジックなどは原作通りでうまくまとまっていて、原作を読んだことが無くても楽しめると思います。
シンプルかつ綺麗なロジック、無駄を一切省いた構成。
本当に良くできているので、未読の方は原作でも漫画でもいいので是非一読を(個人的には原作推奨)。
 
「黒衣の家」
これも話としてはシンプル。
前例はいくつか思いつきますが、やはりこのネタはいいですね。好きです。
・・・・・・もっとも、「前例」には劣ってしまうのは仕方ありませんが。
 
「現場から生中継」
犯行時間、容疑者は生放送のTVに映っていた、という完璧なアリバイ。
このアリバイは崩れるのか・・・・・・? と、そんな内容ですが、これは完全にミスリードされました。
全く真相に気づかなかったです・・・・・・。思い当たっても良さそうなのに。
そこが巧さなのかも。
 
「世界の神秘を解く男」
心霊現象もの。
殺害トリック(?)は、いくらなんでもそんな危険なことはしないだろう・・・・・・と思ってしまいますが、
それなりには面白いですね。でも、他の作品に比べると若干ミステリとしては弱いような。
漫画化や映像化するのに向いていますね。
 
以上、四編。
本格ミステリとして面白いです。
原作を読んでおいたほうがいいような気はしましたが・・・・・・。
これだけでも、とりあえずは楽しめると思います。
でも、そのうち原作も読まないと・・・・・・。

「ひぐらしのなく頃に解 皆殺し編」(ゲーム)

「ひぐらしのなく頃に」公式サイト


10時間ほどかけて、ようやく読み終えました。

先入観一切なしでプレイしたほうが良いゲームなので、これからプレイする予定の人は以下の文章を読まないほうが良いかもしれません。

先入観を与えてしまうようなことを沢山書いていますので・・・・・・。

重大なネタバレはありません。


・・・・・・で、早速感想ですが、

解決部分以外は面白かったです。

中盤の、作中でも最もと言っていいほどの盛り上がりなど、

読んでいて心拍数が上がるのを感じました。

犯人が判明する前までは、シリーズの中でもトップクラスに面白く(ミステリ、ホラー部分を抜いての話)、

キャラクターの言動などが気になることもなくて、凄い凄いと物語に熱中していたのですが。

 

後半、あかされる真相。

・・・・・・・これはミステリ的には反則でしょう。

最初の10分で嫌な予感はしていましたが、

論理的に推理して解答を導くのはほぼ不可能、正答率1%も納得です。

伏線はありませんし、これが許されるならどんな真相でもありな気がします。

また、犯人は逆に多くの人が想像できるものですし(自分は・・・というのは別にしても)。


だからといって、別にひぐらしが悪い、というわけではないです。

そもそも、これがミステリだとは誰も言っていませんし、最初は「人の手によるものか、それとも祟りか」という謎もあったわけですから・・・・・・。

問題は、この話をミステリととらえてしまった自分のほうにあるのかなー、と。

ただ、真相を推理する、というのがこのゲームの楽しみ方の一つである以上、やはるある程度ルールは守って欲しかったです。


もう一つ、真相以外にも、終わり方が好きになれません。

今までの話だと、どれだけ後味が悪くても、ラストに必ず切れ味がありました。本作は、エンディングを迎えても「終わった」という感覚がわきません。何か、すっきりしないのです。

今まで以上に、「次に続く」要素が強いというか。

「祭囃し編」は、本格的に「皆殺し編」の続編になるということでしょうか。

 

先にも書きましたが、後半を除けば本当に良くできています。

中盤は、「少女には向かない職業」反転版とでもいうような感じで(本当は「祟殺し編」の例を挙げるのが正しいのでしょうが)。

少し違っただけで、こういう話にもなりえるんだ、と驚きました。

ここでの、盛り上げて落とし、また盛り上げて・・・・・・という手法は巧いです。

その繰り返しで、完全に話に引き込まれてしまいます。

それにしてもこの作者、本当に嫌な人間をかくのが得意ですね。本気で嫌悪感を覚えました。

この「落とす」部分が酷いからこそ、盛り上がりもいっそう大きいわけで。

とにかく圧巻。全くミステリでもホラーでもないのですが、今までのひぐらしの中でもこのエピソードは特に好きです。

「罪滅ぼし編」のラストに向かう過程も凄かったですが、それ以上。

これを読むだけでもプレイする価値はあります。

 

そして、毎回のことですが雰囲気に合った音楽も良いです。

特にdaiさん の音楽、さらにその中でも「Thanks」「You」は相変わらず素晴らしい。

途中で流れ始めた時に思わず泣きそうになりました。

「Confession」も良いですね。ほかにも色々。

良くこんなにぴったりの音楽を見つけるなぁ、と感心します。


「ひぐらしのなく頃に」という作品全部が好きな人は、間違いなく楽しめる話。

逆に、ひぐらしを推理ものとしてとらえていた人にとっては、期待はずれになってしまうかも。

ミステリ的には最悪、でも話としては面白い・・・・・・ということです。

次回で本当に最後となりますが、残った謎は解かれるのかどうか。

とにかく期待、です。


加藤元浩 「Q.E.D. 証明終了 22巻」(漫画)

加藤 元浩
Q.E.D.―証明終了 (22)

いつもと同じく、二話の短編を収録。

どちらも最後に一捻りがあり、さすがQ.E.D.、と思わせてくれます。

 

「春の小川」

記憶消失もの。

割と普通の話だな、と思っていたら最後に別のところに仕掛けられたトリックが。

割と賛否両論でそうですが、結構好きなタイプの仕掛けです。

ありがちといえばありがちですが、まさかQ.E.D.でこんなものをやるとは。

・・・・・・ある意味、以前の巻に収録されているとある作品は、この伏線だったのかも。

ただ、トリックに気づくための伏線が少ないです。

普通の人はまず気づけない・・・・・・。驚けるからいいのですが。

 

「ベネチアン迷宮」

アラン・ブレードが登場する話。

これも、一見単純な真相に見えるのですが、その裏に・・・・・・。

普通では気づけない、というのは「春の小川」にも共通していますが、

一部の人は気づけるのかも。結構驚かされます。

でも、この話で一番驚いたのは、シリーズとしての展開のほうだったり。

こんなに進展するとは思ってませんでした・・・・・・。


どちらも、伏線が少なすぎるという点を除けば、ひねりも効いていて良い作品。

このシリーズはどの巻から読んでも大丈夫ですが、本書はシリーズ読者のほうが楽しめると思います。



直木賞候補作

平成17年度下半期、第134回直木賞候補作が発表されました。

 

伊坂幸太郎 「死神の精度」

荻原浩 「あの日にドライブ」

恩田陸 「蒲公英草紙」

恒川光太郎 「夜市」

東野圭吾 「容疑者Xの献身」

姫野カオルコ 「ハルカ・エイティ」

 

既読は、「死神の精度」「蒲公英草紙」「容疑者Xの献身」の三冊。

「夜市」は大変興味があったのですが、値段の割にページ数が少ない・・・・・・ということで購入を見送りにしていました。

残りの二冊は完全にチェック外。


・・・・・・しかし、

また東野圭吾落とす気ですか、選考委員の方々(というより某氏)。

ここまでくると東野さんに酷すぎます・・・・・・。

今度こそはとって欲しいです。

伊坂幸太郎は、「死神の精度」も良いですが、話の内容や各所のレビューを見た感じでは、今回は見送りで次回の平成18年度上半期に「砂漠」がノミネートされそうな予感。

それと・・・・・・、恩田陸の「蒲公英草紙」。

これも個人的には受賞して欲しい作品。

今回は、「容疑者Xの献身」か「蒲公英草紙」のどちらかが受賞する・・・・・と思いますが、そもそも3作品も読んでいない作品があるのでなんとも。

今までの、何らかの作為が働いているとしか思えない東野作品の境遇を考えると「蒲公英草紙」が一番可能性高そうです。

発表まであと二週間もないですが、今回は候補作が豪華(?)なだけに、何が受賞するのか楽しみですね。

倉坂鬼一郎 「内宇宙への旅」

倉阪 鬼一郎
内宇宙への旅

美人編集者・宇野あずさから、書下し中篇を依頼された、ホラー作家・倉阪鬼一郎。

注文通り、「読者に意識の変容を迫り、作者の内部の空洞が読者に憑依するような作品」の執筆を開始する。

幼少時の記憶を辿りながら書き進めるうち彼は、自分の小学生時代の記憶が極端に曖昧であることに気がついた…。

作中作に前代未聞のトリックを配した、気鋭のミステリアス・ホラーSF。

 

 ◆ ◆ ◆

 

やはり倉阪鬼一郎はただものではない・・・・・・。

最初の方は一見自伝のようで、いくつか興味深い事実も。

特麻耶雄嵩と同じ高校出身だとか、西澤保彦と良くカラオケに行くとか(しかも西澤さんはよくアニソンを歌うらしい)・・・・・・。

あくまで自伝もどきではありますが、たぶん本当なんでしょう。少し笑ってしまいました。

でも、もちろんそれはどでもよくて、倉阪鬼一郎の本領が発揮されるのは後半に入ってから。

明らかになる、とんでもなく多大な労力をかけたのであろう、かけらも意味のない前代未聞のトリック。

大爆笑。

そして、テキストの暴走。

ホラーをねらってるのか笑いがとりたいのかよくわからないです。

でも凄い・・・・・・。

以前に読んだ倉阪さんの作品のいくつかにも、これに似た仕掛けはありますが・・・・・・。

また、泡坂妻夫さんの某作などもこのタイプですね。

でもこれは、その中でも特に無駄(悪い意味ではありませんよ)。

どれだけ苦労して書いたのかはわかりませんが、やっていることは無意味です。

そこがいいです。こんなトリックを使うのは倉阪鬼一郎くらいでしょう。

作品としてどうなのか、なんてことはこの際どうでも良いです。

このトリックを楽しめただけで十分。

まあ、ストーリーも何もあったものじゃないんですが、

よくこんなもの書いた、ということで7点

相当好き嫌いがはっきりわかれそうですが。

個人的に、一番この手の仕掛けで笑えたのは「文字禍の館」なんですけどね。

これも十分驚けますし、笑えます。

 

しかし、作者にしてみれば、労力に釣り合わない仕事ですね・・・・・・。

それでも、これからもこういう作品は書いていって欲しいです。

倉阪鬼一郎しか、書く人はいないのですから。



恩田陸 「エンド・ゲーム」

恩田 陸
エンド・ゲーム

「裏返さ」なければ「裏返される」
正体不明の「あれ」と戦い続けてきた拝島親子。

だが母は倒れ、一族最強の力をもつ娘だけが残された。

“ゲーム”の行方は?

十数年前に失踪した父の真意は?

息もつかせぬ展開の果てに、驚愕の真相が明かされる!

大好評既刊『蒲公英草紙』とは別の顔を見せる、新たなる「常野物語」。

 

 ◆ ◆ ◆

 

2006年、最初に読んだ本がこれ。

「光の帝国」に収録されていた「オセロ・ゲーム」の続編、あるいは本編にあたる物語。

同じ常野物語でも、昨年出版された「蒲公英草紙」などどは全く異なった雰囲気です。

あちらにあった切なさや暖かい雰囲気などはほとんど見あたりません。

表紙絵のイメージが実にぴったりくる、というか。最後までダークな話です。

感じ的には「月の裏側」などが近いかも。

幻想的で、どこかホラーっぽいです。

でもやっぱり恩田さんの作品ですから、とにかく面白い!

少しだけ、と思って読み出したらいつのまにかやめられなくなっているような。

特に章の最後の引きが強いです。

三ヶ月ごとの連載だったので、リアルタイムで読んでいた人は続きが気になって仕方がなかったでしょう。

 

まさにオセロ・ゲームの盤面のごとく、話は何度もひっくり返り全く先が読めない。

予想外な展開の連続に、何が偽りで何が本当なのかわからなくなります・・・・・・。

「罠と嘘の迷宮」という言葉通りで、最後まで気が抜けません。

ミステリ好きには、割と受けそうな話ですね。

 

しかし、常野物語でこういう話が出てくるのは、何とも意外というか。

裏を見せられたような気分。

僕はどちらかといえば「蒲公英草紙」のような表の常野物語のほうが好きですが、

こんなダークな話もたまにあると良いですね。

一連の常野物語が好きな人は読んでおくべきでしょう。8点

次の常野物語は、達磨山の神かくしの話が読みたいです。

「ひぐらしのなく頃に」推理

つい先日、「ひぐらしのく頃に」の、最後の解決編にあたるという「皆殺し編」が発表されました。

「ひぐらし」はほとんどの人が知っていると思いますが、

知らない人は公式サイト をご参照ください。

このゲーム(の問題編)、前半部が相当辛いのですが、後半に入ると不可解の謎の連続にどんでん返し、圧倒的な恐怖と、ミステリ、ホラー好きなら絶対に楽しめる要素が満載。

個人的に、キャラクターと文章と絵(それは言っちゃダメ、と何度も言われた)がかなり苦手なのですが、それでも後半の展開は凄いの一言です。

解決編の二話であかされる真相は、それほどの意外性があるわけでもなかったのですが・・・・・・。

まだまだ、メインの謎は残っています。

このゲーム、選択支などが一切無い代わりに自分で真相を推理する、というのがゲームとしての「遊び方」であるため、

自分も最後の解答を見る前に少しだけ推理を書いてみます。もちろん、「罪滅ぼし編」までの完全ネタバレ。

全部読み終えている人だけ反転させてください。

「皆殺し」まで終わっている方は思い切り笑ってやってください・・・・・・。

コメント欄のネタバレは禁止、で。

 

以下、ネタバレ

 

まず、「祟殺し」の謎。

殺したはずの沙都子の叔父はなぜ生きていたのか。

もう一人の「圭一」とは何者か。

橋から突き落とされた圭一が、「大災害」の被害に遭わなかったのはなぜか。

・・・・・・これらの謎を説くカギは、「双子」であると思います。

大胆な説ですが、村人全員、そして村自体が「双子」である。

村人は皆「双子が生まれやすい」という血を持っている。

園崎姉妹はこの伏線です。

「雛見沢」とそっくりそのまま、同じような村が「雛見沢」の隣に存在し、

それぞれに双子が分かれてすんでいるのです。

この二つの村を併せたものが、本当の「雛見沢」という一つの村。

それぞれの村をA、Bとします。

Aは、圭一(祟殺しの語り手)が越してきた村。Bは、圭一が橋から落とされた村です。

まず、圭一はBにすんでいる叔父Bを殺害、そのまま村Aに戻った。

当たり前のことながら、村Aには叔父Aが生きて存在する。

その後、まあ色々ありまして、結果的に圭一は村Bの吊り橋から沙都子Aに突き落とされました。

そして、圭一が村Bで昏睡している間に、村Aは大災害によって消えた。

この大災害とは、巷でも流れている説ですが、やはり細菌兵器が原因かと。

これが、何らかのきっかけによって漏れだしてしまった。

ちなみに、二つの村をつなぐ場所が診療所であったのだと思っています。

診療所が二つあると不自然ですからね・・・・・・。入江などは、一人しかいないはずですから。

 

さて、これで叔父と圭一が生きていたわけはOKです。

次に、もう一人の圭一。これは、村Bにも圭一がいたからです。

圭一は村の人間ではないはずなのに、なぜ・・・・・・?

それは、「同姓同名の人物」でなんとかなるでしょう。前原圭一なんて、割と多そうな名前ですからね。

そして、この同姓同名の人物(圭一B)こそが、鬼隠し編の語り手である圭一なのです。

おそらく、プレイした人のほとんどは、祟殺しの「もう一人の圭一」が、鬼隠しにでてきた「圭一」と酷似した行動をとっていることに気づいたはずです。

でも、二つの物語が違う軸に存在する、そして語り手の圭一が全員同一人物だ、という思いこみのせいで「ただの偶然」で片づけてしまっていたでしょう。

「鬼隠し」と「祟殺し」は実際には同一軸上に存在する。

この事実を隠すために、二つの間に「綿流し」という別の軸の物語を挟み、さらに罪滅ぼしで「ループ現象(あるいは平行世界?)」が存在することを見せた。

また、実際には「鬼隠し」「祟殺し」の圭一の立ち絵はでてきていない。

二人が別人であってもおかしくありません。叙述トリックですね。

 

最後に、そのほかの謎についても軽く。

まず連続殺人の犯人ですが、

鷹野・入江・富竹。主犯は鷹野。

梨花殺害には強力な麻酔が使われていたでしょう。意識がある人間を生きたまま解体するのはほとんど不可能に近いです。

そのようなものが簡単に入手できるのは鷹野、あるいは入江のみ。

入江が共犯者としていたほうが楽でしょう。

富竹は状況的に鷹野のお手伝い役かと。証拠隠滅のため、計画の最後の年に入江とまとめて殺されたということで。

それと、鷹野の死亡推定時刻なのですが、これは作中にでてきた鷹野(立ち絵がある人)が鷹野じゃなかった、ということでしょう。

つまり、犯人も鷹野ではない、ということなのですが、都合上ここでは鷹野と呼ばせていただきます。本物は真鷹野。

連続殺人計画が立てられたのは、二年目以降のこと。奇妙な事件が同じ日に二年続けて起こった、という事実を利用して、「祟り」というシステムを作ろうとした。

この時点で、真鷹野を殺すことを鷹野は考えていたと思います。殺意があったのかどうかはわかりませんが(計画のために使っただけ、とも考えられる)。

鷹野はこの時期から、特定の人間たちを選んで自分が鷹野という人間であることを強調しておきます。

あくまで、特定の人たちだけに。それが、ひぐらしの「部活メンバー」だったのでしょう。

入江は共犯者なので関係なし。死体も顔が判別できないくらい燃やされていたために、すり替えも気づきません。

ではなぜこれだけ前から計画を立てながら、奇妙な状況になってしまったのか。

これはアリバイ工作の失敗。富竹殺害が関わってくるのではないかと。詳しく書くと長くなるので省略。

富竹の殺害方法は、全く解けなかったので、祭具殿に保管されていた未知の毒薬ということで・・・。

残りの謎のほとんどは、被害妄想と幻覚で解明がつきます。足音もそうです。というかそれしか思いつきません。

時系列問題なんかは考えても無駄な気がするのでスルー。

以上で、考察を終了とします。

 

ネタバレ終わり

 

なんだか、ものすごく長くなってしまいました。

ちなみに、上記の推理は確実に不正解です。

よく考えたら絶対ありえません。

わざわざ考えるまでもなく矛盾点が見つかってしまうのですが・・・・・・。

でも、結局これ以外に思いつきませんでした。

この推理自体、自分の好みが相当反映されていますし。

双子ネタが大好きなもので。叙述トリックも。

また、基本的にほぼ全て自分で考えた考察(妄想といったほうが近いですが)なので、もし全く同じ推理をされている方がいても、決して真似ではないのでご勘弁下さい。

まあ、こんな滅茶苦茶なことを考えている人もあまりいないでしょうが。

それと、某有名作品と同じようなトリックなのはそれを参考にしたからです・・・・・・。

 

解決編は冬休み中に出来ればプレイしますが、

いったいどうやってあれだけの大量の謎に説明を付けるのか、本当に楽しみ。

若干不安もあるのですが、うまく解決してくれると信じます。