シンフォニックレイン ボーカルアルバム「RAINBOW」 | The Key of Midnight

シンフォニックレイン ボーカルアルバム「RAINBOW」

ゲーム・ミュージック, 笠原弘子, 岡崎律子, 西脇辰弥, 磯江俊道, 中原麻衣, 光宗信吉, 長谷川智樹, 浅野真澄, 安部潤
シンフォニックレイン ボーカルアルバム「RAINBOW」

 

「シンフォニック=レイン」というゲームの中でも使われている音楽の感想、なのですが。

その前に、まずはゲーム自体のことから。

公式サイトはこちら

まあ、紹介したところでほとんどの人が興味を抱かないだろうと推測されるので、若干ネタバレ気味ですが紹介を・・・・・・。

それほどたいしたネタバレでもないと思いますが、事前情報なしでプレイしたほうが良いので、気になった人は何も言わずにプレイしてみてください。特にミステリ好きの人。きっと驚くと思います。

自主的にゲームをすること自体、一年に数回あるかないか・・・・・・という僕でもそう思いますから。


このゲームは、いわゆるどんでん返しものです

それも、非常にミステリ的なトリックが仕掛けられた作品。

明らかに、読者を驚かせる、という目的の元にシナリオが書かれているのです、

登場人物の設定などを読んでいればある程度ミステリマニアなら判ってしまうレベルではありますが。

ただし、判ってしまっても最後には必ず驚きが待っています。

なぜならそれを逆手にとったトリックが仕掛られているので。

尤も、見えないところに隠れた仕掛けなので、最後まで読み終えても気づかない、という方もいると思いますが・・・・・・。どこか麻耶雄嵩氏の作品を思い出させるような意地悪さです(褒めてますよ)。

全体に仕掛けられたそれとは別に、一つ一つのシナリオのオチにも大きな意外性が待っていて、こちらでも相当衝撃を受けることは間違いありません。

その上、とても綺麗な話(実際裏ではどろどろしているのですが)で、読んでいて心地良いです。


追記ですが、このゲームの仕掛けは一旦全てのシナリオをクリアし終わってから発動する、と言っていいと思います。

小説では為し得ないトリック。まさに、ゲームであるからこそ成立する。

ただし、このトリックに自力で辿り着くのは相当困難。

その分、物語を理解したときの感動は言葉に出来ないものがあります。少なくとも、これに並ぶほどのトリックなんて、咄嗟にはEver17やRemember11くらいしか思いつかない。

ミステリを超越している、といっても良いほど。

・・・・・・ま、そんな感じで、ミステリが好きならやっておいて損はないです。

ただ、本当に深読みしないと気づかないような構成なので、考えるのが好きな人のほうが向いていますね。

 

そして、そんな「シンフォニック=レイン」の中で重要な位置をしめるのが音楽。

何しろ、音楽学校を舞台にした話なので、いくつも曲が出てきます。

しかも、そのどれもが名曲といって良いものばかり。

それらを集めたのがこのボーカルアルバム。

値段以上の価値はあります。

これだけ良い曲はなかなか見つからないです。

もちろん音楽も素晴らしいのですが、歌詞が凄すぎる

トリックに関わってくるのですが、プレイしたあとに聴くと、意味がわかって驚きます・・・・・・。

音楽自体を伏線、あるいはトリックに関係させてしまう、という試み自体は「Ever17」などでもあるのですが、その上で曲のレベルが高い。

個人的にお気に入りは「秘密」「メロディー」「fay」の三曲。

「メロディー」は明るく楽しげな調子の曲でありながら、歌詞がブラックです。

ゲームを知らない人がこれを聞いたらどう思うのか気になるところ・・・・・・。

このボーカルアルバム、もちろんそのまま聴いても良さは伝わると思いますが、できればゲームとあわせて聴いて欲しいです。


何だかんだで、ゲームのほうの紹介のようですが。音楽単体でも良いですよ、本当。

どちらもお薦め、ということで。できればどちらも。


何故か、ミステリゲームというと「かまいたちの夜」などを上げる人が多くて、この作品の名前を聞くことはまずありません。そもそも、ミステリという視点を無視しても、知っている人は一体どれくらいいるのか疑問です。

知名度は低いのかもしれませんが、「Ever17」とともに、これはミステリゲームのベストクラスの作品だと考えています。だからこそ、マイナーな作品であることが惜しまれるわけで。

この機会に、と取り上げてみました、


・・・・・・と、ここまで書いてきてこんなことを言うのもなんですが、

ミステリ的な展開を期待してプレイするとそこまで面白くないです。

大体、元のジャンル自体ミステリではありませんし・・・・・・。

あくまで「ミステリ的な企みが用意されたゲーム」という感じで受け止めてもらえれば良いかな、と。

ミステリっぽいストーリーではなくとも、少なくとも、仕掛けはミステリそのものです。是非プレイしてみてください。