「女子高生に殺されたい」　★★★～世の中には想像を超える変態がいる

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2022』の掲載にあたって」

世の中には想像を超える変態がいる ★★★

田中圭

南沙良

河合優実

莉子

茅島みずき

細田佳央太

大島優子

【あらすじ】

　“女子高生に殺されたい”という夢を持つ東山春人は、高校教師となり一躍生徒たちから人気を得る。

　生徒たちに慕われる日常生活を送りながらも、「完全犯罪であること」「全力で殺されること」の理想的な殺され方を実現するため、9年間にわたって完璧な計画を練り上げてきた。

　そして、その計画は高校の文化祭で実行されることになるのだが―

【コメント】

　さて、今回は劇場鑑賞をちょいとお休みし、AmazonPrimeVideoでのんびりと自宅鑑賞。最近は劇場公開後、レンタルを待たずして動画配信される作品が多くなったので、映画ファンとしては嬉しい限りです。

　その中でこれはとチョイスしたのが本作。本作は今年4月に劇場公開され、ネットでちょっと話題になっていて、公開当時僕も劇場に足を運ぼうかと思っていた作品です。結果的に劇場鑑賞はスルーしレンタル待ちとしていたんですが、いち早くアマプラで配信開始されていたので、これはもう観るしかないだろうと鑑賞してみた次第です。

　ふむ、なるほどね。学園青春ドラマのテイを持ちながら、女子高生に殺されるために教師になった主人公の半生を絡めながら計画から実行までを描いた学園ミステリー。一見爽やかな青春学園ものではありながら、設定は一風変わっているので新鮮ではありました。

　とはいえ、本作は結局何だったのか？と考えると、ひとりの変態が人生を懸けて絶頂に達するまでの工程と、それに巻き込まれていく周りの人間たちを描いたもの以外にテーマ性は感じられなかったですかね。要するに、世の中には想像を遥かに超えた変態人間が存在するということだったんでしょうか。映像はとてもフレッシュで初々しいですが、その軸にあるのは他人とはおおよそ共有できない異常性欲を行動に移したドロッとした内容でしたね。

　それぞれの人が持つフェチシズムってのは千差万別で、胸やお尻、足首や鎖骨、二の腕やうなじに至るまで、様々な部位に色気を感じる。ぽっちゃりやガリガリなどの体系や、髪をかき上げる、足を組む、ネクタイを緩める、腕まくりをする等のしぐさにグッとくる人もいるし、年下や年上、妄想やシチュエーションで興奮したり、あるいは自分の命をも危険にさらすようなフェチもいるわけです。

　本作の女子高生に殺されたい願望も、そんな妄想・シチュエーション・死といったフェチシズムが複雑に絡み合った結果、行動として具現化したものだったんだろうなと。こんな人間いねーよ、と思う人はまだまだ視野が狭いので、これを機会に調べてみるとよいでしょう。中には地球相手に性欲を満たす人間も存在しますから。