「バスカヴィル家の犬シャーロック劇場版」　★★★☆～単純にミステリーとして見応えあり

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2022』の掲載にあたって」

単純にミステリーとして見応えあり ★★★☆

ディーン・フジオカ

岩田剛典

新木優子

広末涼子

村上虹郎

渋川清彦

西村まさ彦

佐々木蔵之介

小泉孝太郎

稲森いずみ

椎名桔平

【あらすじ】

　犯罪捜査コンサルタントの誉獅子雄と精神科医の若宮潤一は、瀬戸内海の離島に住む資産家・蓮壁千鶴男と娘の誘拐未遂事件の犯人捜索の依頼のためWebで面会していたが、その最中、千鶴男が目の前で変死するのを目撃する。

　真相を探るべく島に上陸し蓮壁家の一族に会った獅子雄と若宮。そこで二人は、島に古くから伝わる魔犬の呪いの話を聞かされる。

　そんな中、新たな殺人事件が発生、真相を探る二人に待っていたのは、蓮壁家に隠された秘密だった―

【コメント】

　ここ最近、TVドラマの劇場版という作品の鑑賞が続いている中、これはTVドラマ全く観てなかったけど劇場版は観てみたいと思ったのが本作。世界的な名作であるアーサー・コナン・ドイルの「シャーロックホームズ」シリーズを日本版に置き換え2019年にフジテレビでディーン・フジオカ＆岩田剛典主演で放送されていた「シャーロック」の3年越しの映画版というシロモノです。コロナ前だったのね。

　先にも言ったとおり、僕はTVドラマ全然観てませんでしたし、劇場版の告知を見るまでドラマの存在すら忘れてました。しかしながら、なぜか予告編に目を惹かれ、よくよく調べてみたら監督が西谷弘じゃあありませんか。あの傑作『容疑者Xの献身』を生み出したあの監督なんだ、TVドラマも演出したのかと初めて知り、こりゃあちょっと期待できるかもとTVドラマ未見ながら劇場版を鑑賞しようと思い立った次第です。

　そんなわけで、さっそく「立川シネマシティ」に足を運び鑑賞してみました。

　とりあえずですね、ディーン・フジオカと岩田剛典のキャラ設定とか佐々木蔵之介をはじめとした刑事たちとの関係性はドラマを観てなかったので分からなかったとしても、単純にミステリー映画として十分に楽しめる作品だったと思います。これは、監督やキャスト云々よりも、単に傑作として知られる原作が良かったからでしょう。原作未読なんでよく分かりませんが。

　本作が面白かった理由として、推理系ミステリーという王道のテイを持ちつつ、単純な犯人は誰だ？とか犯行のトリックとかの小手先だけが見どころではなく、その奥にあるドロッとした人間関係や数十年前に遡った過去の因果や罪、血筋といった背景にこそ見どころがあるということ。昨今のミステリーはここら辺がしっかりしてないと逆に面白くないです。西谷弘監督だけにオープニングから只者じゃない雰囲気を醸し出しているので目を惹かれるし、後半に行くにつれ、その真相が明るみになっていくところは釘付け。果たして“家族”は救われたのか救われなかったのか、といった見方によって変わるラストシーンもとても良かったと思います。

　とはいえ、ドラマを観てなかったので、そもそも論で申し訳ないですが、ディーン・フジオカと岩田剛典のキャラ設定はどうなん？と。本作に限っては、全体的に暗くてウェットなストーリー展開に対してこの二人がすごく浮いた感じになっているんですよね。ディーンフジオカはイケメンだけど全然表情豊かじゃないし、かといってクールな感じも無いし飄々としてもいない。なんか無理やり傍若無人さを演じているのが見え見えなんですよね。ちょいとシャーロックホームズを演じるにはキャスティングが違うんじゃないかなと、今さらながら感じてしまいました。