「あなたの番です劇場版」　★☆～紙一枚分くらいペラッペラの薄いミステリー

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2022』の掲載にあたって」

紙一枚分くらいペラッペラの薄いミステリー ★☆

原田知世

田中圭

西野七瀬

横浜流星

浅香航大

奈緒

山田真歩

三倉佳奈

金澤美穂

大友花恋

袴田吉彦

片桐仁

野間口徹

門脇麦

田中哲司

田中要次

竹中直人

木村多江

生瀬勝久

【あらすじ】

　―もし、マンションの住民会に出席したのが妻ではなく夫だったら、そして交換殺人ゲームが始まらなかったら―

　マンション“キウンクエ蔵前”に引っ越して2年後、晴れて結婚した菜奈と翔太は、船上ウェディングパーティを企画、住民会を通じて親しくなったマンション住民たちを招待する。

　パーティ当日、豪華な披露宴が開催される中、またしても連続殺人事件が発生。菜奈と翔太は犯人捜しに乗り出すのだが―

【コメント】

　さて、いつもの週末の仕事帰り、行きつけのTSUTAYAで新作を物色しようと立ち寄ったところ、目にとまったのが本作。2019年に日テレで放送された秋元康企画・原案の連続ドラマで、異例の2クールという放送期間のなか、謎が謎を呼ぶ展開に考察する視聴者が続出し大いに話題となったのも記憶に新しいところ。そのドラマから、“もし交換殺人ゲームが始まらなかったら・・・”というパラレルワールド的な発想から製作されたのが劇場版である本作なわけです。

　本作は、正月映画として昨年末に公開されており、当時ちょっと劇場で観てみようかなとも思ってたんですが、連続ドラマを早々に脱落した僕としては、わざわざ足を運ぶ必要もないかなと感じ、今般レンタル開始ということで手に取ってみた次第です。

　僕がそもそも連続ドラマのほうを早々に脱落してしまった理由としては、真犯人が分かるまで半年待たされるのかというダルさ、伏線張り過ぎ・謎多すぎで整理がつかない、どうでもいいドラマ部分で尺稼ぎすぎ、田中圭の甘ったれた「菜奈ちゃ～ん」というセリフに地味にイラつく、そもそも交換殺人のリアリティがなさすぎ、と言い出すとキリがないくらい。ということで、1クール終わらないうちに真摯に鑑賞するのをやめ、ただただテレビを付けているだけの超絶流し見状態にシフトした次第。なので、内容は全然追いかけられてない状態で真犯人が解明される最終回だけはしっかり鑑賞という反則的見方をしてました。まあ、主役級の菜奈ちゃんが1クール終わりに退場したのは衝撃でしたが。

　テレビ版がそんな感じだったので、あな番には何の思い入れもなく映画版を鑑賞したわけですが、140分のという長尺の映画にもかかわらず、なんともまあペラッペラの薄っすいミステリーだこと。テレビ版に負けず劣らずの、長いわりに何の見応えも感じないミステリー映画でしたね。

　まあ、そもそもこの劇場版というのが、テレビ版が好きだった人のために作られた言わばファンムービー的位置づけだと思うので、早々に脱落したファンでもなんでもない僕がつまらんと感想を綴るのも本末転倒かとは思います。とはいえ、本作はただただ「犯人は誰だ！？」的な部分と殺害トリックの面白さだけにとどまってしまっていて、それが分かってしまえばもう二度と観ることはない作品になってしまっている（そもそも数々の伏線を回収しているのかどうかも怪しい）。しかも、殺害理由が「愛しているから」と来たもんだから、深みも奥行きもあったもんじゃない。

　過去に何度か書いていますが、推理系ミステリーの面白さは真犯人の意外さや殺害トリックの面白さももちろんあるんですが、やっぱり殺害に至った経緯や背景、犯人の心情・苦しみ、人間関係の複雑さといったパーソナルな部分を深掘りしてこそだと感じるわけです。本作はライトなミステリー、ファンムービーであるとはいえ、あまりにも雑だし練っていないし、テレビ版に頼り過ぎている部分も多すぎる気がしますね。