「さがす」 ★★★★~ポン・ジュノ直系の巧みでエグい衝撃作! | そんなことより恋をしろ

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※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

 これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

『シネマ報告書2022』の掲載にあたって

 
ポン・ジュノ直系のエグい衝撃作!
★★★★
(C)2022「さがす」製作委員会

 

(2022年/日本/123分)
 
【 脚本・監督 】
片山慎三
 
【 出演 】
佐藤二朗
伊東蒼
清水尋也
森田望智
石井正太朗
松岡依都美
成嶋瞳子
品川徹
 

 

【あらすじ】

 

 大阪の下町で貧しい生活を送っている原田智と中学生の娘・楓。

 ある日、智は懸賞金300万円目当てに指名手配中の連続殺人犯を追い行方をくらます。必死に父親の行方を捜す楓は、雇い現場の作業員に父の名前を見つけたものの、まったく別人の若い男だった。

 その後、楓はその若い男こそが指名手配中の連続殺人犯だと分かり、父親に何かがあったことを確信する。しかし、父親には思いもよらぬ秘密が隠されていた―

 

 

【コメント】

 

 今回鑑賞したのは、名バイプレイヤーなのかコメディアンなのか、とにかく濃くてユーモラスなキャラが面白い佐藤二朗主演の本作。今回は雰囲気的にコメディエンヌキャラは封印したシリアス路線のようです。

 本作は前々からチラシや予告編を見て知っていて、ちょっと気になっていた作品。後から知ったのですが、本作の監督・片山慎三は、世界的にも有名な韓国の映画監督ポン・ジュノの助監督も務めていたそうです。

 ともあれ、昨今流行りのヒューマンミステリーとお見受けしたので、一路「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

 

(C)2022「さがす」製作委員会

 

 ・・・放心、唖然呆然。本作の鑑賞後、なんか凄ぇ作品を観てしまったと、ため息が漏れてしまいました。鑑賞前はよくあるヒューマンミステリーだろうとタカをくくって観たら、思った以上に陰湿でエグく、先が全く読めない展開。オープニングで佐藤二朗がハンマーを素振りしているシーンから、これはただの映画じゃあないぞという空気を即座に感じ取れるし、あの結末を誰が予想できようか。とにかく、ポン・ジュノの助監督の肩書は伊達じゃない!巧みなストーリーテリングで思った以上にエグい衝撃作でした!いやぁ~めっちゃくちゃ面白かったですよ、これ!

 

 前もってあらすじは読んでいて、日雇いのダメ親父が懸賞金目当てに連続殺人犯を追い、そこから行方不明に。その一人娘が父親の行方を追って名簿に父の名前があった工事現場に向かったところ、全くの別人だった。父親は一体どこに行ってしまったのか・・・というのが前情報で知ることができるストーリー。だけどこれは序盤も序盤で、全くの別人というのが懸賞金の掛けられた連続殺人犯なわけで、早い段階で一人娘ともニアミスして対峙することになるんです。

 

 だけど本作、ここからが本番なんです。序盤はどちらかと言えば一人娘の楓の目線で物語が展開していて、その後、急に3カ月前に遡り連続殺人犯の名無しの目線でストーリーが展開する。そこで彼が何をやってきたか、彼の異常な性癖の目覚めが明かされるわけです。そしてさらに13カ月前に遡り、楓の父親である智の視点で、彼の家庭で何が起こったのか、名無しとどういう関係性があったのかが展開され、最終的にオープニングのハンマーの素振りに帰結していく。

 視点を変えたストーリーテリングが本当に巧み、かつ陰湿で思った以上にエグい。直接的な描写はありませんでしたが、なかなかに衝撃的なシーンもある。ただ、ちょっとどこかユーモラスなシーンや家族の絆といったドラマなシーンもあったりして、見応えは十分。

 

 佐藤二朗のモンスター級の怪演がとにかく凄い。これまで真面目に演技してるのかどうかも分からないくらいふざけたキャラが多かったあの佐藤二朗が、本作では存在感がハンパない。鳥肌が立つくらい恐ろしい存在として君臨しています。

 そして、何と言っても一人娘役である伊東蒼の存在も欠かせない。まだまだ垢抜けていない純朴な少女でありながら光り輝いた演技。同級生におっぱい見せちゃったりも。映らないけどね。

 ラストシーンの父と娘の長回しの卓球ラリーは、父娘の固い絆を見事に表現していた印象的なシーンでしたね。

 

(C)2022「さがす」製作委員会

 

 本作は、実際に日本で起こった座間事件とALS嘱託殺人事件が題材となっているようで、軸となっているのは死。安楽死や軽い気持ちで選択する死、救済の名のもとに人の死を弄ぶ人間、色んな登場人物の視点から見ることができる、とかくタブーとなりがちな死というものについて、いろいろと考えさせられる作品でもあったと思います。

 ともあれ、小難しいテーマは抜きにしても本作はとにかく衝撃作。観終わってもじわじわと沁みてくる強烈な作品であることは間違いありません。

 

 

【2022年度 Myランキング】(1/23時点)

 

 本作は、本年度のベスト10中2位(暫定)にランクイン。

 またまた頚椎症が痛い。

 

(ベスト)… ★★★☆以上が基準

 

  1位:スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム ★★★★☆

  2位:さがす ★★★★

  3位:ブラックボックス 音声分析捜査 ★★★☆

  4位:クライ・マッチョ ★★★☆

  5位:

  6位:

  7位:

  8位:

  9位:

 10位:

 次点:

     

     

     

 

 (ワースト)… ★★☆以下が基準

 

  1位:

  2位:

  3位:

 

<その他ランク外一覧>

 


 
 
『さがす』の公式サイトはこちら

 

 

 

 

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