【幕張の最前列BOX ~桃色席種レビュー'22~】 | 監督のささやき戦術

 3月28日(月)に女子ソフトボール『ニトリJDリーグ』の開幕戦で訪れた、今季初のZOZOマリンスタジアム

 プロ野球開催時と比べてチケット競争率が低く価格も安いチャンスを生かし、初潜入を果たした特殊席種の話をさせていただく。

 

 

 2018年オフの大規模改修工事でさまざまな席種が誕生したZOZOマリンスタジアム。今回トライしたのもその際に新設された席種。

 『東洋合成ダグアウトボックス』である。

 

 前述の大改修工事の際に、位置がぐわっと前にせり出したダグアウト。その跡地スペースに作られたのがこの席種。

 こちらは2018年の『スーパーマリンフェスタ』の時に撮った工事中の写真。

 

 完成当時の2019年から3シーズンの名称は『濱田重工120周年記念ダグアウトボックス』だったが、今季から現名称に。

 ネーミングライツを取得した東洋合成工業株式会社は、千葉県を拠点とするハイテク材料の世界的メーカーだそうだ。

 

 

 『東洋合成ダグアウトボックス』エリア内の全景。

 その名の通りのボックス席種で、5名定員のボックスが全部で10区画。

 今回座ったのは一塁側だが、三塁側にもまったく同じエリアがあるので、両側合わせて20ボックス100席ということになる。

 

 各ボックス内はすべて同一の仕様。

 向かい合わせで2名ずつ、俗にいうお誕生席に1名という配置になっている。

 フィールドに対して少し遠いお誕生席だけちょっと嵩上げされている、というささやかな親切設計。

 

 ネーミングライツ企業の東洋合成の社名が大きくプリントされた、中央のテーブル。

 スリムなサイズなので5人全員が一斉に弁当を広げたりしたらちと手狭だが、譲り合って使えば十分に便利である。

 

 ボックス内のシートは跳ね上げ式。

 座面、背面ともメッシュ素材になっていて座り心地がよく、通気性もよいので夏場の観戦も快適なことだろう。

 

 テーブルを囲む形で「コの字」に配されているそのシート。会食にはいいかもしれないけど試合見にくくない?と思われるかもしれないが、ご安心を。

 シートはすべて回転式で、試合を見るときはフィールド方向、メシ食う時はテーブル方向と自由に向きが変えられるようになっているのだ。これは便利で親切な設計である。

 

 席からの眺めはこんな感じ。

 旧ダグアウト跡地に作られているので、目の前は新しいダグアウトの屋根。

 後ろの内野スタンドとの高さ調整のためか、その屋根の高さよりも一段低い位置となっているため、座ると思いのほか視点が低く、ダグアウト上の『やきとり日本一』の広告が常に視界に入り続ける

 

 プロ野球開催時であれば、ダグアウトを行き来する選手たちを臨場感たっぷりに見られるだろうが、この日やっていたのはソフトボール。

 ファウルグラウンドはグッと狭く、ダグアウトもフィールド上で結構遠く、臨場感という意味では物足りず。それどころか、この試合に関して言えばソフトボールゆえの構造的欠陥ともいえる致命的な見切れ席となってしまっていたのだ。というのも……

 フェンスに囲まれたソフトボール用サイズのフィールド。その最前列に陣取る多数のプレス関係者が見事に障害物となってしまい、内野のほぼ全域が死ぬほど見にくかったのだ……

 せっかくソフトボールを見に来たのに、ただひたすら黄色いビブスを眺め続ける、などという虚しいことはごめんだったので、試合中はほとんど内野自由席の上の方に陣取って観戦。

 なのでせっかく取れたこのボックス席には、実はあまり滞在していない。

 

 初のZOZOマリン開催だったため、ソフトボールのレイアウトだとそれぞれの席からどう見えるのか?という検証がきっとできていなかったのであろう。

 もしまたこの球場で開催することがあったら、今回を教訓にプレスエリアを別の場所に移すか、この席は見切れ扱いにした方がいいと思う。

 

 

 そんなソフトボール観戦には不向きだった『東洋合成ダグアウトボックス』は、プロ野球開催時は法人限定のシーズンシート

 お値段はなんと275万円、つまり1席55万円。

 そりゃ限定せずとも法人が対象となる価格だが、画像右隅には「キャンセル待ち」の表記が。値段は高いが人気も高い席種のようである。

 

 

 ソフトボール開催という特殊条件だったため、観戦環境はこの日に限って難ありだったが、居住性に関しては抜群の『東洋合成ダグアウトボックス』。

 他球場で似たような席種だと、ベルーナドームの『コカ・コーラ ダグアウトトップシート』が思い浮かぶが、こちらはすぐ目の前のフィールドの臨場感に加えて、仲間と食べたり飲んだりのグループ観戦も同時に楽しめるという強みもあり、希少性も高い良席であった。

 次はぜひともプロ野球開催時に利用してみたいところだが、そのためにはまずここのシーズンシートオーナー企業に勤めていて、なおかつそこそこ以上にお偉い方にお近づきにならねば……。

 もしそんなレアキャラをご存知の方がいらっしゃったら、ぜひご紹介いただきたい。

 

 

 この10年ばかりのうちに続々と新席種が誕生し、珍席種愛好家にとって嬉しい球場となったZOZOマリンスタジアム

 数えてみたら、潜入調査を果たした「ちょっと変わった席種」のラインナップも、以下の通りだいぶ多くなっていた。

 

 ①『ミニストップシート』(2015.4)

 ②『お座敷ボールパーク』(2015.9)

 ③『バド・バーベキューガーデン』(2016.5)

 ④『フィールドテラス・スイート』(2016.9)

 ⑤『セブンイレブンスタンドデッキ』(2017.4)

 ⑥『グランドシーサイド・シート』(2019.3)

 ⑦『ホームランラグーン』(2019.5)

 ⑧『LOTTE 爽 サブマリン・シート』(2019.11)

 

 嬉しいことに、ZOZOマリンにもまだまだ残っている未踏の珍席種。今後も精力的にフィールドワークに励みたいと思う。

 

 

 いつか場内に珍席種を作りたいと密かに目論んでいるが、資金のめどは一向に立たないくせに研究調査にだけは余念がない当スタジアムへの皆様のご来場を、引き続き心よりお待ちしております。