Niccolò Machiavelli ②<原文で読む古典の楽しみ>イタリア語 | Laylahの猫足イタリア語

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らいらです。「NHKまいにちイタリア語」でのやり直しイタリア語の学習記録をぺたり♪イタリア語で伝える愛の言葉・愛の表現もどうぞ☆

ひらめき電球今日覚えた使えるイタリア語




朗読の響きが心地よいイタリア古典文学。白崎容子先生の「原文で読む古典の楽しみ」。ダンテ『神曲』、ペトラルカ『俗語断片詩集』、ボッカッチョ『デカメロン』、ロレンツォ・デ・メディチ『謝肉祭歌集』
に引き続き、マキャヴェッリ『君主論』を書き起こしましたネコ




本 原文で読む古典の楽しみ

  
黎明期からルネサンス時代のイタリア文学
   Quattro passi nella letteratura classica italiana



右矢印イタリア古典文学作家6人の作品を通して、現代とは異なる黎明期からルネサンス期のイタリア語の響きを楽しみ、魅力に触れ、気に入った一篇を口ずさめるようになるのが、この講座の目的の1つ。



La letteratura italiana delle origini e del Rinascimento
黎明期からルネサンス時代のイタリアの古典文学




くーさん 白崎容子先生のセリフ

パパ Marcoさん(斜体字)のセリフ

(スクリプトがなく答え合わせもできないのですが、学習の記録としてディクテーションに挑戦したものをそのまま載せています。
途中の猫まーく(ネコ)は私の感想などです)





12月8日放送分
Lezione 18 Niccolò Machiavelli




«Il Principe» Capitolo ⅩⅩⅤ
ニッコロ・マキャヴェッリ『君主論』第25章




くーさん 今日はマキャヴェッリ『君主論』の2回目です。


パパ Da «Il Principe» di Niccolò Machiavelli, Capitolo XXV.


くーさん 第25章の一部を読んでみましょう。

マキャヴェッリの2つのキーワードの1つである fortuna 「運命」について述べています。

タイトルは?


パパ 
Quanto potere abbia la fortuna nelle cose umane e in che modo le si deva resistere.


くーさん 「運命は人間の世界にどれほどの力を持つか、どうやってこれに抵抗すべきか」

25章の出だしの部分、まず前半から聞いてみましょう。



E' non mi è incognito, come molti hanno avuto e hanno opinione che le cose del mondo sieno in modo governate dalla fortuna e da Dio, che gli uomini con la prudenza loro non possino correggerle, anzi non vi abbino rimedio alcuno; e per questo potrebbono iudicare che non fussi da insudare molto nelle cose, ma lasciarsi governare alla sorte.




では、原文に挑戦です。

なんとこれ、ひと続きの文ですね。区切って見ていきましょう。




E' non mi è incognito, come molti hanno avuto e hanno opinione che le cose del mondo sieno in modo governate dalla fortuna e da Dio,


私は知らないわけではない、この世のことは、運命と神に支配されているという考えをどれほど多くの人が抱いてきたか、そして今も抱いているかということを


come 以下の節が non mi è incognito の主語です。つまり、いかに多くの人が、関係代名詞 che 以下の意見を持っているかということが私に認識されていないわけではない。

最初の E'前の17課では「定冠詞」 でしたけれど、ここは「代名詞」。特定のものを指していない虚辞としての代名詞です。

そしてここも、 hanno avuto e hannoavere の近過去と現在形をつなげていますね。

sieno sianoessere の接続法です。

最後に、fortuna 「運命」と並べて Dio 「神」という言葉も出しています。

次ですが、最初の che は今読んだ部分の in modo とつながって in modo che 「che 以下の方法、やり方で」となります。



che gli uomini con la prudenza loro non possino correggerle, anzi non vi abbino rimedio alcuno;


人間が彼らの知恵を使っても修正することのできない、それどころかいかなる解決策も持ち合わせない(そういうやり方で運命と神に支配されている)



possino abbino はそれぞれ potere avere の接続法です。

「多くの人がこのように運命はどうすることもできないという考えを持っている、それは私もわかっている」と文の頭につながります。

そして?




e per questo potrebbono iudicare che non fussi da insudare molto nelle cose, ma lasciarsi governare alla sorte.

だから、なにごとにも汗をたくさん流して苦労する必要はない、むしろ成り行きにまかせるべきだと人々が判断する可能性がある。



fussi fosse essere の接続法です。半過去になっているのは主節の動詞 potrebbono potere の条件法だからです。

では、がんばって後半にいきましょう。




Questa opinione è suta più creduta ne' nostri tempi per la variazione delle cose grandi che si sono viste e veggonsi ogni dì, fuora di ogni umana coniettura. A che pensando, io qualche volta, mi sono in qualche parte inclinato nella opinione loro. Nondimanco, perché il nostro libero arbitrio non sia spento, indico potere essere vero che la fortuna sia arbitra della metà delle azioni nostre, ma che etiam lei ne lasci governare l'altra metà, o presso, a noi.





では、見ていきましょう。



Questa opinione è suta più creduta ne' nostri tempi

この意見が今の時代にはますます本当だと思われるようになってきた



sutaessere の過去分詞 statacredere の受け身の近過去ですね。

続いてその理由です。



per la variazione delle cose grandi che si sono viste e veggonsi ogni dì, fuora di ogni umana coniettura.


人間のあらゆる予測を超えて毎日見られてきた、そして今も見られる大きな事柄の変化のために。



マキャヴェッリが生きたのは世の中が刻々変化する激動の時代でした。そして、正直に白状します。



A che pensando, io qualche volta, mi sono in qualche parte inclinato nella opinione loro.

それを考えると、私もときどき、ある部分では彼らの意見に傾いたことがある。



諦めの風潮は無理もない、これはマキャヴェッリもわかっているということなんですね。

でも、彼が言いたいのは、次のことです。長い文なので、途中で区切りましょう。

まず?




Nondimanco, perché il nostro libero arbitrio non sia spento,

しかしながら、私たちの自由な意思が消滅しないために、



libero arbitrio は「自由意志」。理性的に善悪を判断する人間ならではの精神活動です。

perché の節が sia と接続法なので、それが消えないために、と「目的」を表しています。

そのために?



indico potere essere vero che la fortuna sia arbitra della metà delle azioni nostre,


私は次のように判断する。運命が私たちの行動の半分を支配しているのは本当かもしれない、




「でも…」と、もう1つ、che の節が続きます。



ma che etiam lei ne lasci governare l'altra metà, o presso, a noi.

しかし、彼女、すなわち運命もまた、残りの半分、あるいは半分近くを、我々の支配にゆだねている、というのも本当かもしれない。



このように、indico 「私は判断する」と前半につながっていきます。

etiam これはラテン語で「~もまた」という意味の副詞です。



いかがでしたか?

前にもお話したとおり、『君主論』はこの時代の俗語で書かれているのですが、マキャヴェッリの文章には今みたいにラテン語が出てきたり、動詞の活用形にも「なにこれ?」っていう形が多くて戸惑いますよね。それと、センテンスが長いので読み解くのが大変です。でも、その分、読み応えはあるってことでしょうか?


パパ Sì, certo. 


くーさん 難しいけれど、この後も頑張りましょうね。

ところで、今日読んだ部分ですが、最後は運命を代名詞の lei 「彼女」に置き換えて、fortuna を擬人化していましたね。

前半では fortuna Dio 「神様」と同列に扱われて、ちょっと手ごわい感じでした。

こちらは、古代の運命の女神のイメージです。彼女だって、何から何まで自分の思い通りにしようなんて思うはずはない。少しは我々にも自由を残しておいてくれるはず。いいですね、このセンテンス。


パパ Sì, è una bella frase. Anche Machiavelli aveva ricevuto un'educazione di tipo umanistico.



くーさん そうですね。マキャヴェッリも人文主義の教養があって、古代ギリシャやローマにも詳しいです。運命は絶対的なものではない、人間が逆らうこともできる。女神である運命は、力のある人間をむしろ助けてくれるという考え方ですね。人間らしさが奪われないでいることがマキャヴェッリにとって大事なんですね。


パパ Esattamente.







本 今日のトピック




くーさん 今日のトピック、1つ目です。



Epoca di guerre
戦乱の時代



いま読んだところで、「多くの人が運命には従うしかないと諦めている、それは予測もできないことが次々起こるご時世だから」と言っていました。

いったい何が起こっていたのでしょう。


パパ Dopo la morte di Lorenzo, il re di Francia, Carlo VⅢ(ottavo), scende in Italia con il suo esercito.


くーさん ロレンツォ・デ・メディチが亡くなって、政治的な力関係のバランスが崩れると、まずはフランスのシャルル8世が、それからスペイン、そしてドイツというか神聖ローマ帝国が侵略して、イタリアの領土争いを始めました。戦乱の時代、外国の軍勢の暴挙にさらされるイタリアの運命に、誰も手の打ちようがなかったんですね。


パパ Beh, sì.



くーさん このイタリア戦争はマキャヴェッリの存命中に決着がつくことはありませんでした。


パパ E anche per Firenze è un momento di gravissima crisi.


くーさん はい。そうですね。フィレンツェの中でも大きな変化があったんですよね。マキャヴェッリが政治の舞台に登場するのはメディチ家が追放されて、フィレンツェがコジモ・デ・メディチ以前の共和制に戻った後のことでした。


パパ Machiavelli fu collaboratore di Pier Soderini, personaggio importante alla guida in quelli anni della repubblica fiorentina con la carica di "gonfaloniere di giustizia".


くーさん 29歳の若さで政治デビューしたマキャヴェッリは、その後、「gonfaloniere di giustizia 正義の旗手」という政界トップのピエール・ソデリーニの片腕として、政治と外交に活躍します。

ところがその後いろいろあって…



パパ E a Firenze tornano i Medici.


くーさん メディチ家がフィレンツェに戻ってきます。メディチ家にとってはいいことだったんですけれども、おかげでソデリーニは政権の座を去って国外に亡命し、マキャヴェッリはっていうと?


パパ Fu rimosso da ogni incarico, in seguito imprigionato.


くーさん そうですね。仕事を失った上、メディチ家への反逆に加わったと、あらぬ疑いをかけられて牢屋に入れられてしまったんですよね。


パパ Sì, per circa due mesi.



くーさん でも、約2ヶ月で釈放されました。ちょうどその頃、ロレンツォ・デ・メディチの次男ジョヴァンニがレオ10世としてローマ教皇に即位したので、その恩赦があったんです。

釈放された後は、フィレンツェの郊外に引っ込んで、そこで書いたのがこの『君主論』でした。『君主論』を書いたときにはもう、予測もつかない運命の気まぐれをマキャヴェッリ自ら身をもって味わっていたわけですね。



今日のトピック、2つ目は?




Fortuna - Fortuna e Virtù(2)
運命 - 運命と力量(2)



マキャヴェッリのキーワードのうち、今日は fortuna 「運命」について。

今日の引用箇所の最後で、マキャヴェッリは運命を lei 「彼女」と呼んでいましたね。この後ではっきり、「 fortuna は女性だ」"La fortuna è donna."と言います。

 fortuna の実体とはどんなものなのか、これは同じ25章の結びから、マキャヴェッリ自身の言葉で語ってもらうことにしましょう。原文と日本語訳を聞いてください。



... perché la fortuna è donna, ed è necessario, volendola tener sotto, batterla ed urtarla ...

「運命は女だから。組み伏せたいと思ったら、たたきのめしてでも自分のものにする必要がある」



マキャヴェッリの言葉としてよく引用される有名な台詞です。発音しておきたいけれど、でもちょっとこれ問題あるかもしれないですね。



ネコ 確かにちょっと問題ですね、この部分だけ読むと。でも、テキスト掲載の「運命は女である」の全文を読むと、少しだけ印象が変わります)



パパ Beh, sì. A noi oggi suona proprio male. Ma non dobbiamo dimenticare che la società di quel tempo era fortemente maschilista.



 くーさん そうですね。今では考えられない男性中心社会ならではの言葉ですものね。気の向く方は、


「運命は女である」
La fortuna è donna.


っていうところだけでも、それぞれ発音しておいてくださいね。

それでは今日はこの辺で。


パパ Sì, per oggi terminiamo qui. Alla prossima volta.




 
ヘッドフォン 白崎容子先生くーさんMarcoさんパパのセリフ(斜体)は例によりディクテーションしました (スクリプトがなく答え合わせもできないのですが、学習の記録としてディクテーションに挑戦したものをそのまま載せています)。





メモまいにちイタリア語2017年12月号応用編より
原文で読む古典の楽しみ
黎明期からルネサンス時代のイタリア文学
Quattro passi nella letteratura classica italiana

Lezione18 Niccolò Machiavelli ②




右矢印Dante Alighieri①はこちら
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ネコ2018年1月から始まった応用編は、待ちに待った朝岡直芽さんの24chiacchierateです。お聞き逃しなく!テキスト購入もお忘れなく~。

興味のある方はぜひNHKゴガクでストリーミング で聞いてくださいね♪






「原文で読む古典の楽しみ」2017年10月~12月号も、
白崎容子先生による和訳や、語句の詳細な説明、
こぼれ話、パラフレーズ(現代イタリア語への原文の置き換え)、
さらには略年表や関連図書の記載もあるので、
放送を聴き逃した方もテキストだけでも、ぜひお手元に!








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