今日覚えた使えるイタリア語
なんだか難しそう、いや難しいに決まっている、読めるわけないし~と、まったくもって興味のなかったイタリア古典文学(しかも原文)なのですが、白崎容子先生の講座であるならば頑張って聴いてみよう!ということでストリーミングを聴きつつじっくりディクテーションしました
白崎容子先生のセリフ
Marcoさん(斜体字)のセリフ
(スクリプトがなく答え合わせもできないのですが、学習の記録としてディクテーションに挑戦したものをそのまま載せています。途中の猫まーく()は私の感想です)
原文で読む古典の楽しみ
黎明期からルネサンス時代のイタリア文学
Quattro passi nella letteratura classica italiana
イタリア古典文学作家6人の作品を通して、現代とは異なる黎明期からルネサンス期のイタリア語の響きを楽しみ、魅力に触れ、気に入った一篇を口ずさめるようになるのが、この講座の目的の1つ。
10月5日放送分
Lezione1 Dante Alighieri①
La letteratura italiana delle origini e del Rinascimento
黎明期からルネッサンス時代のイタリアの古典文学
Vederete che sarà divertente e vi piacerà! Dante, Petrarca, Boccaccio, questi nomi riconoscete, vero?
Lorenzo di Medici (※) chiamato anche Lorenzo il Manifico,
ロレンツォ豪華王とも呼ばれたロレンツォデメディチ
Niccolò Macchiaveri,(※)
『君主論』のマキャベリ
Ludovico Ariosto,
『騎士物語』『狂乱のオルランド』の作者アリオスト
tutti nomi davvero importanti.
※ 正しくは Lorenzo de' Medici
※ 正しくは Niccolò Machiavelli
In questo corso radiofonico è la prima volta, vero?
確かにラジオ講座では初めてでしょうか?
Penso proprio che sarà divertente.
今回からの4回は
La Divina Commedia da Dante Alighieri
ダンテの『神曲』です。
ダンテは13世紀後半のフィレンツェに生まれました。名字はアリギエーリ(Alighieri)。ダンテというのはファーストネームです。
ダンテのイタリア語は実はちょっと難しいです。時代順に取り上げるので、最初が難しい『神曲』になってしまいますけれど…
Coraggio, senza paura! Non sarà così difficile, vederete!
いずれとっつきやすいイタリア語も出てくるので、ゆったりお付き合いくださいね。
さて、『神曲』ですが…
Ho sentito che in Giappone dalla Divina Commedia avete fatto un manga, vero?
そうなんですよ。日本ではマンガにもなってるし、映画で話題になったこともありますよね。『神曲』が書かれたのは大体1302年ごろからとされています。政治にも関わっていたダンテは、このころ祖国フィレンツェを追放されています。『神曲』は放浪の生活をしながら書きました。3部構成ですが、今回ご紹介するのは第1部の地獄篇。
どういう内容かって言うと…
Dante all'inferno 「ダンテの地獄巡り」
なんでまた地獄に行ったんでしょうね。
Sì, dai, proviamo a leggere insieme il testo originale.
そうですね。それをこれから読んでいきましょう。
<地獄篇>第1歌、最初の歌、冒頭の9行です。
Nel mezzo del cammin di nostra vita
mi ritrovai per una selva oscura
人生の歩みのなかばで、
進むべき道を見失い、気がつくと
私は暗い森のなかにいた。
(以下略:ここでは有名な1行目を含む最初の2行のみ)
イタリア語だけで内容をつかむのは難しいですよね。700年前のイタリア語ですから、一度でわかったら天才です。
Io sono sicuro che alcune parole le avete capite, non è vero?
そうですよね。 きっと聞き取れる単語もあったのではないでしょうか。
( ありました!嬉しいものですね~)
Nel mezzo del cammin di nostra vita
私たちの人生の歩み、道のりの真ん中で
旧約聖書の記述から、人の一生はせいぜい70年とされていました。その半ばというと、35歳ということですね。
mi ritrovai per una selva oscura
私は暗い森のなかに居合わせた
(ダンテが1人称で語っています)
mi ritrovai は再帰動詞 ritrovarsi 「たまたま居合わせる」の直説法遠過去1人称単数形。今回の講座では遠過去がたくさん出てきますよ。
3行目
era smarrita 「見失う」の受け身の形
最初の3行でまず、森に迷い込んだことを客観的に述べて、次の3行では自分の胸の内を語ります。
selva 「森」の後に、「人が足を踏み入れたことがない」という形容詞 selvaggia が続いています。selva と selvaggia 最初の音が同じですね。
その後に aspra 「厳しい」、forte 「とても歯が立たない」のように、さらに強いニュアンスの形容詞を連ねています。
Sì, serva(※) servaggia(※), due parole con la stessa radice, e poi servaggia(※), aspra e forte increscendo.
※ 正しくは selva と selvaggia、 R ではなくて L です。
selva と selvaggia は語源も同じなんです。
森の厳しさがクレッシェンドのように強さを増して迫ってきます。うまいですよね。大詩人にこんなことを言うのも失礼なんですけれど。
この怖い森が関係代名詞 che の先行詞で、それが nel pensier 思い起こすにつけ、恐怖を再びよみがえらせる。と言っています。
さて、次の7行目…
Tant'è amara che poco è piu morte.
ものすごく厳しいので、死とほとんど変わらない。
死ぬほどつらい記憶が蘇ってきます。でも、私がそこで出会った良いことについて語るために、私がそこで目にしたほかのことをいくつかあなたたちに語ろう。
つらかったけれど、でも、話しておきたいことがある。最後は読者へのメッセージでした。
Che ne dite? Non è cosi difficile come pensavate, vero?
そう、思ったほど難しくないって感じしますよね。
単語も、vita, forte, paura、こんなふうに知ってる単語もあるじゃないですか。
もちろん今のイタリア語と同じではないけれど、例えば最後の関係代名詞節 ch'i' v'ho scorte 「私がそこで見た」のところ、ch' は che、 i' は io 、次の v' は場所の副詞「そこで」、こんな特徴を押さえるだけでもダンテにぐんと近づくことができそうですね。
(思ったほど難しくない…なんていうことはないですが、見慣れた普通の単語もたくさんあって、意外でした。聞きなれない言葉も、なんとなくこんな感じ?と推測するのも面白く。ただ、詩のリズムを整えるために語順が大幅に変わっているところがあるので、それはパズルみたいで難しいなぁと思いました。テキストと先生の解説がなければ何がなにやらさっぱりわかりません)
出だしの1行はすごく有名ですよね。
Sì, "Nel mezzo del cammin di nostra vita", tutti gli italiani lo conoscono a memoria questo verso.
「私たちの人生の歩みのなかばで」イタリアの方は大抵知ってます。私たちもこの1行を覚えて、おしゃべりの合間にさらっと挟んだりしたらかっこいいんじゃないでしょうか。
せっかく現文で読むのだから、有名なフレーズを少しずつ覚えていくことにしましょう。
Proviamo a pronunciare insieme!
さりげなく言ってみると、あなたに注がれる目がきっと変わりますよ。
今日のトピック
Lingua volgare 俗語
『神曲』がどのような言葉で書かれたか、ということについてです。
今日読んだのは紛れもなくイタリア語でした。でも当時、書き言葉はラテン語でしたよね?
Sì, ma la lingua parlata era soprattutto l'italiano.
ダンテは話し言葉であるイタリア語で『神曲』を書いたということですね。
Sì, in lingua italiana volgare.
例えば、フィレンツェにはフィレンツェの話し言葉があって、それが俗語と呼ばれていた。でも、ダンテの前にも俗語で詩を書いた人はいましたよね?
Sì, lo stupendo cantico delle creature di Francesco d'Assisi.
アッシジの聖フランチェスコの cantico delle creature 被造物の讃歌、これが俗語、つまりイタリア語で描かれた最初の文学作品でした。
その後は?
Dopo di lui ci saranno i poeti della scuola siciliana.
シチリア派の詩人たち(13世紀なかばのシチリアで皇帝フェデリーコ二世の宮廷に出入りしていた詩人たち)がフランス、プロヴァンスの吟遊詩人にならって、俗語で愛の詩を書いたんですね。
Proprio così. E alla fine si arriva in Toscana con i poeti fiorentini del dolce stile(※) novo.
※ 正しくは、stile ではなく stil
それがトスカーナに伝わって、フィレンツェに俗語で愛を語る詩人グループ dolce stil novo が誕生した。この流派がやがて大きな力を持つようになったと言われているわけですね。
Esattamente. dolce stil nuovo /dolce stil novo
日本語では「清新体派」(ダンテも属した13世紀末の詩の流派)
dolce 「甘美な」
stil は stile 「文体」
novo は nuovo 「新しい」
俗語と言っても品のない俗っぽい言葉という意味ではありません。むしろ愛という抽象的なものをエレガントに表現するには、俗語、イタリア語のほうがラテン語よりもはるかにふさわしい言葉だったんですね。
愛の神 amore が与えるインスピレーションをそのまま優美な言葉に託す「愛の詩」。清新体派、ダンテももちろんこのグループの中心メンバーでした。
そこで忘れてならないのが、
Beatrice, la musa ispiratrice della poesia di Dante.
ベアトリーチェ、ダンテに詩のインスピレーションを与えた musa (女神、ミューズ)のような存在です。
『神曲』では、残念ながら第3部天国篇にならないと登場しないとっても神聖でスピリチュアルな存在です。ダンテはベアトリーチェとの出会いを語った «vita nova 新生» という作品で、愛を語る詩を読んでほしいのはラテン語を知らない女性たちだとも言っています。
とりわけ神曲を俗語で書いたのは、少しでも多くの人に読んでもらいたい、そうした強い想いがあったからに違いありません。
こぼれ話
Nel mezzo del cammin di nostra vita
私たちの人生の歩みのなかばで
今日読んだこの一節から、実はダンテの生まれた年がわかります。
ダンテの冥界巡りは1300年という設定なので、この年に人生のなかば、35歳ということは、1265年生まれのはずです。
E poi conosce ( ......... ) data sul battesimo nel marzo del 1266, quasi un anno dopo la sua nascita.
それに、普通生後1年ぐらいで行われるバッテージモ(洗礼式)の記録がダンテの場合は残っていて、それが1266年3月となっています。これで裏もとれますね。
È cosi conosciamo ( ........ ) sua data di nascita.
そう、誕生日まで、『神曲』の記述からだいたいわかるんですよね。
Dante dice di essere nato sotto il segno zodiacale dei gemelli.
『神曲』のもっと後の方で、ダンテは自分が双子座の生まれだと言っています。当時はきちんとした記録がないので、人の生まれた年月日が正確にはなかなかわかりませんけれど、ダンテはこんな謎ときの材料まで『神曲』の中に残してくれたんですね。
(イタリア文学最大の詩人とも言われるダンテが双子座というのには納得!テキストには、ダンテの誕生日を推測する鍵となる一節が原文で紹介されています。「双子座の生まれ」とは直接的には書いていません。さて、ダンテはいったいどのように言っていたのでしょうか?)
白崎容子先生とMarcoさんのセリフは例によりディクテーションしました (スクリプトがなく答え合わせもできないのですが、学習の記録としてディクテーションに挑戦したものをそのまま載せています)。
まいにちイタリア語2017年10月号応用編より
原文で読む古典の楽しみ
黎明期からルネサンス時代のイタリア文学
Quattro passi nella letteratura classica italiana
Lezione1 Dante Alighieri①
- Dante - Divina Commedia
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