Lorenzo de' Medici ③<原文で読む古典の楽しみ>イタリア語 | Laylahの猫足イタリア語

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らいらです。「NHKまいにちイタリア語」でのやり直しイタリア語の学習記録をぺたり♪イタリア語で伝える愛の言葉・愛の表現もどうぞ☆

ひらめき電球今日覚えた使えるイタリア語




朗読の響きが心地よいイタリア古典文学。白崎容子先生の「原文で読む古典の楽しみ」。ダンテ『神曲』、ペトラルカ『俗語断片詩集』、ボッカッチョ『デカメロン』に引き続き、ロレンツォ・デ・メディチ『謝肉祭歌集』を書き起こしましたネコ




本 原文で読む古典の楽しみ

  
黎明期からルネサンス時代のイタリア文学
   Quattro passi nella letteratura classica italiana



右矢印イタリア古典文学作家6人の作品を通して、現代とは異なる黎明期からルネサンス期のイタリア語の響きを楽しみ、魅力に触れ、気に入った一篇を口ずさめるようになるのが、この講座の目的の1つ。



La letteratura italiana delle origini e del Rinascimento
黎明期からルネサンス時代のイタリアの古典文学




くーさん 白崎容子先生のセリフ

パパ Marcoさん(斜体字)のセリフ

(スクリプトがなく答え合わせもできないのですが、学習の記録としてディクテーションに挑戦したものをそのまま載せています。
途中の猫まーく(ネコ)は私の感想などです)





11月30日放送分
Lezione 15 
Lorenzo de' Medici ③



«Canti carnascialeschi» "Canzona di Bacco"
ロレンツォ・デ・メディチ 『謝肉祭歌集』 「バッコスの歌」(3)




くーさん 今日はロレンツォ・デ・メディチの3回目。


パパ Anche oggi continuiamo a leggere la "Canzona di Bacco".


くーさん 「バッコスの歌」の続きです。

前回はサテュロスとニンフが賑やかに楽しんでいましたね。


パパ Chissà quali nuovi personaggi appariranno oggi.


くーさん今日は誰が登場するのでしょう。

5番目と6番目の8行詩節、早速5番目から聞いてみましょう。イタリア語と和訳を続けてどうぞ。



Questa soma, che vien drieto
sopra l'asino, è Sileno:
così vecchio è ebbro e lieto,
già di carne e d'anni pieno;
se non può star ritto, almeno
ride e gode tuttavia.
Chi vuol esser lieto, sia,
di doman non c'è certezza.




では、区切って見ていきましょう。

最初は?



Questa soma, che vien drieto
sopra l'asino, è Sileno:


ロバにのって後ろから来る
この大きな荷物はシレノスだ



soma とは、ロバなどに載せる「積荷」のこと。

drietodietro 文字の順番がなんだか変ですけれども、これは昔の形なんですね。おかげで3行目のlietodrieto、脚韻が揃います。

Sileno は森の精「シレノス」。バッコスの従者で、当然、お酒も大好きです。どんな様子かというと…



così vecchio è ebbro e lieto,
già di carne e d'anni pieno;


こんなおじいさんになって
今では肉と年齢でいっぱいだけれど酔っ払って幸せだ



そして…


se non può star ritto, almeno
ride e gode tuttavia.


体を真っ直ぐにしていられなくても
少なくともいつも笑って楽しんでいる



酔っ払って体がぐしゃっとしているので、最初はロバの積荷のように見えたのが、パレードが近づいてくるにつれてはっきり見えるようになった肥満体の老人のごきげんな表情。それが目に浮かぶような視覚的な描写ですね。

そして最後に tuttavia。ここも sempre の意味です。

あとはリフレイン。



Chi vuol esser lieto, sia,
di doman non c'è certezza.




話題になるのは若い人だけかと思っていたら、こんなお年寄りまで登場しました。若者でなくてもとにかく楽しめって言ってもらえるのは、なんだか嬉しいですね。


パパ Sileno è mostrato spesso anche qui come grasso, vecchio e ubriaco, ma era molto saggio.


くーさん シレノスはぶくぶく太った姿で描かれることが多いようです。もとはと言えばバッコスの教育係で、知恵のある人として知られていたんですよね。そのシレノスが今では年をとって酔っ払ってごきげんになっている。


パパ Questa descrizione che Lorenzo fa di Sileno è simpatica. (Ce lo?) descrive quasi con affetto.


くーさん そんな姿に温かい眼差しを注いで、今を楽しめって言ってくれるロレンツォ。いいですよね。


パパ Come abbiamo già detto, era filosofia di "Carpe diem" che Sileno segue pur essendo vecchio. Proprio perché è saggio.


くーさん これこそまさに前回もお話したカルペ・ディエム「その日を摘め、明日を信じるな」の精神。シレノスはもともと賢人ですから、こういう故事、昔から言われている言葉に従っているわけです。

では後半です。イタリア語と和訳、続けて聞きましょう。



Mida vien drieto a costoro:
ciò che tocca, oro diventa.
E che giova aver tesoro,
s'altri poi non si contenta?
Che dolcezza vuoi che senta
chi ha sete tuttavia?
Chi vuol esser lieto, sia,
di doman non c'è certezza.




さて、次に登場するのは?



Mida vien drieto a costoro:
ciò che tocca, oro diventa.


ミダス王が彼らの後ろからやってくる
彼が触るものは黄金になる



ミダス王はギリシャ神話に登場する王様で、手を触れるものが全部黄金に変わるエピソードで知られています。

diventa orooro diventa。語順が逆になっていますね。


そして?



E che giova aver tesoro,
s'altri poi non si contenta?


宝を持つことがいったい何の役に立つだろう
それで満足しないのならば



s' は接続詞の se、その後の altri ですが、ここは他の人たちというよりも、非人称的な代名詞 uno のような使い方で、一般的に「人が」。動詞も si contenta と3人称単数形です。

そして?



Che dolcezza vuoi che senta
chi ha sete tuttavia?


いつも喉が渇いている人が
どんな喜びを感じたらよいというのだろう?



前の2行と同じく、ここも反語です。 che vuoi che 接続法で、「何が望めようか、どんな喜びを感じることをあなたは期待するのか?」。

vuoi の主語の tu ですが、これも非人称的な使い方で、一般的に「人が」。

お酒も手にした途端に黄金に変わってしまうので飲もうにも飲めない、いつも喉は乾いたまま、というわけです。

そして、tuttavia のあとは、おなじみのリフレインです。



Chi vuol esser lieto, sia,
di doman non c'è certezza.




このミダス王ですが、先ほどのシレノスが酔っ払ってうろついていたのをバッコスのところまで送り届けてあげたことがあったそうですね。


パパ (Gli?) Mida aveva ottenuto da Bacco come ricompensa il potere di torasformare in oro tutto quello che toccava.


くーさん その礼に、触るものがなんでも金に変わる力をリクエストして授けてもらったんです。ところが、飲みたいものも食べたいものも、全部金に変わってしまうのに困り果てて、もう一度バッコスに頼んでもとに戻してもらいました。バッコスは神様だからなんでもできます。いくらお金持ちになっても、飲み食いできないのではどうしようもないですからね。

では、前半と後半を続けて聞いてみましょう。



祖父コジモの時代に財をなして力を蓄えたメディチ家ですが、ロレンツォがこの詩を書いたころには経済的に弱体化していました。財力があったところで何になる?という思いが、ひょっとするとロレンツォの胸の内にあったのでは?という気もしないではないですが、これはちょっとペンディングにしておきましょう。






本 今日のトピック




くーさん さて、今日のトピックは?


Lorenzo, il politico
政治家ロレンツォ



これまで詩人、文人としてのロレンツォにスポットを当ててきましたが、20歳でメディチ家当主となってからバッコスの歌を書くまでの20年ほどのうちに、ロレンツォは様々な体験をしています。中でも重大だったのは…


パパ Un evento molto importante per la sua vita è "La congiura dei Pazzi".


くーさん 「パッツィ家の陰謀」事件。1478年4月26日、フィレンツェの大聖堂ドゥオーモで日曜のミサに出ていたロレンツォと弟ジュリアーノが、ライバルであるパッツィ家の一味に襲われました。


パパ Lorenzo è riuscito a difendersi e salvarsi.


くーさん 教会の聖具室に逃げ込んで助かったロレンツォは行動がよっぽど機敏だったんでしょうね。喉に軽い傷を負っただけで助かりました。

でも、弟ジュリアーノはその場で命を落としてしまったんです。


パパ Aveva solo 25 anni, e Lorenzo 29.


くーさん まだ25歳の若さでした。ロレンツォはこのとき29歳です。

パッツィ家というのは、フィレンツェの貴族の家柄で、メディチ家と同じく銀行行を営んでいました。力を蓄えたメディチ家をなんとか崩そうとしていたのですね。事件の詳細は、マキャヴェッリが『フィレンツェ史』という書物に書いています。

一瞬にして弟を奪われたロレンツォの怒りと悲しみはどんなにか大きかったに違いありません。


パパ Beh, l'idea che nella vita vada colto l'attimo perché nel domani non c'è certezza può essere stata rafforzata da un dramma personale come l'uccisione dell'amato fratello Giuliano.


くーさん そうですよね。「バッコスの歌」の今を楽しもう精神、「明日は何が起こるかわからない」とこれだけ繰り返すのも、このショッキングな体験と無関係とは思えませんよね。

パッツィ家への報復は容赦ないものだったみたいですね。


パパ Eh, sì. Tanti furono uccisi e i corpi di morti di loro vennero appesi  alle finestre di Palazzo Vecchio.


くーさん パッツィ家側の首謀者をはじめかなりの人が殺されて、パラッツォ・ヴェッキオの窓から吊るされた人もいました。その様子をレオナルド・ダ・ヴィンチがデッサンしていますよね。


パパ Il popolo di Firenze però restò dalla parte di Lorenzo.


くーさん フィレンツェ市民はロレンツォを愛していたから、彼の報復を後押ししました。

でも、この事件にローマ教皇が関わっていたのが厄介でしたね。教皇シクトゥス4世はロレンツォを破門して、フィレンツェに戦争をしかけてきます。いわゆるパッツィ戦争です。


パパ E qui entra in gioco la grande abilità diplomatica di Lorenzo.


くーさん そこで注目したいのが、ロレンツォの外交手腕です。フィレンツェは教皇庁やその同盟国であるナポリを敵にまわして戦争に入ることになりましたが、


パパ Lorenzo voleva mettere fine rapidamente a quella guerra.



くーさん この戦争を早く終わらせたかったロレンツォは、直接交渉をしようとたった1人、決死の覚悟で敵国ナポリに乗り込みます。


パパ Dal dicembre del 1479 al febbraio dell'anno successivo era stato presso la corte del re di Napoli e alla fine ha raggiunto una pace separata con lui, rompendo e fronte dei suoi nemici.


くーさん ナポリの宮廷に3ヶ月ほど滞在して、見事交渉に成功したんです。

その時の様子を書いたマキャヴェッリの文章をかいつまんでご紹介すると、「ロレンツォが人民の望むこと、平和と戦争などについて話すのを聞くうちに、ナポリ王は彼の精神のスケールの大きさ、細やかな才知、沈着な判断に心を動かされて、この男と敵としてではなく、友として別れるにはどうすればよいかを考え始めていた」


パパ Questo ci dà un'idea del fascino che Lorenzo sapeva esercitare anche i suoi nemici.


くーさん 話し上手で、敵の心もつかむほど魅力的な人物だったのがわかりますね。


パパ A questo proposito dovremo ricordare il quadro di Botticelli "Pallade e il centauro".


くーさん ボッティチェッリの絵画«パラスとケンタウロス»ですね。知恵の女神パラスが、半身半獣のケンタウロスの髪の毛をつかんでいる。


パパ Sì, è una possibile lettura "la ragione che vince sulla violenza".


くーさん パラスはロレンツォの理性、ケンタウロスは戦争をしかけてきたナポリの暴力、理性が暴力を抑えている。ナポリに乗り込んだロレンツォの外交手腕を称えた作品ですね。


パパ
Oggi spesso lo si definisce "L'ago della Bilancia" dell'Italia del suo tempo.


くーさん ロレンツォはよく当時のイタリアの「天秤の針」と呼ばれます。教皇庁やナポリ、ミラノ、ヴェネツィアなど、フィレンツェを取り巻く当時の微妙な力関係が、ロレンツォの優れたバランス感覚と外交手腕のおかげでなんとか均衡を保っていたということですね。


パパ In ogni caso al ritorno da Napoli la popolarità di Lorenzo fra i fiorentini aumentò ancora di più.


くーさん ナポリでの交渉が成功して、フィレンツェでの人気がさらに高まったロレンツォは、新たな評議会を作るなどフィレンツェ内部でもメディチ家の体制を強化していきます。

では最後にもう一度、バッコスの歌、今日の第5節と第6節を聞きながらお別れしましょう。


パパ Arrivederci. A presto.






 
ヘッドフォン 白崎容子先生くーさんMarcoさんパパのセリフ(斜体)は例によりディクテーションしました (スクリプトがなく答え合わせもできないのですが、学習の記録としてディクテーションに挑戦したものをそのまま載せています)。




ネコ 今回のMarcoさんの台詞のディクテーションは今までで一番難しかった…難しすぎでしょ~凹 音としては聞き取れてる(はず)なのだけど、曖昧な箇所(下線部分とか括弧でくくった部分以外にも)が多々あるのですあせる


さて、Lorenzo de' Medici の「バッコスの歌」、いよいよ次回④が最終回です。カーニバルのパレードもフィナーレに近づきテンションがぐっと上がってきています。聞いてるだけで(読んでるだけで)情景が浮かび楽しい気分になってきますよね。






メモまいにちイタリア語2017年11月号応用編より
原文で読む古典の楽しみ
黎明期からルネサンス時代のイタリア文学
Quattro passi nella letteratura classica italiana

Lezione15 Lorenzo de' Medici③




今日の部分は 0:54 から 1:22 ですネコ






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ネコ2018年1月から始まった応用編は、待ちに待った朝岡直芽さんの24chiacchierateです。お聞き逃しなく!テキスト購入もお忘れなく~。

興味のある方はぜひNHKゴガクでストリーミング で聞いてくださいね♪






「原文で読む古典の楽しみ」2017年10月~12月号も、
白崎容子先生による和訳や、語句の詳細な説明、
こぼれ話、パラフレーズ(現代イタリア語への原文の置き換え)、
さらには略年表や関連図書の記載もあるので、
放送を聴き逃した方もテキストだけでも、ぜひお手元に!








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