レキサルティと食欲、体重 | kyupinの日記 気が向けば更新
2018-11-06 14:28:03

レキサルティと食欲、体重

テーマ:レキサルティ

特に統合失調症では体重の推移は病状と関係が深い。未治療だと拒食や食欲不振に加え幻覚妄想などによる脳のエネルギーの消費のために痩せていることが多い。治療を開始すると、次第に緊張病症候群などの陽性症状が改善し食欲が回復してくる。その流れで本来の体重に戻っていく。これが基本なのである。

 

時代が変わり、代謝系に関与する抗精神病薬が増えてきたことや、過食などの新しい精神症状の出現のためか、昔より治療中ないし回復期に著しい体重増加を見ることが増えてきている。

 

体重増加と非定型抗精神病薬の関係

 

○体重増加が多い非定型抗精神病薬

クロザリル(クロザピン)、ジプレキサ(オランザピン)、セロクエル(クエチアピン)、リスパダール(リスペリドン)

 

○体重増加が少ないが人によれば増えることもある非定型抗精神病薬

ルーラン(ペロスピロン)、インヴェガ、エビリファイ(アリピプラゾール)、シクレスト、レキサルティ

 

○体重増加が少ない。

ロナセン

 

レキサルティは吐き気を止めるプリンペラン、イリボー的な作用を持ち、精神症状のために食事がとれなかった人にも食欲が出ることが多い。これは厳密には緊張病症候群のような交感神経系優位な状態を緩和する作用から食欲を回復させる部分(真の抗精神病作用)と、D2遮断作用から来る吐き気の改善から来るものとがあるように見えるが、これらは著しい体重増加につながらない。

 

実際、レキサルティ2㎎では、52週(約1年間)に増える体重は期待値的には約1㎏ほどである。

 

レキサルティが合わない人は、

 

○不穏状態になる(脱抑制)

○不眠になる

○倦怠感が出る

○身体症状が出る(頭痛、胃部痛など)

 

などさまざまなものがあるが、稀に猛烈な過食が出たと言う人もいるようである。(自分の患者さんでは2名)。レキサルティは基本的に体重増加が少ないが、稀に過食、体重増加の副作用もありえる薬である。ただし、過食が出た人は外来では数日で本人が中止しているし、入院患者も中止することがほとんどである。

 

少し謎なのは、レキサルティの半減期は52時間~56時間くらいと長いので、いったんこのタイプの副作用が出るとしばらく続きそうなのに、中止すれば、早期にぱったりなくなってしまうことである。これは少量から始めることもありそうだが、それを考慮しても副作用の消退時間が短すぎると感じている。