○○と△△とは関係があると思うこと | kyupinの日記 気が向けば更新

○○と△△とは関係があると思うこと

医療業界には医師の主観から来るエビデンスが乏しい話が存在する。精神科では、例えば「ボーダーラインには美人が多い」などである。

 

これについて僕の個人的意見を言えば、もともと精神疾患と容姿には関係が薄いため、そういう人が目立つからだと思う。つまり少数がある印象をもたらしている。

 

状況的なことを言うと、コンパなどで想像できるが、ジッとうつむいて何も喋らない女の子にくらべ 、よく喋り感情表現が激しい、よく言えば感情が豊かな人は魅力的に見えることが多い。おそらく男女4人ずつのコンパで、1人ボーダーラインの女の子が入っていて、平均より上の容姿なら、一番に皆の注目を集めるなんてことは十分にあると思われる。そもそも、ボーダーラインにはプレコックス感がないので、外見だけでは病気らしさが見えない。

 
ここで書きながら思ったが、だいたいプレコックス感と美人は全然関係ない。プレコックス感があったとしても美人は十分に美人である。ただし、プレコックス感がある状況は情緒があまり出ないので、笑顔だとしても「生き生きとした印象」や「瑞々しい表情」にはなりにくい。やや不利とはいえる。何が不利かというと、美しさが損なわれるということ。

 

美人と疾患では他の科にも同じような話がある。例を挙げると、

 

〇白血病の女性患者さんは美人が多い。

〇SLEの患者は美人が多い。
〇脳腫瘍の女性患者さんは美人が多い。

 

などである。実は整形外科疾患にもあったが忘れた。

 

いつだったか、まだ若い患者さんが白内障になり、眼科主治医から「スマホが原因だからあまり使わないようにしなさい」と言われたという。これがその眼科医の主観なのか、本当にそういう傾向があるのか気になった。もしそれが事実なら、今の若い人は30年前より白内障の有病率が高いはずである。

 

数年前、高校の同級生の眼科の友人が自分の住む市に遊びに来たので聞いてみた。彼の答えは「そんなことはない」というものだった。大学時代の眼科の友人も「白内障は単に老化」という話で、彼らの印象は白内障とスマホは関係ないということだったのである。

 

高校の眼科の友人と一緒に話していたら、疾患のパーソナリティに話になりとても興味深かった。例えば「緑内障」の人たちは性格的に細かいので主治医が対応に疲れてしまうんだそうである。緑内障を研究する人が少ない、あるいはする気が起こらなくなる理由は、あの緑内障のパーソナリティが関係しているという(実はこれに名前まで付いている)。

 

そういえば、精神科にも細かい人は来るが、緑内障を合併する人は意外に少ない。そう思う理由は、緑内障のために処方が制限された経験がほとんどないからである。

 

なお、古典的3環系抗うつ剤、例えばトリプタノールの添付文書の「禁忌」欄の最初に、

 

〇閉塞隅角緑内障の患者(抗コリン作用により眼圧が上昇し、 症状を悪化させることがある)

 

が挙げられているが、「閉塞隅角緑内障」がかなり稀で緑内障全体のわずか数%(おそらく3%以下)しかない。SSRIの偉大な点は、この禁忌がなくなったことだと思う。(パキシルにすら挙げられていない)

 

今回の記事の主旨は、医師の言う「○○と△△とは関係がある」は、あまりアテにならないということである。