上の写真は沼島(ぬしま)の「アミダバエ」。「上立神岩」のすぐ側に。下の写真はそれを遠くから撮ったもの。「アミダバエ」の左斜め上に小さく見えているのが「平バエ」、「八尋殿」の候補地。



【古事記神話】本文 (~その14 蛭子・粟嶋) 





「美斗能麻具波比(みとのまぐはひ)」をするために、「天之御柱」をナギ神は左から廻り、ナミ神は右から廻りました。
出会ったところでナミ神・ナギ神の順に愛の告白をしました。

…というところまでが前回。

さて、どうなったのでしょうか!
(よくご存知だとは思いますが)


~*~*~*~*~*~*~*~*~*~


【読み下し文】
各言ひ竟へし後其の妹に告たまひ曰く 女人の先づ言ふは良からざると雖も然して久美度邇 [此の四字以て音] 興し 而して生みし子は水蛭子にて 此の子葦船に入りて而して流し去りき 次に粟嶋生みき是れ亦た子の例に入れず


【大意】
各々が言い終えると、伊邪那岐命は妹の伊邪那美命に言いました。「女性が先に言うのは良いとは言えないが、とにかく寝床(※)を興こそう」と。そして生まれた子は蛭子であったため、葦船に入れて流しました。次に生まれた粟嶋も子のうちに入れませんでした。


【補足】
◎「久美度邇」とは女陰の古語のようです。ま…を始めましょうかということ。ここでは「寝床」と訳しました。それが冒頭写真の「八尋殿」。
◎二人目に生まれたのが「粟嶋」。当然のことながら少名彦命が連想されます。船に乗せて流された粟嶋と、船に乗ってやって来た少名彦命(粟嶋神)。材料がここまで揃えば関連するものと考えるのが普通であると思います。また淡路島も関連すると考えるべきでしょうか。


~*~*~*~*~*~*~*~*~*~


【読み下し文】
是れに於ひて二柱の神議りて云ふ 今吾が生みし所の子良ろしからず 猶ほ宜しく天つ神の御所に白す 即ち共に参り上り天つ神の命を請はむとす その天つ神の命せし 以て布斗麻邇爾 [此の五字以て音] 卜相ふ 而して詔して女の先に言ふに因りて 而して良からず亦た還り降りて言を改むべし


【大意】
そこで二柱の神は話し合いました。「私たちが生んだ子は良くなかった。天つ神の所で申そう」、つまり「共に参上して天つ神のお授けを伺おうではないか!」と。その天つ神が布斗麻邇(※)で卜ひ(うらない)授けたのは「女性が先に言ったのは良くない、戻ってやり直しなさい」ということでした。


【補足】
◎「布斗麻邇」は「太占(ふとまに)」のこと。鹿の肩甲骨を波波迦の木を炭火にしたもので焼き、割れ具合で占うもの。日本独自のものではないかと考えられています。



天つ神より正しいプロポーズ法を授かりました。次回はそれを実践して成功、ナギ・ナミ神による「国生み」が始まります。


和歌山市加太の粟島神社。全国粟嶋系神社の総本社。