1月21日(日) 川崎市アートセンター映像館

 

最近、料理にどはまりし、外食以外の自宅食は、朝食も、夕食も自分で作る。片付けも。

昼食は、殆ど食べない。2食なのです。

こんな楽しいことを、専業主婦達は、毎日やっていたんだ。

勿論、家族のために作るという義務感が出てくると、辛いモノがあろう。

しかし、しかし、リタイヤ後の時間を持て余している方々は、料理をすることを、趣味と捉えましょうね。

 

自分の為に作るんだから、同居人のことなど考えないで、買い物から、献立準備、実際の調理、食事、大切なのは片付けで、これも必ず自分でやると気分が良い。ああ、綺麗になりました。

つまり、台所を我が物にしてしまいましょう。

買い物も自分ですると、想定していたより安くて、うれしくなってしまう。野菜は農家の庭先の直売所があります。

調味料なども、自分好みで揃える。レトルトの活用も自分勝手。文句は言わせない。

調理器具も、自分に合ったモノを使う。

自分が主人公です。

 

この年齢になると、お袋の味的なモノが好みになるので、西洋的な凝った料理など作らない。

中性脂肪の問題もあるので、揚げ物系は食べたくなくなり、作らなくなり、家人が作ってしまう恐怖もなくなる。

小食になるので、そんなに量は作らない。ただ、どうしてもカレーは大量になってしまって、2~3日食べることになる。味変を楽しみながら。

レシピは、ネットで簡単に調べられる。先日、書店でレシピ本を探したら、沢山あるのですね。その中から自分にあった風の料理が沢山載っているモノを選ぶ。そのまま作るのではなくて、アレンジが出来るように。

沢村貞子の。土井勝の。ワタクシ好みは、水上勉「土を喰ふ日々」の、禅の典座系。

また、最近のドラマでは、料理を楽しむ番組も結構あって、その番組のレシピ本もある。

 

そんなときに、表記の映画を知る。

ポトフ。西洋の家庭料理の原点ではないですか。肉じゃが、煮物、トン汁、等などに近い。

どこぞの国の皇太子に、豪華な料理を振る舞われて、そのお返しに、ポトフを作るという話らしいじゃないか。

それでは、この映画を楽しみにして、きっと素晴らしき美食家と料理人が作る、どこかに光るモノがある家庭料理なのだろう、そのレシピを学んで、作ってみようじゃないか、というのがこの映画を観る動機。

 

以下、ネタバレになるので、観ていない方は避けた方がよろしいか、と。

 

美食家のドダンは、有能な料理人のウージェニーと、シャトーに住んで長い。広大な屋敷、庭には野菜も作るし、家畜も育てる。結婚はしていないが、パートナー。性的関係も無いことはないが、そんなに重要ではなくて、ウージェニーは断ることも多い。当然別寝室。

ある日の午餐会の様子から始まる。親しき友人を招いて、シャトーで開かれる。

その献立は、まあ、西洋的に豪華で、その料理をウージェニー指揮下で、使用人らと作るシーンが続く。ドダンは、ひたすら食す側。

コンソメ、特大舌平目、肉、デザート。念入りにウージェニーにより調理されたモノを、ドダンが正装した客人らに切り分けたりして、超銘柄モノのワインを、食に合わせて提供していく。

その調理風景を延々と、長尺で撮っていく。それは中中の見物だけど、食材の説明がないので、よくレシピは理解できず、やや冗長で眠くなるし、そもそも食べたいと思うような料理ではない。

そんなシーンを観ている内、我が脳裏には、昨年の佐渡でのこと、美味しい塩握り。これで日本酒を飲んだ、あの旨さよ。

 

まあ、これは序章なのでしょうよ。まだポトフは出て来ない。

 

某国の皇太子から招待が来る。全部で、3部制になっていて、その各部の提供料理が語られていく。1部だけでもお腹がいっぱいになりそうだし、ワタクシは食指は働かない。

どうやら、8時間かかったらしい。食っちゃあ休み、また食うのか。昔のローマ帝国のような。

 

そのお返しをしようということで、美食家ドダンが考えたのが、ポトフ。挑戦的、野心的。

 

その辺りでウージェニーの体調不良もあって、結婚ということになる。

結婚すると、性生活が「義務」になってしまって、ウージェニーは自由な、好きなときだけのセックスの時間を過ごせなくなる。美味しい料理を提供する料理人。それがまったく好きなのです。それにプラスして、セックスでもドダンを満足させねばならぬ。そのプレッシャー。

両立は不可能なのでした。

 

ウージェニーは死んでしまって、落胆してしまう美食家ドダン。何を、誰に作らせても満足できない。

ウージェニーが生きていた頃、まだ子どもだったあるお手伝いは、なかなかの天性の素質があって、味が「解る」ので、育てようとする。源氏物語の紫の上みたいかな、と想像し、彼女を育てて、くだんのポトフを作り上げるのかと思いきや、突然、お眼鏡にかなった料理人が登場し、妻にはならないという条件で、採用されて、それで映画はお終い。

 

あれまあ、ポトフのレシピは出て来ない。

料理は官能的な芸術であって、同じ様な官能の世界である性とは両立できない、が主題だったのか。

 

がっかりです。

この映画、観なくて良いです。つまらないです。

 

仕方ない。ポトフは、私のレシピで作ります。

鶏の手羽元、ジャガイモ、人参、タマネギ。キャベツがないので、蕪を入れましょう。鶏だし粉と塩、胡椒。

黒キャベツを炒めてのパスタと合わせる。亜麻仁油をかけましょうね。オイルも必要。

どうですか。旨そうでしょう。

美味しい美味しいと食べてくれる人と一緒にいたいなあ。

 

映画感想ではなくて、我が美食になってしまった。