謡のお稽古は『班女』が終わって、次は、『船弁慶』。

『班女』の前は『野宮』で、しっとり、優美系だったので、今度は、ストレス発散を目指して、調子の強いのをと、紀彩の会からお願いして『船弁慶』。

 

なにしろ、ツヨ吟から始まる。まあ、前場の静の舞辺りはヨワ吟だけど。

クセは、ヨワ吟ながら、ワタクシが、お稽古始めの頃何曲目かでお仕舞いのお稽古した「然るに勾践な~」から始まる箇所。

最初、この箇所の詞章に痛く感動し、号を「長流水陶朱」としていた時期もあるくらい。

 

ここだけのブログもあるはず。

”長流水”は、納音のこと。

"陶朱"とは、会稽の恥を雪いだ勾践の臣下として、十分な働きをした後、功なり、名を遂げた訳だけど、速やかに引退して、隠遁生活を送った宰相。

『船弁慶』のクセを舞うに付いて、詞章を読んだところ、仕事を退いて、高等遊民的生活になろうと思った我が身を鑑みるに、近いところ、理想に近いのではと、思いついたのでした。

だから、この箇所の謡には、思い入れがある。

 

後場のキリは、平知盛幽霊との海上の戦いであって、勇猛果敢な箇所で、ストレス発散間違いなし。

キリのお仕舞いは、紀彩の会でも3人がお稽古している。

長刀を振り回すので、なかなか苦労するお稽古。狭い部屋や天井が低いと、ぶつけてしまう。

 

いずれも馴染みの深いモノであるので、そう悩まずに、楽しく謡えるのではないか。

といっても、紀彰先生はご不満かも知れないが。

 

『船弁慶』は、能としても人気の曲で、今月の国立能楽堂カレンダーは、宝生流ご宗家によるキリのシーン。

楽しくお稽古しましょうよ。