7月12日(土) 国立能楽堂

解説 「能における仙人と仙郷」 表きよし

狂言『宝の槌』(大蔵流 善竹家)

 シテ(太郎冠者)善竹忠重 アド(主)善竹十郎 アド(すっぱ)善竹忠亮

(休憩)

能『一角仙人』・酔中之(舞観世流 観世会)

 シテ(一角仙人)武田尚浩 ツレ(旋陀夫人)角幸二郎

 子方(竜神)武田智継・武田應秀 ワキ(官人)野口能弘

 笛:藤田次郎 小鼓:森澤勇司 大鼓:柿原光博 太鼓:井上敬介

 地頭:藤波重彦

 面:シテ「一角仙人」 ツレ「万媚」

 

7月10日に大雨が降ってから、涼しくなって、夜も寝られるし、元気で国立能楽堂に向かう。

 

解説の表きよしさん。大学教授だけど、なかなか話しが面白い。もしかしてと調べたら、やはり、あの表章氏のご長男でした。

内容は、主として『一角仙人』のこと。

能に、仙人が出てくるのは案外少なくて、『西王母』と『東方朔』だけらしい。しかもこの2曲は、関連作品みたいで、ともに、「西王母」が登場するし、3000年生きるという桃を献上する話。

要するに、『西王母』・桃系と『一角仙人』だけになる。

長寿とすれば『枕慈童(菊慈童)』も加わる。7~800歳も生きている。いずれも、中国やインドの話で、和国には仙人はいないのかしら。

和国は修験者となるのかな。

解説を寝ないで聞いた。

 

狂言『宝の槌』。

鎮西八郎為朝が、蓬莱島から持ち帰った宝三つ。隠れ蓑、隠れ笠、打ち出の小槌のうち、偽の打ち出の小槌をすっぱに騙されて買ってしまう太郎冠者の話。

これも面白かったですよ。こちらの体調の問題か、気候が良かったせいか、ちょっとウトウトした程度で済んだ。

まあ騙された太郎冠者が、色々と言い訳を繰り返す、いつものパターン。

 

能『一角仙人』。2回目です。

1回目は、2019年4月に国立能楽堂で観世流。

その時のブログを読み返してみたら、その時がワタクシの国立能楽堂初デビューなのでした。だいぶ感動したようで、あれこれ、能のことよりも国立能楽堂のことを書いてある。

あれから6年。何回、国立能楽堂に通ったことか。数えるのも疲れるほど。毎月2~3回行っているから、150回は軽く越え、200回も超えるか。

ストーリーは、竜神と争った一角仙人が、美人女性の色香に迷わされて、神通力を失い、岩に閉じ込めた竜神が出てきてしまって、戦うが竜神が勝利し、大地に雨が降る、目出度し、というもの。

 

歌舞伎『鳴神』の原作だと思うけど、『鳴神』ほど、露骨なエロチックはなくして、良い感じ。

旋陀夫人に酒を飲まされ(飲酒戒を破ってしまい)、更には、邪淫戒も破ったかも知れない。露骨な表現はない。

色香に負けて酒を飲まされ、気分が良くなり、「楽」を共に舞う。まず旋陀夫人の舞い、引きずられてシテも舞い、だが、真似をするだけなので、ちょこっとズレる。それが良い感じ。

寝込んでしまったシテ一角仙人を見届けて、ツレ旋陀夫人は都に帰る。してやったりという処か。

 

その旋陀夫人は、色香に優れているが、若くはない。熟女的。だから面は『万媚』。

若い女では、仙人を迷わすことはできないのです。わかる~。

 

竜神(子方)が飛び出してきて、「舞働」。戦いですね。

飛び出す辺りから、突然にツヨ吟になって、大盛り上がり。

最後、シテは追い出されて、子方が追いかけていく。

ここで、拍手したくなるよね。そういう曲。

金春禅鳳の作。世阿弥の複式夢幻能とはまったく違う世界。

 

ワタクシは、余韻たっぷりの曲の方が好きだけど、ストレス発散の為やら、初心者には向いているかも。

だから、良かった、感動したとは言えない。面白かった、楽しかったということ。

 

(注)『鳴神』を狂言と記載しておりましたが、歌舞伎が正解でした。訂正しました。