7月20日(日) 梅若能楽学院会館
ショートレクチャー 松山隆之
仕舞 『通盛』 高橋栄子
『半蔀』キリ 山村庸子
『春栄』 角田勝美
地頭:富田雅子
袴能『江口』・千之掛
シテ(里女 江口ノ君)角当行雄 後ツレ(遊女)松山隆之・鷲尾雄紀
ワキ(旅僧)宝生欣哉 アイ(江口ノ里人)野村太一郎
笛:松田弘之 小鼓:曽和正博 大鼓:白坂保行 地頭:梅若紀彰
(休憩)
仕舞 『賀茂』 鷲尾章弘
『鐘ノ段』(三井寺) 梅若紀彰
『鵜ノ段』(鵜飼) 山中迓晶
地頭:松山隆之
狂言 『仏師』(和泉流 野村万作の会)
シテ(すっぱ)石田幸雄 アド(堂主)月崎晴夫
(休憩)
能 『安達原』
シテ(里女 鬼女)伶以野陽子 ワキ(東光坊阿闍梨)大日方寛 ワキヅレ(供山伏)宝生尚哉
アイ(東光坊ノ能力)石田淡朗
笛:八反田智子 小鼓:大山容子 大鼓:亀井洋佑 太鼓:澤田晃良
地頭:梅若長左衛門 副地頭:山崎正道 地謡に:梅若景英
暑い暑い、けど今月はこれが最後のお能なので、出かけますよ。
全部、感想を述べていると大変なので、要所だけ。
仕舞女流3曲。
『半蔀』キリは、ワタクシがお稽古した舞なので、なるほど、と。『半蔀』は、クセもキリの好きです。
山村庸子さん、腰か足が悪いのか、下に居せず、立ったままスタートし、終了。これで良いのです。
袴能『江口』。3回目だけど、初回の2017年はなーんにも解っていない頃。横浜能楽堂。ブログ開始前。
2回目は、2020年10月国立能楽堂で。ブログを読み返してみると、一応内容も書いてあるけど、人間国宝が4人も出演したことに感動していた見たい。
だから、ちゃんと向き合って拝見したのは初めてかも。
いや~、難しい曲でした。梅若謡本によると、謡1級、能1級。
何しろ、詞章を読んでも意味が解らない。前場は、西行法師(出て来ないけど)と遊女の歌の贈答に関して。
後場は、ガラッと変わって、遊女=江口ノ君が実は普賢菩薩ということで、仏教のお話と、クセ舞、序ノ舞、キリの舞。
どちらにしても、詞章が難解で、事前にも梅若謡本を読み、持っても行ったのだけど、理解できない部分が多い。
しかし、しかし、地頭の紀彰先生のお声を聞くと、うっとり。
謡、取り分け地謡が最高。これを楽しめば良いんだ。
キリの舞は、調度仲間がお稽古しているところで、参考になったはず。
シテの角当行雄さん、前場でも、詞章を(多分)間違えているんじゃないかと思う部分があったが、謡の調子がピタリと合っていて、ワキや地謡の謡い出しに何の影響も与えず、さすが、経験者だなあ。
もしかしたら、囃子や、地謡、ワキ謡が合わせていたのかも知れないけど、謡本を読んでいないと、さして違和感なし。
作り物の「屋形船」が、橋掛かりの一の松に登場。ああ、舞台には入ってこないんだあ。クリで、乗っていた3人は下りてしまって、シテは舞台大小前へ。
キリの舞の時は、屋形船を指すような形があるはずだけど、今回は、橋掛かりから、覗き込むような形。小書き「千乃掛」だからかなあ。
袴能は、直面なので、眼球が確りしていないとみっともない。その辺は大丈夫。
とにかくも、謡が最高のお舞台でした。地謡方も良く詞章暗記してきたなあ、と。
男性の仕舞3曲。
紀彰先生のお仕舞い『鐘ノ段』。素敵な色紋付きに着替えてきていて、美しい。
『鵜ノ段』、仲間がお稽古した曲だ。松明を振る振り方がちょっと違ったよう。どっちが正解なのかは解らない。ワタクシは、紀彰先生流。
狂言『仏師』。何度も。仏像の形が変わるのは、アドリブなんだろうか。
最後の能『安達原』。流派によっては『黒塚』。6回目なので、もうストーリーも見どころも解っているから、事前に梅若謡本を買っていなかったけど、やはり、持っておこうかなと、購入。余り見なかった。
伶以野陽子さんの、後シテ鬼女。やはり、女流だと、迫力には欠けざるを得ないな。仕方ないけど、伶以野さんは、背丈も大きくて、頑張って声を張り上げてはいた。
ビックリは、ワキヅレの宝生尚哉さん。1曲目『江口』のワキを務めた人間国宝宝生欣哉師の長息のはず。
悪声だし、節もしっかりせず、拝見2度目でまたまたガッカリ。頑張って貰わねばならない立場。映画『国宝』の「血か芸か」の問題。
アイに石田淡朗君。久しぶり。ちょっとコミカルな役だから、どうかな。まあこんな役もせねばならないね。
地謡に、梅若景英君が登場。今回は、前列の奥から2番目に出世。しかも、お尻の下に挟む正座用の羽目モノを持ってこない。
おお、大丈夫なったんかなあ、と期待するも、前場の途中で、すでに、身体がブルブル震え出すほどの状態。足の痺れが酷かったんだろう。
回りの地謡方が、特に隣の地謡方の先輩が心配して、何度か声をかける。
観客のこちらとしては、そう言う様子が気になって気になって、能に集中出来ない。無理せずに、お尻の下に敷けば良いのに、と思う。附け祝言の『千秋楽』が終わって、退場するとき、転けやしないかと心配になる。が、転けはせず、ゆったりと立ち上がれて、やっと、ホットする。
お能を拝見するときに、こういう気になって仕方が無いことがあると、マズいなあ、と思う。集中出来ない。
12時半のショートレクチャーから始まって、17時半頃終了で、約5時間。
能2曲と、狂言、間に仕舞が入るからこんな時間になるのだけど、疲れる。
中華を食べて帰宅して、参議院選挙の開票を見る。