技術士合格法(8.1 記憶のコツ)(R6.5.9更新) | 技術士を目指す人の会

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勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

8 記憶

 

8.1 記憶のコツ

 

●記憶力は低下する

いよいよ勉強の最終段階です。

試験に合格するためには、自らが作った解答を記憶する必要があります。

学生時代、期末試験や受験勉強のために比較的短期間で数多くの英単語や年号を記憶したと思います。

しかし、大人になるとこうした芸当をやり遂げることは難しいです。

なぜなら、歳を重ねると記憶力が低下するからです。

記憶力が低下すると、一回に憶えることのできる量が少なくなりします。

憶えたことを忘れるスピードが早くなります。

また、大人になると過去の経験や勘で仕事をこなせるようになります。

新しいことを憶えなくても、何とか仕事をこなせるようになります。歳を重ねれば重ねるほど、記憶という作業に不慣れになります。

これが記憶に対する嫌悪感を生み、大きな負担になります。

つまり、記憶力の低下という問題に加え、記憶に対する嫌悪感が、勉強のやる気を奪うわけです。

大人にとって記憶という作業は、予想以上に困難です。

技術士試験に合格するため、情報の整理、解答の作成に取り組んできたにも関わらず、勉強の最終段階である記憶という作業にたどり着いた瞬間、やる気が失せてしまう可能性があるわけです。

 

こうしたことから、記憶法について知っておく必要があります。

 

●憶えても忘れてしまう

エビングハウスの忘却曲線というものをご存じでしょうか。

私たちが憶えたことは、時間経過とともに頭の中から失われていきます。

エビングハウスという科学者が実験を行った結果、その度合いは、8時間後に50%、1日後に32%、7日経つと25%になってしまうという知見が得られました。憶えたことは曲線的に忘れ去れていきます。

これがエビングハウスの忘却曲線です。

 

多くの勉強本は、この理論を引き合いに出して復習の大切さを説きます。復習を怠ると、内容を忘れてしい、試験で結果が出ないからです。

しかしながら、復習は大変です。勉強した内容を憶えて、それを憶え直すわけです。

勉強すればするほど、憶えるべきことは増えます。

完璧に憶えることができるよう復習するためには、相応の時間が必要になります。

一方、復習ばかりしていると、新しいことを勉強する時間を確保できなくなります。

これでは、試験で結果を出せないです。

さて、そうなると、私たちはどうすればよいのでしょうか。

 

記憶の前にやっておくべきこと

私たちの記憶は、短期記憶と長期記憶が存在します。

例えば、電話番号をチラッと見て、番号を憶えてから電話するのが短期記憶です。

短期記憶した情報は、忘れ去られてしまいます。

チラッと見て憶えた電話番号は、翌日になると思い出すことができなくなるわけです。

一方、自分の電話番号であれば、多くの人が憶えています。

電話番号以外でも、キャッシュカードのパスワード等を憶えています。これらが長期記憶です。

私たちは、電話番号のように7~8桁の数字を、憶えることができます。

最初は短期記憶です。これを長期記憶に移行させるためには、憶えたことを思い出すという作業が必要になります。

さらに、その情報が正しいか確認する必要があります。

憶えていたことが間違っていたら正しい情報に憶え直します。

この作業を繰り返すことで、記憶が定着します。

資格試験に合格するためには、膨大な情報を記憶する必要があります。

記述式の試験では、単純に用語だけを憶えるだけでは合格するだけで合格することはできません。

文章を憶えて、それを書き込む必要があります。

相応の情報をきっちりと憶えておく必要があります。

短期記憶では試験に太刀打ちできないため、長期記憶が必要になります。

 

このため、①憶える、②思い出す、③確認するという作業を繰り返すことで、記憶を定着させる必要があります。

誰しも、試験に合格するためには、記憶を定着させる必要があることを分かっていますし、何度も、何度も、憶え直せば記憶が定着することも分かっています。

しかしながら、一体全体、何回憶え直せばいいのか、このことが分からないまま勉強するのは不安です。

こうした不安が、勉強というものをしんどいものにしています。

 

このため、試験勉強において、記憶という作業を進めるにあたっては、あらかじめ、憶え直す回数を決定しておくことが重要になります。

 

憶え直すべき最適なタイミング

というわけで、ここからが本題です。

資格コンサルタントで作家の高島徹治さんが、勉強本の中で記憶を定着させる方法について説明しています。

 

その方法とは、憶え直す回数は3回にして、そのタイミングを工夫するというものです。

 

憶えたことは、エビングハウスの忘却曲線に従って、頭の中から消え去っていきます。

1週間あたりを分岐点に、再認可能(ヒントがあれば思い出すことができる状態)から、完全忘却(まったく思い出せない状態)に移るそうです。

逆を言えば、記憶して1週間目が到来する前に、憶え直すという作業を行えば、憶えたことを忘れるという事態を防ぐことができるわけです。

もちろんですが、1回だけ憶え直すという作業を行っただけで、記憶が長期化するわけではありません。

何回か憶え直しが必要です。とは言え、憶え直しという作業を最小限に留めたいものです。

高島徹治さんによると、憶えてから1日目、1週間目、1か月目を節目に、憶え直すことで、記憶は長期化するそうです。

エビングハウスの忘却曲線によると、最初に憶えた時から1週間が経過すると、憶えている情報量は25%に低下します。

2週間が経過するとさらに忘却が進みます。

ところが、実験の結果、1週間目に憶え直せば、最初に憶えた時から2週間が経過しても、70%の情報を記憶に残ることが確認されたそうです。

さらに、この実験には続きがあり、1か月目にもう一回憶え直しを行うことで、記憶は長期化するのだそうです。

1日、1週間、1か月、計3回に渡って憶え直すことにより、記憶を残すことができるというわけです。

 

5回想起法

では、僕が技術士に受験した際、1日、1週間、1か月、計3回の記憶作業で、記憶を定着することができたのでしょうか?

残念ながら3回の記憶で、憶えることがはできませんでした。

当然ですが何事も個人差があります。僕の場合、憶えたことが頭の中に定着するまで、トータルで5回の記憶作業が必要でした。

3回に2回プラスしたものです。

この方法を「5回想起法」と呼びます。

具体的には、下図のとおりです。

1日、1週間、その翌日、1か月、その翌日という具合に5回、記憶作業を行うものです。

1週間目の翌日と1か月目の翌日を追加したがポイントです。

記憶というものは、寝ている間に定着するのだそうです。

このことを踏まえると、憶えているかどうか確認するという作業を、一日のうちに何度も何度も繰り返し行うよりも、睡眠をとった後、憶えているかどうか確認した方が合理的です。

つまり、前日の夜に記憶したことを、翌朝、憶えているか確認するわけです。

この方法を採用することにより、記憶作業の効率がアップします。

さらに、前日勉強したことをその翌日ちゃんと憶えていたことを確認することができれば、努力が報われることを体感できます。

これがモチベーション維持につながります。

また、朝勉強するという習慣も身に付きます。

「5回想起法」は効果的です。

お勧めします。

 

 

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