技術士合格法(8.2 いろいろな記憶法) | 技術士を目指す人の会

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勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

8 記憶

 

8.2 いろいろな記憶法

 

●目、口、耳、手を使う

 記憶というのは、ある情報を憶え、それを思い出し、その思い出した情報が正しいかどうか確認することで目的を達成できます。

記憶したつもりでも、それを思い出せなければ意味がありません。

せっかく思い出せても、それが間違いだと意味がありません。

記憶とは、「憶える(input)」、「思い出す(output)」、「確認する(check)が3つの作業がセットになっているわけです。

また、3つの作業は同時にはできませんので、それぞれの作業は異なる方法を選択することができます

 

つまり、記憶法とは、「憶える」・「思い出す」・「確認する」のそれぞれについて、一番自分に合った方法を選択することを意味します。

 

何を選択するのかというと、目、口、耳、手のうちどこを使って、憶える(input)、思い出す(output)、確認する(check)を行うかです。

憶える(inputは、目(見る)、耳(聞く)、手(書く)を使って行うことができます。

思い出す(output)は、口(声に出す、頭の中でつぶやく)、手(書く)を使って行うことができます。

確認する(check)は、目(見る)、耳(聴く)できます。

憶える(input)、思い出す(output)、確認する(check)という作業をどの部分でやるかによって組み合わせは多数あります。記憶法は多数あるわけです。

 

 

 

ここで重要なのが、自分に合った方法を選ぶことです。

目で見て憶えることが得意な人もいれば、耳で聞いて憶えるのが得意な人もいますし、手で書いて憶えるのが得意な人もいます。これは、人それぞれです。

やってみなければわかりません。それぞれが得意な方法を選択することが重要です。

「9(1)記憶を定着させる」でも述べたとおり、記憶を定着させるためには、何度も憶え直す必要があります。

つまり、「憶える(input)」、「思い出す(output)」、「確認する(check)」という3つの作業の繰り返しが必要になります。

このため、自分に合っていない方法を選択すると苦労することになります。逆に、3つの作業について、自分に合った方法を選択すれば、効率的に勉強することができます。

 

●いろいろな記憶法

具体的な記憶法としては、音読法、書き写し法、聴き流し法があります。

さらに、憶える(input)、思い出す(output)、確認する(check)を踏まえた記憶法として、ルックスピーク法、ルックライト法、ルックミックス法と、リッスンスピーク法、リッスンライト法、リッスンミックス法があります。

 

 

●音読法

音読法は、解答を声に出して読むというものです。最もシンプルな方法です。かけ算九九を憶えた方法がこれです。
音読については、作家の野口悠紀雄さんが「超勉強法」のなかで提唱されています。
この書籍の中では、同じ教材をとにかく20回繰り返し音読することを勧めています。
音読法は、「思い出す」と「確かめる」という作業がありませんが、目、口、さらに、耳まで使う点で有効です。
音読法だけで、記憶することができれば、どの方法よりも短時間で記憶作業が完了するかもしれません。
また、音読という作業により、自分の書いた文章を黙読するだけでは感じ取れなかった文章の不具合を発見することができます。
どの記憶法を選択したとしても、1回くらいは音読することをお勧めします。
ちなみに、音読する場合、単に音読するのではなく、録音すれば、後で、聴き流し法等にも利用できます。

 

●書き写し法

書き写し法は、解答を紙に何度も書くというものです。これもシンプルな方法です。

漢字を練習帳に書いて憶えた方法がこれです。
書き写し法は、解答全体を最初から最後まで、繰り返し書き写してもよいです。

また、解答の段落毎に繰り返し書き写すのもよいです。
書き写し法を行う場合、罫線紙や白紙等に書いてもいいですが、解答用紙(24行×25字)をコピーして、それに解答を書き込むのがおススメです。これにより、内容を憶えるだけではなく、記述量を目と手で憶えることができます。

 

●聴き流し法

聴き流し法は、録音した解答を何度も聴くというものです。
イヤホンで聞けば、どこにいても、何かをしながらでも、憶える(input)ことができる点で有利です。
ただし、技術士試験の場合、記憶用の用意された音源があるわけではありません。
このため、あらかじめ録音再生装置(ICレコーダー、スマホ等)に録音することが前提になります。

 

●ルックスピーク法

ルックスピーク法は、まず、原稿の一部を目で見て憶える。憶えたことを思い出して口にする。そして、それが正しいかどうか原稿を見て確認するものです。

音読法、書き写し法、聴き流し法に比べ、時間も労力もかかりますが、憶えたことを確認の機会を確保できる点で有効です。
おススメは、最初の段落を記憶し終えて次の段落を憶え終わったら、また、最初の段落まで戻って、正誤をチェックすることです。
これは時間がかかります。しかし、最初の辺を重点的に憶えることができます。一度記憶したことは、最初のきっかけさえつかめば、芋づる式に全てを思い出すことができますので、最初の段落を何度も記憶し、確実なものにしておけば、試験本番において、惑うことなく解答を書きはじめることができます。

ルックスピーク法は、解答以外に何も準備しなくてもいい点もいいですね。

●ルックライト法

ルックライト法は、まず、原稿を目で見て憶える。憶えたことを思い出して手で書く。そして、それが正しいかどうか確認するものです。

このルックライト法ですが、解答を全て丁寧に書いたら、解答用紙(24行×25字)1枚当たり20〜30分はかかります。

5回復習するのであれば、1枚記憶するだけで2時間前後必要です。これは、時間がかかり過ぎます。手も疲れてしまいます。

現実的には難しい方法です。

そこでおススメしたいが、略字で書くという方法です。
思い出せるからどうか確認するために書くわけですから、文字はぐちゃぐちゃでもいいです。
極端な話、点や横棒でもいいわけです。

手を動かすことを重視してください

ポイントは、解答用紙をコピーして、それに解答を書き込む点です。

記号でも略字でもいいので、1マスに1文字を書くんです。

これにより、内容を憶えるだけではなく、記述量を目と手で憶えることができます。
記述量を把握していると、解答の再編成が容易になります。
こうした小さな工夫により、試験本番において柔軟な対応が可能となります。
コピー代を節約するよりも、勉強の効率を優先するべきだと思います。

 

 

●ルックミックス法

ルックミックス法は、ほとんどルックライト法と同じです。
まず、原稿を目で見て憶える。憶えたことを思い出して手で書く。その時に口にしながら書くというのです。
この方法は、目、手、口、耳の全てを使います。
このため、効果的に記憶の定着を図ることができます。

 

●リッスンスピーク法・リッスンライト法・リッスンミックス法

リッスンスピーク法、リッスンライト法、リッスンミックス法のコンセプトは、これまで述べてきたルックスピーク法、ルックライト法、ルックミックス法と同じです。
違うのは、「憶える」と「確認する」が、目で見るのではなく、耳で聴く点です。
具体的には、下図のとおりです。
リッスンスピーク法の最大のメリットは、歩きながらできることです。

さらに、歩くことにより、足からの刺激が加わり、記憶が進むことが期待できます。

 

時間と状況にあった記憶法を選択する

これまでに紹介した方法以外にも記憶法はあると思います。重要なのは、自分に合った方法を選択することです。
目からの情報入力が向いている人、耳からの情報入力が向いている人、いろいろな人がいます。だから、共通の方法はありませんが、その人に合った方法というのが存在します。それを選択するわけです。
それから、もう一つ重要なことがあります。
それは、一つの記憶法だけに限定するのではなく、時と場所に応じて記憶法を使い分けることです。
これまでに述べた記憶法でも、時間、場所によっては、利用できない方法があります。

例えば、手で書くという行為が必要な記憶法は、一定の時間が必要ですし、交通機関で移動中は無理です。

逆に、耳で聴くという行為による記憶法は、短時間、歩きながらでも可能です。
自らの生活スタイルを踏まえ、何をしている時、どの記憶法を行うことができるか考えて、最適な記憶法を選択することが重要です。

 

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