成果を「あげる」は「上げる」?「挙げる」?それとも「揚げる」? | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所
2021-03-05 13:19:28

成果を「あげる」は「上げる」?「挙げる」?それとも「揚げる」?

テーマ:ことばの備忘録

また迷った!

何度めだろう・・・

 

まさに

ことばの備忘録

 

いま、したためよう

 

そう思い

書いています

 

実は昨日

こんな記事を書いたばかり

 

地震が「おさまる」はどういう漢字を書く? | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所 (ameblo.jp)

 

 

なんで

こんな記事を書くかというと・・・

 

もちろん

読者のみなさんに

少しでも有益な情報を

欲しい情報を

分かりやすく

自分なりの視点で

お伝えしようというわけですが

 

昨日書いたとおり

自分のためでもあるのです

 

Google検索で答えが出てくるのですが

急いでいるときとか

とっさに「これどっちだっけ?」

と思ったときに

自分がよく使うキーワードで探しやすくするために

自分で解説記事を書いています

 

で、

今日も早速

「どっちだっけ?」

と思い

Google検索をして

もやっとしたので

書いています

 

ハチハチハチ

 

本題に入ります

 

「成果をあげる」

上げる?

挙げる?

それとも・・・

 

 

多くの解説を見ると

「上げる」でも「挙げる」でも

どちらでも良さそうです

 

何を意味するかによって

使い分ける・・・

という説明もありました

 

ということで

それぞれの漢字の意味を

昨日同様に

調べてみました

 

 

「上げる」の「上」

①うえ。かみ。位置・場所・順序・品性・価値などが高いほう。また、物・物事のもとのほうであるさま。

②目上の人。また、身分の高い人。

③かみ。順序の前のほう。

④帝王をさす尊敬のことば。

⑤あがる。高くする。また、高くなる。

⑥のぼる。高いほうへいく。

⑦たてまつる。目上の人や上級の訳書にさしあげる。

(以下省略)

 

「挙げる」の「挙」

①あがる。手をそろえて持ちあげる。高く持ちあげる。

②事をおこす。

③多くの中からすぐれた人や物をもちあげる。

④問題点やめぼしいものをとりあげる。

⑤任官試験を受ける。試験に受かってとりたてられる。

⑥都市を占拠する。

⑦古魚津。ふるまい。

(以下省略)

 

 

「挙」は

文字が意味するとおり

両手をあげて差し出す

みたいなイメージです

 

「挙式」なんても

言いますもんね

 

そう考えると

単純に

「成果があがる」

というときは

「成果が上がる」

 

誰かの命の下で

「成果をあげる」

というときには

「成果を挙げる」

というイメージなのかなあと

思います

 

少し込める意味が

変わってくるという感じでしょうか・・・

 

実は

出てきた文脈はこれ

 

Haruhiko Kuroda, Bank of Japan governor, certainly delivered on the first arrow.

 

この

delivered on the first arrow.

のところで

「成果をあげた」

と訳したかったのですが

 

今回調べた意味を踏まえると

「挙げる」か「上げる」か・・・

 

これは

アベノミクスの第一の矢の話ですが

黒田総裁は

安倍首相の命に応えるかたちで

「成果をあげた」

というわけですから

「成果を挙げた」

というイメージとして

解釈できるのではないかと

思うのです

 

「成果を上げた」

としても

定義としては

間違いではありません

 

ただ、

そうすると「黒田総裁」がわざわざ主語になっている意味合いが

薄れてしまう気がします

 

今回は文脈から

こういう風に解釈できます

 

たんたんと

「黒田総裁の下で成果があがった」

と言うなら

「成果が上がった」

とすれば

その意味合いが

表現できると思います

 

しかし

あえて読み手に解釈を委ねよう

読者側にイメージの幅を持たせよう

と思えば

あえて

「成果をあげた」

平仮名のままにすることもできます

 

日本語は

漢字の使い方だけでなく

漢字にするか仮名のままにするかで

自由に文脈を操れるので

とても面白いです

 

これは

原文の書き手が

必ずしも意図していなかったことでしょう

 

それなのに

そういう意味を込めることも

できてしまう・・・

 

翻訳というものの

凄さと言うか

恐ろしさというか・・・

 

そういう要素があるので

翻訳はやめられません

 

ある意味

責任は大きいですがあせる

 

かたつむりかたつむりかたつむり

 

話を元に戻すと・・・

 

「あげる」

には

他にも漢字があります

 

その中でも

よく使われるのが

「揚げる」

でしょう

 

「成果を揚げる」は

ないのでしょうか?

 

どうやら

これでも良いそうです

 

漢字の意味としては・・・

 

「揚げる」の「揚」

①あがる。高く上にあげる。高く上にあがる。

②あがる。高く持ちあげて、明らかにする。堂々と世にあらわす。

 

という意味でした

 

ただ高い位置に持ち上げるのではなく

「見せびらかす」

といった意味あいが

含まれるようです

 

漢字の意味(解字)を見ると

 

太陽が高く上にあがるさま。

揚は「手+音符易」で、威勢よく明るくあがること。

 

(以上、学研『漢字源』より)

 

とあります

 

愛猫が

蝉なんかを捕まえてきて

見せびらかすようなときは

 

「成果を揚げている」

 

という感じでしょうか

 

(ちょっと違和感がありますが・・・)

 

そう考えると

「揚げ物」が

とても誇らしく見えてきます

 

 

 

ま、これだけ書けば

今度こそ「成果をあえる」で

迷うことはなくなるでしょう

 

まあ、

また迷っても

今度は自分のブログで検索できますしね

 

「成果をあげる」は

どの字でもOK

 

でも

どういう意味を持たせたいかを

意識する!

 

ということが

結論のようです
 

━─━─━─━─━─
丸山のプロフィールはこちらをご覧下さい。 

━─━─━─━─━─

◆Twitter◆

丸山清志 🇯🇵『WHOLE』(コリン・キャンベル著)翻訳者/Seishi Maruyamaさん (@marusan_jp) / Twitter

 

◆Instagram◆

@marusan_jp • Instagram写真と動画

 

王冠1ランキングに参加しています!クリックして投票をお願いします。

にほんブログ村 英語ブログ 英語 通訳・翻訳へ
にほんブログ村

 

拙訳書『WHOLE がんとあらゆる生活習慣病を予防する最先端栄養学』
T・コリン・キャンベル、ハワード・ジェイコブソン 著 鈴木晴恵 監修 丸山清志 翻訳
絶賛発売中!