杉さん(仮名)のテリトリーに、大きなな緑のバッタが現れました。円錐形の頭部に生えた角みたいな触角や、すらりとしたボディについた長い後ろ脚が特徴的です。この昆虫の名前はショウリョウバッタ(Acrida cinerea)で、私と同年代の男性なら、すぐに名前を答えられるくらい有名です。
↑そうそう、この角度です。分かってるなぁ、杉さん
なんで有名かというと、「タイムボカン」に登場していた「ドタバッタン」というメカのモデルになった昆虫だからです。
「タイムボカン」は私が小学生の時に放映されていたアニメで、確か土曜の6時半から始まりました。当時の子供は、ほぼ全員が土曜日の6時半からタツノコプロのアニメを観て、7時から「日本昔ばなし」を観て、7時半から「アルプスの少女ハイジ」などの世界名作アニメを観て、8時からドリフの全員集合を観ていました。
だから、杉さんから、「ドタバッタン」、じゃなかった、「ショウリョウバッタ」の写真を送ってもらったときは、とても懐かしい気持ちになりました。それに、この写真のアングルが素晴らしいです。杉さん、分かってるなあ。
カブトムシ型の「メカブトン」に続いて登場した、正義側メカの2号機である「ドタバッタン」は、三悪(マージョ様、グロッキー、ワルサー)たちから、なかなか名前を憶えて貰えず、「ドッタリバッタリ」などと呼ばれたりして下に見られていました。チャームポイントの長い後ろ脚は、いつも三悪にミサイルで狙われ、取れてしまってピンチを演出するのに使われました(脚が破壊されると、代わりにキャタピラが出てきたので、脚はほんとうに飾りでしたね)。
強そうに見えない「ドタバッタン」は子供たちから人気がなかったのか、やがて、クワガタムシをモチーフにした「クワガッタン」というカッコいい3号機が開発されると、すっかり出番が減って、干された感じが強くなっていったなあ。
↑この個体は大きいからメスですね
本物のショウリョウバッタは大きくて迫力がある昆虫なのに、「ドタバッタン」は、小さく見えて弱そうでした。
ショウリョウバッタは雌雄で大きさが極端に違っていて、メスは10㎝に迫るサイズがあるのに、オスはその半分ほどの5㎝しかありません。今思うと、「ドタバッタン」はオスのショウリョウバッタがモデルなのでしょう。
迫力不足で不人気の「ドタバッタン」より、搭載メカの「ヘリボタル」と「シャクトリン」(モデルの昆虫は察してください)の方は人気があったっけ。私としても、番組の冒頭で主人公の丹平くんと淳子ちゃんが「ドタバッタン」に乗り込むと、がっかりした覚えがあるものな。
しかし、記念すべき「タイムボカン」の最終回で主人公たちが選んで乗ったのは「ドタバッタン」でした。
その時だけは、「ドタバッタン」が出てくるたびに不平不満を言っていた子供たちも何も不満を言いませんでした。愛されていたのは、1号機「メカブトン」でも、人気の「クワガッタン」でもなく、「ドタバッタン」だったのかもしれませんね。
書いていて、懐かしい思いがこみ上げてきてたいへんです。
せっかくの杉さんの自然観察記録が思い出話になってしまって、申し訳ないです。次からはちゃんとします。