人様にご覧に入れるのはいかがなものかとは思っているけど、気に入っているため載せることにしました。遺伝子組み換え技術と大腸菌への遺伝子導入について、話半分見てください。
「遺伝子組み換え」のところは難しく考えないことが第一です。理屈は単純明快です。
理解しづらいのは薬品などの名前と役割で、制限酵素、リガーゼ、そしてベクターの3つあります。
まず、DNAを切断するハサミとして使う制限酵素がハサミっぽく聞こえないし、それに、いったい何を制限するんだかピンときません。
こういう時は、英語でなんというかを調べると腑に落ちることが多いです。制限酵素の本名は「Restriction enzyme」と言います。enzyme(エンザイム)は酵素のことなので、Restriction(レストリクション)とはなんぞやということです。strict(ストリクト)という語が読み取れますが、これは厳しいとか 精密とか、しゃくし定規でからいことを意味します。接頭語Reはこの場合強調の意味があり、Restrictは「とっても厳格な」ことを意味します。
制限酵素が「とっても厳格に」何をするかというと、特定の塩基配列だけに働いてDNAを切断します。例えばAluⅠという制限酵素だとAGCT、EcoRⅠというものだとAATTという箇所で間違うことなく限定的にDNAを切断します。この塩基配列の特徴は、相補的に結合するDNA鎖の塩基配列を5´→3´から読んだとき同じところです。図でAluⅠは二重鎖を作るDNAの塩基配列はそれぞれ5´→3´から読んだときAGCTになっています。
つまりは、「Restriction enzyme」とは「切断する部位が厳格に制限される酵素」という意味です。辞書にはrestrictは制限する、あるいは限定する、と、訳語があるので、どっちかというと限定酵素と訳した方が良かった感が漂います。
制限酵素で処理したDNA断片は相補的な関係になっており、切り離されてもまたくっつきます。アデニンとチミン、グアニンとチミンがカップルだからです。
でもこのままだと、塩基だけがくっついて、ぶらぶらしているだけなので、DNAヌクレオチドのリン酸とディオキシリボースを連結する仕事が必要です。
リガーゼは、これをくっつける「のり」の働きをする合成酵素で、リガーゼのお陰を持ちまして、制限酵素で切断されたDNAは二重鎖として復活します。
こうして制限酵素とリガーゼで処理することによって、一定の確率で同じ制限酵素で切断した別のDNA鎖に切り出したDNA断片を組み込むことができます。元のさやに戻ってしまうやつもいるんだろうけど、中には下の図のようになったやつもでるはずだということです。
最後にベクターなんですが、「運び屋」と理解するようにアバウトに教えられます。だから、DNA断片を運んでくれるやつはみんなベクターと呼んでいいんですか?、と、不安にかられます。
さて、ベクターは英語で「Vector」と書きます。どっかで見たなと思ったら、数学で出てくるベクトルと同じ言葉でした。もともとの語源はラテン語の「vehere」(運ぶ)で、乗り物や輸送手段を意味するビークル(vehicle)と同根でした。
ベクターって、行先にモノを届けてくれればなんでもいいんですね。まさに「運び屋」。うまい訳を作ったものです。
で、制限酵素、リガーゼ、そしてベクターの3つを使うと、ハサミとのり、そして運んでくれるやつがそろうので、大腸菌などの生物に目的の遺伝子を導入することが可能になます。
つまり他の生物に狙ったタンパク質を作らせることが可能になるんだけど、その様子を漫画にしたところ、詳しい人に怒られてもしょうがないレベルになってしまいました。
微小な世界をまるで見えるかのように模式化するのはしかたのない話だということで、大腸菌を大きくして一コマ目を書いたところ、ずるずる以降のコマが決まっていきました。
実際にはシャーレや試験管に色々混ぜて、研究者はチャカチャカやっているだけなので絵にしてもつまんないっすよね。
大腸菌プラスミドというのは、大腸菌ゲノムDNAとは別に持っているちっちゃな環状のDNAのことで、ベクターとして使うことができます。
とりわけ問題を感じる3コマ目。バクテリオファージというのは細菌に感染するウイルスでアポロの月着陸船みたいな形をしていてカッコよく、ガチャの景品になっているくらい人気者です。ウイルスなので、感染した細胞にDNAを送り込んでその細胞を乗っ取って増える性質を持っています。
そんなファージがプラスミドみたいな環状DNAを運べるのかよく知らないのに描いたので、これまでブログに乗せませんでした。でも、この間AIに聞いたら、プラスミドを運ぶファージもいるよと教えてくれたので、まんざら嘘にもならないかな、と、思って、掲載することにしました。
大腸菌は何故かタンパク質を作らせる工場として利用されることが多く、ヒトの成長ホルモンやインスリン造りで医療に貢献しています。その歴史は古く、私が高校生の時には本屋で読んだことがあったからもう50年くらい前に確立さていた技術です。けれどなんだか新しく感じますね。
こんなことが可能なのも、すべての生物の遺伝情報の発現が共通の仕組みで行われているためで、遺伝情報はDNA→RNA→タンパク質に流れていきます。
合成が難しいタンパク質も、他の生物に遺伝子を導入して、これがうまく発現すれば大量につくらせることができます。例えばヒトのインスリン遺伝子を導入したメス牛の母乳から大量にインスリンを回収するとか。ここまで聞いただけでも我々人類がどこまで遺伝子を利用することが許されるのか不安に感じるレベルです。
今の最先端の研究ではどこまでやっちゃっているのでしょうね。










