はし3の独り言

はし3の独り言

腕時計に自転車、高校理科の話題が多いブログです。日常で印象に残った出来事も取り上げます。時間があって、気が向いた時しか更新できていませんが、ご愛顧よろしくお願いします。

 

 大人になってから教科書を読むと、「子供への思いやりの結晶」であることに気がつくんだけど、生徒であるうちは分かんないだよなあ。

 

 特に自律神経については、「若者よ、大人になっても忘れないでくれ。実はな…」、みたいな忠告の声がページの間から聞こえてきます、教科書の解説者たる教員としても頑張らないといけません。だから少しだけ詳しい補助資料を作ったので紹介します。鶏の脳を解剖したときの写真も載せるので、気持ち悪いものが苦手な方はご注意ください。

 

 

 

 我々のからだを支配する神経系は、まず中枢と抹消に分けられます。中枢は脳と脊髄で、命令系統にあたります。抹消神経には体性神経と自律神経があって、中枢と器官や組織の間で情報をやり取りするのに使います。

 

 自律神経の特徴としてまず強調されているのが、中枢が大脳じゃなくて間脳視床下部にあり、意識とは無関係に働くというとです。

 

 からだは自分のものだと思っていたら、そうじゃなくて、間脳視床下部という謎の組織が支配しているから、自分の意思でコントロールするのは無理だとはっきり教科書に書いてあるわけです。

 

 生徒も、「そういえば思い当たる節がたくさん…」、と、思うはずです。けれども教科書には、間脳視床下部が何のことだか、どこにあるのか分詳しい解説がないので、正体が不明です。

 

 我々を裏で操る影の支配者、間脳視床下部ってなんだ、どこの馬の骨だと、思うのは当然なので、疑問はあらかじめつぶしていおきましょう。

 

 

 さて、間脳が分からないと間脳視床下部が分かるはずありません。だからまず、間脳ってどこ?、なに?、ということですが、結論から言えば大脳と中脳の間にあたり、動物として生き残るための行動を支えています。

 

 中枢は胎児の時期のごく初めに、神経管という一本の管から始まります。やがて、脳になるところでは、前脳、中脳、菱脳(りょうのう:小脳と延髄になります)と呼ばれる3つの膨らみができてきます。前脳はのちに大脳になる端脳と間脳に分かれるので、大脳と中脳の間に間脳は生まれます(だから間脳)

  

 脳はその後も成長を続け、ほ乳類だと大脳がメキメキ発達して、がばっと間脳や中脳に覆いかぶさり、外から見ても全く分からないように隠してしまいます。

 

 だから、なんとなく脳というと、大脳と小脳しかないイメージがありますが、実際には脊髄側から、延髄、小脳、中脳、間脳、そして大脳まであって、身体をコントロールする仕事を分担しています。

 

 意識は大脳の前頭前野で作られているらしいので、私たちの意識は直接間脳がやることに指図できません。

 

 ここで、ニワトリの脳を観察して間脳がどんな姿をしているか確認します。ホームセンターでペットフードとして売られている鶏頭の水煮を使って、「ニワトリの脳の解剖」を授業でやった時の写真を持っていたので活用します。

 

 

 我々の脳は胎児のときに一時的にニワトリの脳そっくりの形をしている時期があって、調べてみると、ちょうど12~19週です。ヒトの頭の中は覗けませんが。水煮のニワトリの脳ならじっくり観察することができます。

 

↑凍らせてからのこぎりで切ると断面が観察できる

 

 恐竜の生き残りで、は虫類の雄たる鳥の脳は、なかなか立派で見ごたえがあります。脳から伸びる視神経の先に眼の網膜があって、眼は脳の出張所という表現の意味が分かります。

 

↑ニワトリの脳の外観

 

 取り出した脳を裏返すと、間脳と中脳が良く見えます。

 

↑視床下部を挟むように左右の視床が配置している

 

 脊椎動物は左右対称の体制を持っているので、どの脳も左脳と右脳があるのがよく分かり、徐々に間脳の具体像が持てるようになってきます。

 

 

 断面も観察し、イメージできたので、間脳の姿かたちを図にしてまとめたものがこちらです。同じ脊椎動物ですから、ヒトもニワトリも脳の基本のつくりは同じです。AIに教えてもらい、間脳の各部の働きを文章で添えました。最新の知見に近いはずです。

 

 

 我々を裏で操る間脳の正体がつまびらかになってきます。もともと神経管だっただけあり、真ん中には第三脳室という脳脊髄液で満たされた空間があって、左右を視床という膨らみが挟んでいます。脳室の上側を視床上部、下側を視床下部と呼んでいます。

 

 ここか、視床下部ってここかー、と、やっと間脳視床下部の意味が腑に落ちます。脳下垂体という内分泌腺の親玉みたいなものがくっついているのが目印です。

 

 せっかくなので、間脳の各部の働きについて簡単なものだけ紹介します。動物として生き残るための行動を取り仕切っています。

 

 視床上部の中脳側には松果体があって、体内時計として働き、バイオリズムを生み出します。視床は松果体からの情報をもとに睡眠と覚醒を支配しています。ネコを使った実験で、視床と大脳をつなぐ神経を切ってしまうと意識がなくなり、眠った状態になったそうです(放送大学の講義で言ってました)。間脳視床のお許しがあって初めて大脳は意識が持てるのです。

 

 考えてみれば、寝るのも起きるのも自分の意志でどうにかなるものじゃありません、眠くなるから寝て、目が覚めるから起きるのです。体内時計が狂うと社会で生きていけなくなるから生活習慣は乱れないようにしないといけません。

 

 

 

 視床上部は、がっかりしてやる気を失うときに働くそうです。気持ちが落ち込んで、引きこもっちゃうのは視床上部が働くせいです。失敗した後、同じことを繰り返さなくなることは、生存に有利だということでしょう。

 

 さて、間脳視床下部がどこのことを言っているのか分かったところで、本題の自律神経の解説を始めようと思いましたが、長くなってきたのでこの辺で区切り、次の記事で書こうと思います。

 

 自律神経の調節は間脳の働きの一部だから、生存に関わる重要な内容になります。生徒には、ぜひ理解を深めて社会に巣立って欲しいです。