今回は、前回のブログ
『北の地の達磨大師(前編)』の後編となります。
どうぞ前編より続けてお読みください。
函館空港に降り立ち、レンタカーを借りて私が最初に向かったのがここ。
空港から車で10分ほどの函館市民の森の近く。
小高い丘のような場所で地域を見守るように座る達磨大師像。
この方に会いにやってきたのです。
像高は7メートルほどと聞いていましたが、
実際みると6メートルくらいじゃないかな…?
という感じがしました。
台座部分を合わせると7メートルほどあるかもしれませんね。
それでもこのビビットなカラーと輝く姿!
6メートルもあろうかという像を目の当りにすると、
存在感といいますか、威圧感といいますか、
とにかく、何らかの圧を感じるのは間違いありません。
そして、正面の写真からも伝わると思います。
全体的にもそうですが、特にお顔が平面的で、のっぺりした印象を受けます。
横から見るとどんな形状をしていらっしゃるのでしょう。
これ以上後ろに下がることができなかったので全体像はお見せできませんが、
後ろには緩やかな丸みがあり、
それをバスッと上からカットしてできた平面にお顔を描いた、みたいに見えます。
事実はどうかわかりませんよ、あくまでそんな風に見えるということ。
プロの仏師ではない個人の方がつくった、
いわゆる手作り系大仏さまには、
こうした立体感がやや足りない像、というのが度々みられます。
これは力量の問題なのか、材料費の面…いわゆる経済的な問題なのか。
ただ、個人の方がつくられた像の良さも、当然あります。
先ず、可愛らしい造形、親しみやすさなど。
それに加え、プロでない素人が、こうしたものを手作りでつくってしまうということに、
並々ならぬ熱量を感じるところです。
自ら作るまでしてしまう、そんな純粋な想いがとっても尊いな、と思うわけです。
目が黄色く光ってました「キラーン」
こちらの達磨大師像をつくられたのは、斉藤キワさんという女性です。
キワさんは明治生まれで、大正末期に旦那さんと死別された後、
夢の中で達磨大師に出会い、達磨像の建立を決意。
1951(昭和26)年に自らの手で彫り上げ、自宅の敷地内に祀ったのだそうです。
現在は高龍寺に寄贈されています。
2015年には修復作業も行われ、このようなビビットな輝きを取り戻したようです。
達磨大師の傍らにはキワさんの胸像もありました。
この像を拝見する限り、普通の女性といった印象を受けます。
そんな女性がこれだけ大きなものをつくったのか…と思うと、
そこには相当な想いとご苦労があったのでは、
と勝手に想像してしまいます。
この場所には達磨大師像以外にもう1尊、大きな仏像がありました。
不動明王像です。
こちらもかなりの大きさ!!
そして、独特の作風!!
もちろん、こちらもキワさんの作だということです。
この時点で私は思いました。
ん、ちょっと待てよ、と。
勝手に非力な女性が苦労して大きな像をつくり上げる図を想像していましたが、
これ、けっこう好きで、楽しんでつくってるんじゃないかな…って。
キワさんは、達磨像を制作後、この不動明王、八大竜王とつくっていったのだそうで。
そこには「つくらずにはいられない」『クリエイターズハイ』的な側面も見えるような。
もちろん事実はわかりません。
あくまでただの勝手な想像ですが、
きっと好きなものをつくった、素敵な人生だったんじゃないかな。
そんな風に思ったりしました。
なんにせよ、はるばる函館まで来たかいがありました。
素敵な達磨大師像、そして不動明王像との出会いでした。
北海道の旅のつづきは、また時間ができましたら。
どうか気長にお待ちください。