『風と共に去りぬ』(1939)~僕のお気に入り映画BEST200から漏れた超大作! | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

先日備忘録もかねて行った企画、

『僕のお気に入り映画BEST200』。

 

自分でもまあまあこんな感じだったのかなとやり終えた後は感じていたのですが、

改めて読み返して時間が経ってくると、

「あ、なんでこれ入れてないの!」とか「しまった!こっちじゃなくてこれだった!」と反省の念が沸々と・・・

 

まず、その筆頭として浮かんできたのが本作、

『風と共に去りぬ』(1939)でした。

 

インフレを考慮して算定した興行収入では、

今でも世界一の作品です。

 

1939年の制作ですが第二次世界大戦の影響もあり、

日本国内での初公開は1952年の9月。

その後も幾度となくリバイバル上映されその都度たくさんの観客を動員している怪物作品であります。

近年の名物企画『午前十時の映画祭』でももっとも多く上映されていることでも、

その根強い人気をうかがい知ることができます。

 

原作はマーガレット・ミッチェル原作の長編大衆小説。

舞台は南北戦争時のジョージア州アトランタ。

アイルランド系の移民で裕福な地主の父とフランス系の名家出身の母の娘である、

スカーレット・オハラの生涯。

 

題名は、アーネスト・ダウスンの詩からとられたもので、

南北戦争という風と共に当時優雅だった南部白人たちの貴族文化が消え「去った」ことを意味するらしいです。

(Wikipediaより)

 

この作品は恋愛映画としても捉えることができるが、

同時に(かなり表現に制約があるが)アメリカの叙事詩であり複雑な感情が湧き出る人間ドラマでもあります。

 

主人公のスカーレット・オハラ。

気が強くわがままで奔放な女性。

自分と同じ上流階級で長身の美青年アシュレー・ウィルクスに恋をし、

叶わぬ恋と悟るとあてつけに別の男と結婚したりする。

 

そんな何不自由ない生活を送っていたスカーレットの前に現れた無頼男・レット・バトラー。

他の男にはない不思議な魅力を感じながらも、その態度を嫌悪する。

 

南北戦争が勃発。

命からがらアトランタから脱出したスカーレットは故郷であるタラの土地に戻ってくるが、

そこはかつての豊かな楽園ではなく、

荒れ果てた貧しい土地となっていた。

 

悲しみに暮れたスカーレットだったが、

「決して私は飢えはしない。みんなを飢えさせたりしない。人を殺しても私はいきる。」と、

新しい人生を歩みだす。

 

妹の恋人を掠奪して結婚して製材所を乗っ取ったり、

タブーとされていた北部の人間と商行為をしたりして、

スカーレットは次第に豊かになっていくが、

それは保守的な南部の人間たちから冷たい目で観られる行為であった。

 

戦争に駆り出されていたアシュレーが帰ってきた。

スカーレットが最も頼りにしているメアリーの夫だったが、

スカーレットはアシュレーへの想いを抑えられない。

 

戦争に勝利した北軍が南部の土地を奪おうと、

タラの土地に法外な税金をしかけてきた。

 

その金を工面するために奔走するスカーレットの頭に、

金を持っているかもしれないレットのことが思い浮かぶが、

彼は戦争の捕虜として拘留されていた。

 

そして・・・

 

ストーリーを追うのはここまでにしておきましょうか。

男ならだれもが振り向く魅力を持ったスカーレット。

それを自分でも充分自覚していてしたたかにそれを利用して生きる女性。

 

そんな彼女でもアシュレーとレットは特別な男だった。

二人は人物的には双極的な男。

レットに惹かれながらもアシュレーを忘れられない。

だけど、本当は、本当の心の奥は!

 

この難しい役柄を見事に演じたのがヴィヴィアン・リー。

本当に難しかったと思います。

キャスティングは難航して最後までスカーレット役は決まらず、

主要キャスト不在のまま前半のクライマックスシーンである燃えるアトランタからの脱出シーンが撮影されたのは有名な話。

荒れ果てたタラの土地で植物の根をかじりながら決して飢えはしないと誓うシーンは鬼気迫っており、

ヴィヴィアン以外の配役は考えられない。

 

ヴィヴィアン自身も原作小説の大ファンで、

この役を演じるのは私しかいないと考えていたという。

 

ヴィヴィアンあっての本作であるが、

伊達男レット・バトラー演じるクラーク・ゲーブルも魅力たっぷり。

 

女性心理に疎い僕なのですが、

女性は本当はどっちに惹かれるのだろう。

理性的で常識人のアシュレーと、

非常識ではあるが行動力のあるレット・バトラー。

 

最後に本当の気持ちに気付くスカーレット。

「明日は明日の風が吹くわ」

名セリフで本作はエンディングになりますが、

鑑賞後、いつまでも余韻に浸っていたい忘れられないエンディングでした。

 

この本物の超大作が1939年に制作されていたという事実。

アメリカ映画の底力を感じます。

 

大きなお世話かもしれませんが、

南北戦争のことを知らない方は少しだけでも調べてからのご鑑賞をおススメします。

そうすれば、この作品の絶妙なキャスティングに興味がわいて、

黒人俳優初のアカデミー賞を受賞したハティ・マクダニエルが凄いというのがわかると思います。

 

それでは!

 

あ、それから本作が黒人差別映画だと批判する輩がいるようなんですが、

僕はそうではないと思っていることを付け加えておきます。

 

 

『風と共に去りぬ』(1939)

ヴィクター・フレミング監督 222分

 

僕のお気に入り映画BEST200 (2位から200位まで)