1970年制作、
1971年3月日本公開された本作。
この年に公開された日本国内ロードショー作品の中で興行収入堂々の第一位でした。
順位 | 題名 | 製作国 | 配給 | 興行収入 |
---|---|---|---|---|
1 | ある愛の詩 | ![]() |
CIC | 3億2792万円 |
2 | エルビス・オン・ステージ | ![]() ![]() |
MGM | 2億6106万円 |
3 | 栄光のル・マン | ![]() |
東和 | 2億5365万円 |
4 | チャイコフスキー | ![]() |
ヘラルド | 2億1502万円 |
5 | 小さな恋のメロディー | ![]() |
ヘラルド | 2億0636万円 |
6 | トラ・トラ・トラ! | ![]() ![]() |
20世紀フォックス | 1億9422万円 |
7 | 狼の挽歌 | ![]() |
ヘラルド | 1億6666万円 |
8 | アラビアのロレンス (リバイバル) | ![]() ![]() |
コロムビア映画 | 1億5936万円 |
大富豪の御曹司オリバー(ライアン・オニール)と、
移民の娘ジェニファー(アリ・マックグロウ)が恋に落ちる。
オリバーと父親は対立しており、
父親の反対を押し切ってジェニファーと交際、結婚するオリバーに父親は金銭的援助を中止する。
ジェニファーの父親はオリバーを迎え入れて、
熱心なカトリック信者であるにもかかわらず、
オリバーと娘の信仰に基づかない結婚にも理解を示す。
ジェニファーは教師として働き、
オリバーも学校を優秀な成績で卒業し一流弁護士事務所に入所して将来は約束された。
しかし、ジェニファーは白血病に侵されており余命数か月と診断され・・・
という難病恋愛映画直球ど真ん中の作品です。
雪の残るセントラルパークのベンチでたたずむオリバーの回想シーンから始まる本作。
雪の公園で二人が戯れるシーンや、
お姫様抱っこをしてアパートに入るシーン。
ジェニファーの授業風景をオリバーが見入ってる場面やクリスマスのシーンなど、
ひたすらおセンチなシーンの連続。
最後の瞬間を覚悟したジェニファーとオリバーが最後の抱擁を交わす場面は涙を観客から搾り取りますが、
僕はオリバーに感情移入がどうしてもできなかったのでそこまで入り込めなかったのです。
なのに世間ではここまでメガヒットしたんですね。
映画の内容よりその時代背景にとても興味をそそられます。
このヒットは日本だけでなく、
1970年の北米興行収益もトップとなっていました。
北米興行収入ランキング
順位 | 題名 | 興行収入 | 出典 | |
---|---|---|---|---|
1. | ある愛の詩 | パラマウント映画 | $106,397,186 | [178] |
2. | 大空港 | ユニバーサル映画 | $100,489,151 | [179] |
3. | M★A★S★H マッシュ | 20世紀フォックス | $67,300,000 | [180] |
4. | パットン大戦車軍団 | 20世紀フォックス | $61,749,765 | [181] |
5. | ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間 | ワーナー・ブラザース | $50,000,000 | [182] |
6. | おしゃれキャット | ウォルト・ディズニー | $43,727,252 | [183] |
7. | 小さな巨人 | ナショナル・ジェネラル・ピクチャーズ(英語版) | $31,559,552 | [184] |
8. | ライアンの娘 | MGM | $30,846,306 | [185] |
9. | トラ・トラ・トラ! | 20世紀フォックス | $29,548,291 | [186] |
10. | Chariots of the Gods | コンスタンティン・フィルム サン・クラシック・ピクチャーズ(英語版) |
$25,948,300 | [187] |
ベトナム戦争でアメリカの若者たちが疲弊と反乱をしていた時代。
60年代から続いた混乱に世間は疲れていて、
本作のような甘い夢物語ともいえる作品に観客は逃避したのではないかなと。
『愛とは決して後悔しないこと』(Love means never having to say you're sorry)という生前に残したジェニファーのセリフは、もちろんジェニファーからオリバーにむけた愛の言葉でありましたが、
それは同時に疲れ切ったアメリカ国民に向けたメッセージだったのではないかと考えると、
このセリフに一層重みが感じられると思います。
そして、日本でも学園闘争などで荒れていた若者らがしらけ世代に入ろうとしていた時期、
彼等に対するレクイエムとして観衆に響いた結果がこの興行成績になったのではないかなと思います。
なんの根拠がある意見ではありませんが、
こんな風に考えると面白いなと思った次第です・・・
『ある愛の詩』Love Story
1970(米) アーサー・ヒラー監督 99分
印象的な音楽は、フランシス・レイ