平家の中でも あまり注目されない(←失礼)
清盛の四男、知盛を主人公の小説です。
清盛亡き後、世の中の民衆から 平家は恐れられている中で
跡を継いだのは 本書では頼りない三男の宗盛。
しかし、平家を率いるのは実質、四男の知盛ということに。
話は知盛亡き後に 西仏という琵琶法師に”己”が
知盛亡き後の 平家滅亡まで語る場面から始まります。
それにしても 登場人物の多さに 大河ドラマを観てなかったら
誰が誰やら・・・?という感じ。
いや、観ていても 誰が誰やら・・?と迷うことも多々ありでしたね。
後、同一人物でも 呼び方が変わっていたりもするし・・。
以前、平家物語を読んだ時に
ネットから家系図をプリントアウトしておいたので
それが役に立ちましたけど。
知盛・・つまり平家側から観た話なので
単に美しい話かと思いきや 醜く無様なこともあるというのは
それを含めて「生きた証」という知盛の考えだと。
印象的なのは 清盛が源氏側である頼朝を殺さなかった理由が
義母の池禅尼の情にほだされてだとされる説とは異なると本書ではされており
それが 清盛がまさか源氏を必要としていたという・・・。
そして、義仲と頼朝との戦いの背景に平家の思惑があった?!
・・・など、意外な面もあったりして。
更に 南都焼き討ちも 平家側による横暴説を覆すような説。
当時の僧ですから 罪もなき民に対して彼らもかなりの横暴で
汚名を追ってでも清盛が決行したというその説
そして、源氏の諸勢力も迫ってきて焦りもあったというのは
確かにありそうな気も。
一人の人物が偉大過ぎると
周囲の者たちは それに頼り切ってしまうことで危うくなるというのは
歴史ではよくあることで
平家も例外ではなかったということなのでしょうね。
今まで私が知る限りでの「平家物語」との違いを楽しめました。
さて、西仏に語る”己”って一体誰なのか?
それも明かされるであろう下巻へ行ってきます!