宮城県の仙台市で開催されている、第8回仙台国際音楽コンクールのピアノ部門(公式サイトはこちら)。
6月24日は、ファイナルの第2日。
ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。
ちなみに、第8回仙台国際音楽コンクールについてのこれまでの記事はこちら。
なお、以下の協奏曲は高関健指揮、仙台フィルハーモニー管弦楽団との共演である。
01 ヨナス・アウミラー Jonas AUMILLER ドイツ 1998-
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 op.37
ピアノはカワイ。
くっきり明快なタッチによる、力強い演奏。
音色にドイツ風の味があり、ベートーヴェンらしい。
テクニック的にもなかなかだが、第1日のジョンファン・キムの同曲演奏に比べると精度はやや落ちる(ベートーヴェンらしさは上だが)。
また、強音の音質がきつめなのが少し気になる。
06 ジョージ・ハリオノ George HARLIONO イギリス 2001-
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 op.37
ピアノはヤマハ。
端正な正統派の演奏。
この数日、クライバーンコンクール(その記事はこちらなど)も併せこの曲を何度も聴いたが、その中で最も曲の様式に合致している。
例えば第1楽章カデンツァ、三連符アルペッジョを強奏するクライマックスで、音の強め具合やテンポの速め具合が行き過ぎず、絶妙な“節度”を保っている。
疵や走りがちな箇所もないではないが、基本的には流麗によどみなく音楽が流れる。
音色も水のように清澄で美しい。
14 ジョンファン・キム Jeonghwan KIM ドイツ 2000-
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第3番 ニ短調 op.30
ピアノはスタインウェイ。
何ともスマートで品のあるラフマニノフ。
先日のクライバーンコンクール(その記事はこちらなど)のYunchan LIMに匹敵する切れ味だが、LIMの絢爛なスタイルとは対照的。
終楽章の第1主題の同音連打など、ハイスピードのあまり不明瞭になるYunchan LIMとは異なり、しっかり細やかに鳴らしている。
同第2主題も、ここぞとばかりにぐっと加速するYunchan LIMとは異なり、品よくテンポを保っている。
個人的には、こちらのスタイルのほうが好み(インパクトはYunchan LIMのほうが上だが)。
22 ルゥォ・ジャチン LUO Jiaqing 中国 1999-
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 op.16
ピアノはカワイ。
目立ったミスもなく、しっかり弾けている。
この難曲をここまで弾けたら大したもの。
ただ、第1日のモーツァルトもそうだったが、割と淡々としていて、ぐっとくる演奏かといわれるとそうではない印象。
このあたりは好みの問題かもしれないが。
そんなわけで、ファイナル第1、2日の6人の演奏を気に入った順に並べると
1. 06 ジョージ・ハリオノ George HARLIONO イギリス 2001-
2. 14 ジョンファン・キム Jeonghwan KIM ドイツ 2000-
3. 16 キム・ソンヒョン KIM Songhyeon 韓国 2002-
4. 01 ヨナス・アウミラー Jonas AUMILLER ドイツ 1998-
5. 22 ルゥォ・ジャチン LUO Jiaqing 中国 1999-
6. 29 太田 糸音 OTA Shion 日本 2000-
といったところか。
皆うまいので、これがどう並べ替えられてもおかしくはない。
そんな中、ジョージ・ハリオノとジョンファン・キムあたりは優勝に近いところにいるような気がするが、どうだろうか。
次回(6月25日)はファイナルの第3日。
ファイナルの最終日である。
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