アメリカのフォートワースで開催された、第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)が、終わった。
これまで、ネット配信を聴いて(こちらのサイト)、感想を書いてきた。
とりわけ印象深かったピアニストについて、改めて備忘録的に記載しておきたい。
ちなみに、第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。
(第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール 予備予選出場者発表)
(第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール 予備予選通過者発表)
Anna GENIUSHENE, Russia, 31
(1次)(2次)(セミファイナル1/2)(ファイナル1/2)
今大会の第2位。
若手が多い中、円熟した音楽性で際立っていた。
彼女はこれまでに様々なコンクールに挑戦するも、なかなか良い結果が出なかったため(上位入賞は5年前のブゾーニコンクール第3位以来かも)、今回の第2位入賞は喜ばしい。
Masaya KAMEI, Japan, 20
セミファイナルで選出されなかった人から一人選ぶなら彼か。
ヴィルトゥオーゾタイプながら丁寧な音楽性を持つ。
もしファイナルに進んで得意のサン=サーンスを弾いていたら、2位か3位くらいにはなっていたかも。
Clayton STEPHENSON, United States, 23
(1次)(2次)(セミファイナル1/2)(ファイナル1/2)
今大会のファイナリスト。
勢いのよいピアニスト。
明るさと力強さ、そして指回りの良さが特徴。
Uladzislau KHANDOHI, Belarus, 20
(1次)(2次)(セミファイナル1/2)(ファイナル1/2)
今大会のファイナリスト。
勢いのよいピアニスト。
スラヴ風のしっとりした情感、そして指回りの良さが特徴。
Dmytro CHONI, Ukraine, 28
(1次)(2次)(セミファイナル1/2)(ファイナル1/2)
今大会の第3位。
技巧面はやや弱いが、スラヴ風の情感と落ち着いた音楽を持つ。
Ilya SHMUKLER, Russia, 27
(1次)(2次)(セミファイナル1/2)(ファイナル1/2)
今大会のファイナリスト。
技巧面はやや弱いが、スラヴ風の情感と一本気の音楽を持つ。
Yunchan LIM, South Korea, 18
(1次)(2次)(セミファイナル1/2)(ファイナル1/2)
今大会の優勝者。
また、私の中での個人的な今大会のMVP。
情熱的なヴィルトゥオーゾ。
韓国のピアニズムの特徴として、さらりとしたべたつかないロマン性、クールでスマートな音楽性、そして激しい情熱、以上の三つが挙げられると私は勝手に考えているのだが、彼はこのうち最後の“情熱”の要素にかなりのウェイトを置いたピアニストである。
烈しい音楽を追求する分、細部への配慮にはやや乏しく、個人的には、EunSeong Kimのように情熱的でありながら細部も洗練された演奏のほうが好みではある(そういえば最近コンクール等で彼を見かけないがどうしているだろうか)。
それでも、優れた技巧や明瞭なタッチは相当なもので、特に協奏曲においてオーケストラに気兼ねなく暴れて音楽を引っ張り、聴き手を熱狂させることのできる人である。
以上のようなピアニストが、印象に残った。
他にも、Elizaveta KLIUCHEREVA、Tianxu AN、Yangrui CAI、Albert CANO SMIT、吉見友貴、Xiaolu ZANG、Francesco GRANATA、Yutong SUN、田所マルセル、Federico GAD CREMA、Honggi KIM、Kate LIU、Jinhyung PARK、Changyong SHINと実力者たちがたくさんいた。
今回のファイナリストが、この豪華メンバーの中にあってとりわけ優れているとは思わなかったけれど、それでもYunchan LIMは、ファイナリストが誰であってもおそらく優勝しただろう。
彼は、“クライバーンの再来”ともいえるような(誉め言葉としては微妙な表現かもしれないが)、このコンクールの優勝者として文句ないピアニストだと思う。
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