第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール ファイナル 第3日 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

アメリカのフォートワースで開催されている、第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。

6月17日は、ファイナルの第3日。

ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。

ちなみに、第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。

 

第15回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールが終わって

第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール 予備予選出場者発表

第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール 予備予選通過者発表

1次予選 第1~3日

2次予選 第1~2日

セミファイナル 第1日

セミファイナル 第2日

セミファイナル 第3日

セミファイナル 第4日

セミファイナル 第5日

ファイナル 第1日

ファイナル 第2日

 

 

 

 

 

以下、使用されたピアノはスタインウェイである。

また、以下の協奏曲はマリン・オールソップ指揮、フォートワース交響楽団との共演である。

 

 

 

 

 

Clayton STEPHENSON, United States, 23

 

RACHMANINOV Piano Concerto No. 3 in D Minor, op. 30

 

彼の強力な打鍵はオーケストラに埋もれることなく、存在感がある。

テクニックも相当なもの(ミスは多少あるが)。

ただ、彼の強奏は常にめいっぱい強く、ふっと力を抜いてからガッと力を入れるといったようなニュアンス付けがあまりないため(弱奏部は表情豊かだが)、悲劇的というよりはむしろ陽気に聴こえる(悪い言い方をすると、どんちゃん騒ぎ的な)。

また、オーケストラと大きくずれてしまう箇所がところどころある。

 

 

Ilya SHMUKLER, Russia, 27

 

GRIEG Piano Concerto in A Minor, op. 16

 

第1日のラフマニノフに比べしっかり弾けている。

ただ、細かいパッセージは滑らかとは言い難いか。

また、強音の響きが硬めというか、プロコフィエフのように荒々しい鳴らし方であり、もっと北欧らしい柔らかな響きが欲しい。

 

 

Yunchan LIM, South Korea, 18

 

RACHMANINOV Piano Concerto No. 3 in D Minor, op. 30

 

情熱的で若々しい、火の玉のような演奏。

ヴィルトゥオーゾらしい盛り上げ方が協奏曲にぴったり。

第1日のベートーヴェンでは少しどうかとも思った、急激なアクセルの踏み離しやどぎつい音の強調も、この曲ではしっくりくる。

技巧面も相変わらず確かで、激しく煽るような箇所でもタッチはあくまで明瞭さを保っている(終楽章第1主題の同音連打部分だけは不明瞭でいただけないが)。

終楽章展開部終盤のパッセージなど、これまでに聴いた最速テンポで突風のようだが、それでいてごまかしなくくっきりして聴き物。

けっこうラプソディックな演奏なのに、先ほどのClayton STEPHENSONとは違って、オーケストラとずれそうでずれないのもさすが。

これでさらにロシアン・ピアニズムの深々とした音色があれば、というのは贅沢な望みだろう。

 

 

 

 

 

そんなわけで、ファイナル第1~3日の6人の演奏を気に入った順に並べると

 

1.  Yunchan LIM, South Korea, 18

2.  Anna GENIUSHENE, Russia, 31

3.  Clayton STEPHENSON, United States, 23

4.  Uladzislau KHANDOHI, Belarus, 20

5.  Dmytro CHONI, Ukraine, 28

6.  Ilya SHMUKLER, Russia, 27

 

といったところか。

Yunchan LIMの優勝の可能性はかなり高いのではないだろうか。

 

 

次回(6月18日)はファイナルの第4日。

ファイナルの最終日である。

 

 


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