『Give and Go』で橋本愛の手話演技を観た | 徒然逍遥 ~電子版~

徒然逍遥 ~電子版~

「行政書士ができる往年の映画ファン」のブログ
映画・洋酒・カクテル・温泉・書籍 etc
Myニュースレター【CINEMANIA通信】と重複記事あり

こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
訪問ありがとうございます。

 

現在、外国人女優の中で一番好きな人物は誰か?と尋ねられたらどう答えよう。
存命中の女優なら断然マギー・スミスであり、ヴァネッサ・レッドグレイヴであり、メリル・ストリープだ。
鬼籍に入っている人ならオードリー・ヘップバーンエリザベス・テイラーである。
かように、時よ止まれ君は美しい。といういかにもオールドファン的傾向で分かりやすい。


目を転じて邦画界ではどうか。
洋画育ちの自分にはこれといった贔屓筋が存在しないのが実情。M・スミスやA・ヘップバーンに匹敵する女優さんは不在である。
だが、以前から動向を気にしている若手女優は確かにいる。
橋本愛はその一人。


『GIVE & GO』 (‘09) 69分
梗概
怪我のためプロバスケットボールチームから離脱し、故郷の香川県で退屈な日々を送っている青年ケニー。そんなある日、聴覚障害者の夏希(橋本愛)と出会う。彼女もハンディを背負いつつバスケットボールに打ち込んでいた。だが、今のチームに馴染めずに鬱屈。そこで彼は新チーム結成を提案。シロート寄せ集めのポンコツチームだが、ケニーの指導の下練習を積み、遂に夏希が所属していた元チームとの対戦にこぎつける。

ここ関東地方もようやく梅雨が明けサマーシーズン到来。本作も夏真っ盛りの時節。

初鑑賞は6、7年前の3月だったが、劇中は今頃の季節が舞台となる。


で、主役の橋本はというと、現今の橋本本人とはまるで別人である。
何しろ10年余り前の作品で、橋本もまだ13歳かそこらの少女だ。実に初々しいではないか。顔の輪郭もほっそりしており体つきも少年のような態。
とは言えあの目力は既に完成されていたことが確認できよう。


本作中における彼女が割り当てられたキャラは聴覚障害者である。初出演かつ初主演の映画でいきなりの難役。全編通して手話を駆使しての会話に徹する。一言も発しないのである。


ところがどうして堂々たる手話を用いての主演を見事に演じきったではないか。これには驚きを禁じ得なかった。もう感動モノである。


我々は、聴覚が不自由な生徒が健常者と机を並べての授業というのが如何に困難を極めるか、その一端を垣間見る。ましてやチームスポーツなど何をか言わんやである。
ただでさえ男子に交じって女子がバスケに打ち込むなど既にハンディキャップがあるだろう。そこへさして聴覚障害とは。


だが、ドラマはヒロインのハンディに過剰に重きを置くことなく、積極的な描き方がなされていて前向きである。


 

メンツに目を向けてみると、コーチ役が黒人と日本人のハーフ青年。

リーダーが聴覚障害の橋本。

肥満児体形、極小サイズのメガネ、インテリ男児。

唯一まともな経験者の男子。

手話通訳も兼ねるマネージャー兼控えのシロート女子。

・・・ポンコツ揃いもいいとこである。


そんな寄せ集めチームが県下でも有数の強豪チームと対戦。旗色悪いのは理の当然。勝算はありやなしや?てな具合で物語はさくさく進行。
ヒロインが離脱した元チームとの対戦がクライマックスをなすが、まずは寄せ集め選手たちとの邂逅が楽しいではないか。


あの『荒野の七人』(60)に代表される個性豊かなはみ出し者たちを束ねたチーム。これはもうド定番のフォーマット。『特攻大作戦』(67)『ロンゲストヤード』(74)『がんばれ!ベアーズ』(76)『リプレイスメント』(00)『スーサイド・スクワッド』(16)など枚挙に暇がない。

本作のメンバーは『ベアーズ』同様凄腕揃いとは言い難く前途多難な船出。
しかし、1時間ちょっとの尺でコンパクトにまとめてクライマックスの対決へと淀みなく導かれる。
よってドラマの掘り下げ方はイマイチだが、ケニーと夏希を始めとして各選手たちの成長譚としてリラックスして観ることができるだろう。


問題の試合の結末はというと、そこはまあ言わぬがよろしいかと存じます。


 

ところで、冒頭言及した通り個人的に橋本愛は『桐島、部活やめるってよ』(12)や朝ドラ『あまちゃん』以降気になる存在。本来的にこの手のタイプは苦手なはずなんだが、何故だろう。

 *『あまちゃん』ダークサイド・ユイ*
試しに、彼女の出演作を何本観たか数えたら25作品に上った。驚きの事実だ。これはもうサユリストならぬアイリストか?


それはさておき、十八歳で「キネマ旬報」からフランソワ・トリュフォー監督に関してインタビューされるなど、映画愛に溢るる女優というのは実に頼もしい存在と思える。

 *2014年10月下旬号 34~37頁*
今ではすっかり成長して大人になり、顔の輪郭も変わり果て、頬骨は目立ち、顎もがっしりとごつくなってはいるが、あの目力は健在。魂を射抜く妖しい物の怪ビームを発しているかのようである。今後の活躍にも期待する。

 *TVドラマ『同期のサクラ』*

 

ところで、劇中では手話が用いられるため健常者用に字幕が用意されている。ケニー役の青年やマネージャー役の女子も手話を駆使して橋本とコミュニケーションを図る。他のポンコツたちも頑張って手話を披露。


若年でも役者をやるからにはそれなりの役作りを要するんだな、と感心した次第。


本日も最後までお読み下さりありがとうございました。

 

橋本愛関連記事

橋本愛のNHK・BSドラマを観て思ふこと

旬な「橋本」って誰?参加中

NHK渾身のドラマ『あまちゃん』再考

震災前後で観方も変わる『うつくしいひと』

疾風怒濤のゾンビの叛乱『桐島、部活やめるってよ』

『管制塔』で山﨑賢人と橋本愛を観た

ご当地映画の変化球『PARKS パークス』

NHK大河ドラマ『西郷どん』で橋本愛を観た

三島由紀夫の『美しい星』って読んだことあるかい

震災前後で観方も変わる『うつくしいひと』(再掲・追記)

TVドラマ『同期のサクラ』第一話の橋本愛を観た

TVドラマ『同期のサクラ』第三話の橋本愛と高畑充希を観た

TVドラマ『同期のサクラ』第五話の新田真剣佑を観た

TVドラマ『同期のサクラ』第八話を観て仰天した

TVドラマ『同期のサクラ』の若手俳優たちを観た

『Give and Go』で橋本愛の手話演技を観た

TVドラマ『35歳の少女』で柴咲コウ、鈴木保奈美、橋本愛を観た

TVドラマ『あのコの夢を見たんです。』の池田エライザ、橋本愛を観た