震災前後で観方も変わる『うつくしいひと』 | 徒然逍遥 ~電子版~

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こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
訪問ありがとうございます。

 

 

本作は「菊池映画祭2016」で上映され、この3/21~4/22迄「くまもと映画製作実行委員会」公式サイトで無料配信されていたショートフィルムです。


スタッフ、キャスト共にまるで“熊本県人会”の様相。
それもそのはず、熊本県も製作協力したいわば“熊本御当地映画”とでもいうべきコンセプトの下に撮られたフィルムなんですね。これ。


監督:行定勲(熊本市)
出演:橋本愛(熊本市)、高良健吾(熊本市)、姜尚中(熊本市)、石田えり(八代市)、くまモン(熊本県)


『うつくしいひと』 (‘16) 39分
梗概
ある日、橋本愛の耳に母親・石田えりの身辺をうろつく黒づくめの怪しい男が出没との情報が入る。不安を感じた橋本は、旧知の私立探偵・高良健吾に身辺警護を依頼。彼は同時に特命を帯びたビッグな案件も抱えているらしい。が、橋本のたっての頼みに応じる。
で、すぐに件の怪しい男を発見!同時に偶然にもマル秘の案件を解決!だが、その間に男と橋本が連れだって行方をくらます。二人は熊本城菊池渓谷阿蘇の草千里などを訪れていた。道々、男の過去が語られて、石田との関係も明らかになっていく…。

 

            *姜尚中先生現る!橋本愛と邂逅す*

         *私立探偵・高良健吾、どぎゃんしたとですか?*         

              *『ハードナッツ!』以来の共演*


もしも、熊本県観光PR映画として期待するとちょっと拍子抜けすることでせう。何故か?
その要因は観光案内的要素の欠落にあります。
所謂名所旧跡が、常に物語の前面ではなく背景に収まっているからです。
つまり、名所案内を兼ねて物語が進行するのではなく、名所は物語の進行に伴ってその背景に徹しているんですね。


ベタな観光案内であれば、例へば熊本城の全景を空撮するなどしてからショットを切り替えて人物描写へと移行します。しかし、本作では人物がいきなり城の石段を登り城壁の間を歩きます。なんとなく、お城?みたいな印象のみ。
菊池渓谷も全景描写がないので、どこだかよく分からずただの清流にしか見えません。


このように観光地が主役ではなく副次的要素として画面に映り込むのみです。
ですから、ぼんやり観ているとどこに案内されたのか分かりません。
これでは県の観光PRには物足りない映像作品のような気がします。


しかし、あの熊本地震後では事情が違ってくるはず。
先般、東京にてチャリティ上映会が催されました。今後も各地で募金活動と同時に上映される機会が増えると思います。本作の力量が発揮されることを期待します。
崩落した熊本城の在りし日の、しかも直近の映像がここにあるのですから。
凡庸な観光案内ではない“熊本御当地ドラマ”を大勢の人が目にすることにより震災復興の後押しができれば、製作に関わった皆さんも作った甲斐ありと言へるでせう。


ひとつ言い添えておくと、劇中で石田と橋本の母娘が黒白の8mmフィルムを観る場面がありまして、そこに登場した通潤橋から水が噴き出すシーンは素晴らしく印象的でした。
“うつくしいくまもと”の映像をじっくりと堪能してください。


では、今回も最後まで目を通して下さりありがとうございました。

 

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