こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
訪問ありがとうございます。
前世紀のことだが、群馬県が主体となって映画製作したことがあった。『眠る男』(’96)である。
小栗康平監督だ。いわばご当地映画の本格派みたいな作品だった。韓国映画界の国民俳優・安聖基。インドネシアからクリスティン・ハキム。本邦では役所幸司らを結集した。観光案内要素はほぼゼロだった。
つい最近では熊本県が参加して『うつくしいひと』(’16)を手掛けた。行定勲監督である。
こちらもクマもんを筆頭に(?)、高良健吾、橋本愛らスター揃いだった。名所旧跡をしっかり映し込むも凡なる観光案内とは一線を画していた。
(震災前後で観方も変わる『うつくしいひと』:参照)
本作も異色のご当地映画と言へようか。
『PARKS パークス』 (‘17) 118分
梗概
吉祥寺・井の頭公園近隣のアパートに住まう大学生の純(橋本愛)は卒業が危ぶまれる身。そこへハル(永野芽郁)が押し掛けて来た。亡き父親に関する小説を執筆しようとしたところ遺品から、60年代にこの部屋に住んでいた佐知子からの書簡が出てきた、と言ふ。
二人が近在に住む彼女を訪問するとつい最近亡くなっていた。孫のトキオ(染谷将太)も遺品からオープンリールテープに録音されている未完成のオリヂナル曲を発見。彼ら三人は未完の曲を完成させ、地元の「吉祥寺グッド・ミュージック・フェスティバル」(「キチフェス」)に出場することになる。
しかし、フェスの当日アクシデントが発生し…。
橋本愛が生ギター抱えて歌と演奏を披露。染谷将太は玄人はだしのラップを歌唱。『寄生獣』コンビがバンド活動に参集した。
何度も言ふようだけど、役者ってホント凄いね。芝居をしたうえ場合によっては歌、踊り、楽器演奏、スポーツ、殺陣、囲碁将棋、絵画・漫画、習字、調理、乗り物運転操作などなどをこなしてそれらしく見せなきゃなんないし。
いや、実際染谷はいい声しているし上手くリズムに乗ってるしでプロっぽさ全開だ。これは一見の価値あり。
橋本は『管制塔』(’11)以来の生ギターか。『あまちゃん』やCMで歌を披露してはいるが正直上手くはないよね。でも演じるからには頑張らねば。と危惧しつつ見守ると意外や上手くなっている。一安心。
ちなみに自分は橋本愛の支持者である。映画を主戦場とする姿勢が嬉しい。同時に彼女自身が映画愛に溢れているのも好感大。「キネマ旬報」に寄稿する二十歳ちょっとの女優はそうはいまい。
風変わりな出演作(『シェルコレクター』、『美しい星』等)やダメな作品(『アバター』『渇き。』等)も見受けられるが、それらもまたひっくるめて映画女優ならではだ。
本作で久々に迫力ある目力に出会い戦慄した。いや、ホラー映画じゃないのにそんなにぐんぐん迫られたら恐怖で半泣き失禁だろう。永野、よく耐えたな。
次期NHK朝の連続小説『半分、青い。』のヒロイン永野芽郁が頑張った。
一昨年、深夜枠の連続TVドラマ『こえ恋』で主役を演じて以来着実にステップアップしている様子が窺える。このところ随分と売れっ子状態に。だが、それに見合った働きは十分していると思う。
本作でも凄みのある橋本愛を相手に存在感を失わない。染谷将太と三人組になっても然り。やっぱり俳優って現場をこなして成長するものなんだね。
ほんわかした愛嬌ある親しみやすい顔立ちで、かつ快活な女子といった雰囲気は朝ドラヒロインにぴったりだ。
それと、永野の若き日の父親のお相手役が石橋静河。一昨年、ポカリスエットのCMで橋本の姉役で共演していた。
映画『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(‘17)の主役を演じ、数々の女優賞を受賞。第32回高崎映画祭でも最優秀新人女優賞に輝く。
(『映画 夜空はいつも最高密度の青色だ』で石橋静河と池松壮亮を観た:参照)
永野ともども旬な女優である。
ところで、撮影は恐らくは全編ロケじゃないかな。吉祥寺・井の頭公園内とその近隣を中心に。
ただし公園に行ったことある人は別として、この映像のみでは公園内外の地理的関係がよく分からないだろう。鑑賞には別条無いが。
幸いにも自分は二回ほど公園と商店街に足を運んだことがあったので、大まかなロケーションは思い浮かべる事が出来てなかなかに楽しめた。
映画自体は好感の持てる真面目な作品である。吉祥寺といふ街や井の頭公園のロケは好い感じだし、俳優陣も達者なので何かの折りに観るといいだろう。
相対性理論の「弁天様はスピリチュア」が耳に心地よい。
本日も最後までお読み下さりありがとうございました。
橋本愛関連過去記事
●TVドラマ『35歳の少女』で柴咲コウ、鈴木保奈美、橋本愛を観た
●TVドラマ『あのコの夢を見たんです。』の池田エライザ、橋本愛を観た