こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
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すっかり思い出話に成り下がってしまった感あるが昨年末のNHK紅白歌合戦はあからさまな『あまちゃん』祭りだった。
北三陸の関係者ほぼ全員が登場したうえ潮騒のメモリーズ→天野春子→鈴鹿ひろ美というフルメンバーによる歌唱はお得感マックス。
審査員にも関係者二名(宮本信子と宮藤官九郎)を配するなど異例の措置。
これら全ては視聴率を狙う魂胆が見え隠れするもののNHK渾身の一大プロジェクトの総仕上げとみなせるだろう。
そう、基本的コンセプトは「東北の震災復興支援」。
これが作品と紅白を含むイベントの正中線を貫いている。ということから朝の連ドラとしては格別の力こぶ入りまくりの作品であることの意味が理解できよう。
なので劇中に震災発生エピソードを挿入することも当然の帰結。かくして共感を呼びやすい土台を据えることに成功した。
二人の少女の物語も単なる成功と挫折と再生の物語ではない。
能年玲奈演じるアキは第一志望校を中途退学してやり直す決意をするような位置づけだ。
橋本愛扮するユイに至ってはアクシデントとトラブル続きで第一志望校をあきらめやっと入った第二志望校で頑張るといった位置づけだし。
つまり過去の連ドラの如き所期の目的を達成する成功ではない。いわば“セカンドサクセスストーリー”あるひは “第二の人生”すなはち「再生」とも言うべき方向を指し示している。
ここに近年注目されている御当地アイドルの要素を導入しローカル色を押し出して地方再生を重ねあわせている。ここは当然コンセプトの震災復興とリンクしてくる。
そんなこんなでキーワードは「再生」。
北鉄にしろ二人の少女にしろ彼女らを取り巻く関係者にしろ当てはまる「再生」。
そして何よりも現実世界の被災地域と被災した方々への「再生」を願う一大事業となったのだ。
しこうして「東北の震災復興支援」コンセプトが成立した。
その〆が紅白歌合戦だったのだ。
しかし東北楽天イーグルス優勝とともに精神的支援強化としての効果は絶大だったかもしれないが実質的復興促進効果という面ではどれほどの成果が見られたかは分からない。
全国を巻き込んでの一過性の気分や雰囲気だけのお祭りで終わってはまずいだろう。今後の復興実現の経過に注目だ。
さて、その力の入り具合は脚本家選びからして明確だった。かつてのジェームス三木や橋田壽賀子のようにネームヴァリュー抜群の旬な人選だ。
そして俳優陣がハンパない豪華ラインナップ。とにかく脇役がスゴイ。
まさか薬師丸ひろ子が朝から登場するとは30年前では予想もつかなかったし。
小泉今日子が歌手役というのもどうだろう(笑)紅白の時は音を外さないかとはらはらしたぞ。
宮本信子、蟹江敬三、平泉成、塩見省三、吹越満、渡辺えり、尾美としのりらは手堅い配役。
ピエール瀧、松尾スズキ、でんでん、片桐はいりなどアクの強い人選も見られるし。
ビッグネームなら松田龍平には吃驚だ。朝から松田って…贅沢だろう。
そして古田新太。さすが舞台役者だけあってコミカルでもシリアスでも任せんかい。といった便利な個性派俳優を持って来たところが実にいい。
杉本哲太もすっかりとんがったイメージも薄れていい役者になった。やはり喜劇も重厚なドラマもできる幅広い演技に安定感あり。
あと荒川良々。映画『ロボコン』やNHK大河ドラマ『義経』では坊主頭で不気味な存在感を放っていた。しかし一転して映画『大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇』では相変わらずの坊主頭だが紳士的で気のいいキャラで登場。コミカルに演じ器用なところを見せた。
ああそう、可愛い小池徹平もいたね。WATでウェンツと紅白出場経験もあるので二人そろっての共演でも良かったかと思うが。
さて、ヒロインの能年玲奈はどうか。親しみやすいキャラで起用成功と言へるだろう。
ミス北鉄役の橋本愛との「潮騒のメモリーズ」はより大成功。素人感丸出しの二人の歌唱はゆらゆらと不安定で手に汗握るスリルがある。
そして頑張れ、と応援したくなる心理が絶大に喚起される。アイドルの追っかけみたいに。
ちなみにロングヘアの彼女は印象ががらりと変わってこれもいい感じだ。ショートヘアの彼女よりも大人びて見える。
*でもやっぱりあまちゃんだ*
しかし橋本愛が全国区に知られるようになったのが一番の収穫だ。あの目力には参ってしまう。ヤンキー時代の三白眼でにらまれたらKO間違いない。いや。笑顔もいいぞ。
紅白ではライヴを観られたのが嬉しかった。能年との息も合いあくまでも素人っぽい衣装と振付けは御当地アイドルにぴったりの風情だ。
丸い能年○と角の橋本△。柔と剛みたいな印象の二人だったな。
ちなみに『潮騒のメモリー』のイントロで「来てよその火を飛び越えて」とは川端康成の『潮騒』でヒロインが叫ぶセリフであることはすぐに気付いた。
が、「日」つまり震災の「日」にも通じるとの指摘もあり成程と感じ入った。
がが、さっき変換してたら「被」という字もあった。うん。やはりダブルミーニングに違いないと確信した次第。
実はこのイントロ部を聴くと涙してしまう自分が不思議だ。
本日も最後までお読み下さりありがとうございました。
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