1人制審判か3人制審判か | 日本で活動中のサッカー監督のブログ

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バルセロナで修行してきましたが、2017年より日本で活動しております。

ツイッターの方で少し質問をいただいたので
回答をします。

質問:一人制審判がバルセロナで
    機能していない場面を教えてください?

僕の回答
まずどんなに審判技術が優れていても
3人制よりも見えない角度が必ず発生します。
3人制であれば副審と主審が選手を挟むように
して見るので、一人制ほど死角はできません。
起こっている状況に対して正しい判断が
できないことが必然的に増えます。
また審判も人間なので感情的になることも
ありますが副審が主審をなだめることも可能です。
しかし主審一人だと誰も止める人がおらず
メチャクチャな判定が連発されることになります。
実際、パンチングでボールをクリアしているのに
審判が相手選手をボールと関係ないところで
殴ったと判断され、一ヶ月間出場停止処分を受けたGK。
相手チームとの乱闘になったときに、熱くなって
走りまわって殴りかかってきた相手選手を
体をはって止めた自チームのキャプテンの方が
退場し、一ヶ月間出場停止。
二日酔いで試合に遅刻。判定もメチャクチャだった
審判に自チームのキャプテンが我慢できず
殴りかかってしまい、1ヶ月間の出場停止。
審判の判定に怒った両親を発端として両チームの
両親がスタンドで殴り合い。試合時間を残して試合中止。
などなど枚挙に暇がありません。
上層にあるリーグでは良い質の審判もいますが
下層にあるリーグではそれないりの質の審判しかいないので
仕方ないのかもしれません。世の中は理不尽である
という教育にはよいとは思いますが。
またオフサイドの判定が基本的に信頼できないので
細かいラインコントロールで戦術的に相手攻撃を
防ぐという手段がとれない。
常に空中戦と競り合いに強いDFがいるところが
有利になり、身体能力で劣るチームが戦術的に
勝利できないということも残念ですね。
日本ではそれを武器にして勝ってきたチームを
コーチしてもいたので。

何より審判の死角が多いので選手側が審判の
目を出し抜く行為がバルセロナでは横行しています。
監督の中には「良い選手は相手選手を騙し
審判も騙せる選手のことだ」と公然と選手の前でいう
人もいます。
例えばファールのあと、交替の指示を審判が
出している隙を狙って、倒れている選手を蹴り飛ばし
倒れた選手が怒って、蹴った選手を殴って
相手の方が退場になったとか。
スペインの国民性もありますが、何よりゲームの監視が
及ばないところにも大きな問題があると感じています。

ちなみにユース以外はよくわかりませんが、ユースの
最上位リーグではさすがに3人制審判になっています。

【質問2】
日本で小学生年代で3人制審判を
堅持しすぎると審判不足にならないか?

【回答】
協会から派遣するにせよ、クラブ側の
人的負担にするにせよ、常に審判不足が
起きるのは仕方のないことだと思います。
クラブ側が選手の育成のみならず
審判の育成に一定の責任を背負うのは
制度としては健康的と思います。
逆に協会だけで審判を確保するのは
今の日本サッカーでは無理がありすぎると思うし
お金が余計にかかることになると思います。

日本の少年年代で判定に対する監督の
野次が少ないのは国民性ももちろんありますが
審判に対するリスペクト、あるいは審判を
侮辱したときに、其の次の試合でそれ以上の
審判としてのパフォーマンスを自分が
見せなければならないという責任を
常にもつからです。

バルセロナでは主審に対するリスペクトは日本より
なく、憎しみや罵倒の対象でしかありません。
そういう現状をみると日本の制度の方が
何倍もいいように思います。