♀×♀映画特集をやろうとして自分がパッと思いつく以外にもなんかあったかなー、とネットでその手の映画をググッたら、知らない映画ばっかというかそそられる映画が1本もない! ってか洋画ばっか。どういうこったよ!? 世間(?)がピックアップする♀×♀映画ラインナップに納得いかない。知ってるやつでも『バウンド』とか『アトミックブロンド』とか、♀×♀的な意味ではそそられないんだよな…。
俺がそそられる♀×♀映画ってのはこういうのなんだよ。
『1999年の夏休み』
俺が百合萌えになった原点か源流近くにある作品。
夏休みに入った学校。皆 帰省してしまい、寮に残ったのは和彦、直人、則夫の3人のみ。
そこへ2学期からの転入生だと言う、かつて自殺?した悠に瓜二つの薫が現れ、4人だけの夏休みが始まる。
悠は和彦が好きだったがノーマルな和彦は悠を拒絶したのだった。悠の死後気落ちしてる和彦に寄り添う直人は実は和彦が好き。
下級生の則夫は皆に構ってほしいが性的にはノーマルで、物語上は傍観者視点として機能してると思われる。
悠は大人しいコだったが、外見はそっくりでありながら薫の方は物怖じしない少年でありタイプとしては真逆である。
…って♂×♂じゃねーかよ!と思うだろ。違うんだよ。演じてるのが全員女子なんだよ! 特に直人=中野みゆきと 和彦=大寶智子がカッコイイ! ホレた。もうウットリ^^
外見がすごくいいのだが、声がまるで女のコなので直人は村田博美、和彦は佐々木望と声優が声をアテていて、この2人がまたマッチベター。特に本作では中性的な声で演じる村田が萌える! 村田の声が実装された男子役の中野みゆき最強(笑)。
中野みゆきと大寶智子のキスシーンが生々しいのがまた たまんないんだコレが♪ (あと大寶智子と薫/悠=宮島依里のキスシーンもある)
本作は加えて自然の中にある洋館のような学校&寮、夏の日差し、夜の静謐さ、綺麗な映像、SF的ガジェットで時代設定不明(「1999年」というのは近未来のことであり現実の1999年ではない)、薫/悠を巡るサスペンス(?)、生活感や生々しさを排した演出&映像(キスシーン除く)で異彩も放ってるが透明感溢れる爽やかさにも満ちており、1988年製作だが独特な魅力がいまだに観る者を惹きつけてやまないファンタジー映画。
『櫻の園』(90年版)
とある女子高の毎年恒例、創立記念日の演劇部による舞台劇『桜の園』。事件勃発して上演か中止かで揺れる当日朝の約2時間が描かれる映画。
演劇部が舞台なんで出演者の8~9割が女子だが、出番が多いのはジャケットに写るこの4人。
そのうち百合萌えなのは3人。しっかり者の部長・志水、前年男役で人気者になったが(ファンの後輩女子生徒多し) 今年はヒロイン役で自信なくてヘコみまくってる主役・倉田、本番前日に補導されて上演を窮地に陥れることになる不良っぽい部員・杉山。
志水と倉田は内心互いを好いていて実は相思相愛。この2人もいいんだけど(特に志水が倉田の衣装の胸の部分を縫ってあげて倉田の胸に顔を近づけて糸を噛み切る場面は萌える)、
さらに激萌えなのは部長の志水と不良な杉山の急接近なんだよ。立場も人間的なタイプもかけ離れてて基本関わりがなかったが、志水が“目覚め”て上演当日に校則ブッちぎってパーマかけてきたことから杉山共々教師に目をつけられ、同志のようになってく。この相容れなさそうな2人の友情の始まりもすごくいいんだけど、
実は杉山は前々から志水部長のことが好きだった…! ってのがまた たまんねーんだよ!(笑)
あと杉山が志水にパーマのこと聞くところがイイ。「倉田さん、なんて言ってました?」 「え…どうして?」 「だって倉田さんに見てほしかったんじゃないかなって思って…志水さん、倉田さんのこと好きなんでしょ?」 動揺する志水部長… キュン死しそう(笑)
本作の季節は春。女子と桜の取り合わせも良い。
『女校怪談』シリーズ
韓国映画。物語や出演者に繋がりはまったくないが、“女子高” “怪談” “女子同士の愛憎”という要素を共通項とするシリーズ。
俺的に1作目『女校怪談』(ビデオリリース時タイトル『囁く廊下』)、2作目『少女たちの遺言』、4作目『ヴォイス』が好きで。
『女校怪談』はメイン女性5人が全員魅力的で、そんな彼女たちの絡みがもう最高♪
特に、元々は親友だったのに、あまり努力してなさそうで喫煙までしてるのにクラスで成績No.1のソヨンと、どんなに頑張っても成績No.2で、他に家庭の事情もあって心に哀しみ抱えてる暗い女子ジョンスク(不気味なとこもいいが低音ボイスがまたイイ!)が対峙する場面は萌えーっ! 『櫻の園』の志水と杉山もそうだけど、相容れなさそうなタイプの絡みは興奮する(笑)。
当たりのキツいジオと大人しいジェイが友達になってくのも萌える。
担任のウニョンと、ウニョンの高校時代の自殺した親友ジンジュ。ジオまたはウニョンとソヨンの絡み、ウニョンとジオの関わり、ウニョンとジェイ…なども萌える。
皆それぞれルックスが良いうえ性格が違う&キャラ立ちしてるから、関わり合いが観てて萌えるんだよなー。
『少女たちの遺言』は、美人だが変わり者のヒョシンと体育会系のシウンの愛情と決裂が完全に百合超え。レズカップルを丹念に描いている。美人と体育会系というギャップのカップリングもいいが、美人が体育会系をではなく体育会系が美人を振るのもくすぐるものがあるような?
ヒョシンとシウンの関係に惹かれるミナがシウンにアクセスしようとするあたりも百合・レズ好きの嗜好をくすぐる。
ミナ、ジウォン、ヨナンの3バカトリオ等々も観てて飽きない。
今回もメイン女子はみんな魅力的。
『女校怪談』は暗く寒々として硬質なホラーだったが(←そこがまたいい)、『~遺言』は一転して明るく爽やか かつ馬鹿ノリなところもいい映画。
『ヴォイス』も出演者が魅力的。凛としたソンミン、その親友でアイドルみたいにかわいいヨンオン、高校生なのに怪しいクールビューティーのチョア、三十路の熟れた魅力の女教師、その女教師とレズ友だった人の良さそうな女子生徒ヒョジョンが織りなす♀×♀模様。
ヨンオンとソンミンの親友ぶりもとてもいいのだが、ヨンオンの正体が怪しくなってきてから、異なるタイプで本来およそ関わらないだろうソンミンとチョアが急接近で真相究明に乗り出しハードボイルドっぽいバディになってく意外な転回が萌える!
それでいて、霊は想い続けていると成仏できないと聞いたソンミンがヨンオンをシカトし始めるのだが、ソンミンの中にヨンオンと親友だった頃がぶわっと甦ってくる場面はグッとくる(泣)。
『魔法少女まどか☆マギカ』
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編]始まりの物語』
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [後編]永遠の物語』
魔法少女たちの壮絶な友情と対立、生死のドラマ。従来の魔法少女モノというジャンルを破壊した凄まじい作品。男のアクション映画のような激燃え展開、かつ映画史上に残る空前の感動、奇跡のドラマティックストーリー!
百合萌え的には親友だったまどかとさやかの友情と決裂、まどか&さやかとマミの良い後輩・先輩関係、さやかと杏子の敵対関係、ほむらを敵視するさやか及びマミと 彼女らに対して冷淡にみえて実は知られざる思いを持っているほむら、さやかを見下してたのに気持ちが愛情に変わってゆく杏子、一見相容れないほむらと杏子の共同戦線、哀悼、ほむらのまどかへの愛情…など、錯綜する感情・人間関係が萌える。
大ヒット作品となり、ゆえに二次創作(同人誌など)もたくさん作られている。
本編が相当ギスギスしてた&死の匂いが濃厚だったせいか、二次創作ではそれぞれのキャラクターがラブラブで描かれることが多く、本編ではあと一歩で結ばれなかった杏子とさやかが仲良く描かれたり、他のキャラたちも対立してもシリアスではなく微笑ましいケンカで描かれ、楽しい作品が多い。本編ではあんなに対立してたあの人とあの人が一緒に遊んだりルームシェアしたりなどと本編にはなかったカップリングもすごい萌える。(二次創作作品まで紹介してると文字数がパねェので、そっちは新作『ワルプルギスの廻天』の公開前に改めて特集するつもりなんで)
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語』は二次創作の人気ぶりを踏まえたか、前・後編ではあり得なかった5人の仲間感全開!(喜) (いや前・後編の対立やすれ違いがまた良かったんだけどね)
やがて“これは何か違う…”と勘づきパラレルワールドなのか!? タイムリープ!? 偽造された世界!? 誰がリアルで誰が偽物!? と疑念が湧いた時、前作で相容れないのに共同戦線を張ったほむらと杏子がまるで前世でソウルメイトだったかの如くかつての相手との関係・想いに本能的に至るような場面は燃えるとも萌えるとも言い難いエモさ!
その人生模様から他人や現実を信用せず心を捨てて冷酷に生きてきたそれぞれ策士2人であり、利害の一致から組んだだけで信頼関係はないドライな“ビジネスパートナー”に過ぎなかったのに、杏子が最期を迎える直前のわずか数分間、2人とも素で心が通じ合う。そして杏子の死後、ほむらは杏子の死を悼んでくれた。(→改変後の世界では友人となった。)
…一転ガラリ変わった世界観と疑心暗鬼の本作。かつての事は憶えていない。しかし記憶は忘れていても魂が覚えているのがグッとくるんだよ!
前作で敵対しっぱなしだった、というか始終ほむらを敵視してたさやかだが、最後にほむらの正体と想いを知ったわけで、今回はほむらを温かく見守りクライマックスでは加勢するのもまた萌える♪
『叛逆』後~現在までもまどマギは同人誌が作られ続けている。まどマギは本編だけでも燃える&萌えるWモエ作品なんだけど、二次創作によって作品世界がさらに拡がっていて、本編も二次創作も楽しんでこそ極上の百合萌えが堪能できる。
『みちていく』
宣材にでっかく写ってる高校の陸上部エース・梅本が主役扱いのようだが、実際は陸上部部長・新田が主役といっていい。一見印象良くない。厳しくて感じ悪い部長。しかし部長をキチンと務めようとするがゆえであって、実際の本人の心の中には部長の孤独感や、選手としては梅本に対する劣等感のようなものがある。
しかしひょんなことから梅本が新田の自宅を訪れる。新田部長のプライベート空間に入る・私生活を見る。梅本は誰にも言ってない性癖を告白し心の不安定さを晒し、新田も本心を晒して、エースと仏頂面の部長の距離が詰まってゆくところがいい。翌朝通学路で自転車の新田が徒歩の梅本を一度は追い越した後、振り返って「…乗ってく?」は萌えッ!(笑)
2人は友達になってゆく。プライベートでお互い私服でのプラネタリウムデートも萌える。
新田と、真面目にやる気のない部員たちグループの軋轢。連中は梅本も自分たち側だと思ってたが、梅本は新田につく。
梅本のクラスメートには自傷行為を繰り返すヤバいコがいる。自身もメンタル的に不安定な梅本は共感なのか恐怖なのか、そのコが気になる。
新田は例の一部部員との齟齬からやる気を失ってしまって部長を降りる。だが辞めてからむしろ新田は自由になっていく。
真後ろの席のあっぱらぱーな感じの田所に話しかけられると新田は面倒くさそうにあしらっていたが、体と時間の空いた新田がたまたま入った喫茶店で田所がバイトしていて、田所は実は親が再婚でもうすぐ名字が変わるという非常に微妙な状況だった。田所は不思議ちゃんのようでいて接してみると実は心が自由な(あるいは自由でありたい)子だった。新田と田所も友達になってゆく。
本作もやはり、一見相容れないようなコたちが接近し繋がってく様に百合的萌えを感じて心地良い。
『プロミス 氷上の女神たち』
オリンピックに向けて急造で作られた韓国のアイスホッケーチーム。なんとか集まったメンバーは元北朝鮮の選手で脱北者のリ・ジウォン以外は、ラフプレーで追放されたショートトラック選手のパク・チェギョン、元ホッケー選手だが現在太ったオバちゃん、オシャレと婚活に血道をあげてる元フィギュアスケート選手で現ニート、選手が足りない&日当が出るから加わるアイスホッケー協会の事務員、選手だがまだ中学生の子、監督も親のスネかじりと、ポンコツや素人ばっか。
リ・ジウォンとパク・チェギョンの犬猿の仲ぶりが凄まじくケンカ上等の2人だが、基本的にはこの7人の練習の日々がユル~いほのぼのコメディで描かれてく。
しかし本番の試合を迎えるクライマックスはシリアスで、特に対北朝鮮戦ではリ・ジウォンが脱北時に泣く泣く置いていかざるを得なかった妹が姉を恨んでおり今では北朝鮮チームのエースといってもいいぐらいの選手になっており、かつて友人だった同僚ギョンスンもリ・ジウォンを憎んでいて、韓国vs北朝鮮は私怨が炸裂しまくる死闘になる。
北朝鮮側のリ・ジウォンに対するあまりの村八分・寄ってたかってのラフプレーにあれだけリ・ジウォンと仲の悪かったパク・チェギョンですら激昂。
♀×♀な見どころとしては敵対してたリ・ジウォンとパク・チェギョンの燃える共闘タッグプレー!
激闘の果てにリ・ジウォンに歩み寄るギョンスン。修復される姉妹仲。
試合中に殴り合いのケンカにまで発展したパク・チェギョンとギョンスンが次の大会の試合ではヘルメット越しに笑顔を交わし心の通じ合う友人になっているのも萌える。
女たちの激闘と融和がハード&メロウに描かれるドラマティックな傑作。
『おろかもの』
女子高生・洋子は、結婚式を控えてる兄・健治が浮気してることを実は知っている。兄の婚約者の果歩に対して悪い印象はない。洋子は浮気相手の美沙を尾行し、あげく本人に突撃!
しかし洋子と美沙は互いに印象があまり悪くなく、連絡先を交換して、兄に内緒で2人で会うようになる。さらに洋子が美沙の部屋にお泊りしたり。そして洋子と美沙は秘密の共犯関係を結び、兄と果歩の結婚のジャマを試みてゆく。
そんな洋子の家のドタバタを悪意なく楽しんでいる百合好きのクラスメート、シャオメイ。健治の浮気癖をゆる~くたしなめる会社の先輩。
彼女ら彼らの結婚式当日までの様子が、とても緩やかな時間・ほのぼのコメディで描かれる。
百合的にはやはりなんといっても洋子と美沙の関係。年齢差があり、ましてや洋子からすれば結婚控えた兄の浮気相手であり社会人女性、美沙からすれば浮気相手の妹の学生、そんな本来ならズレにズレた、出会うはずもなければ、まともに関わるはずもなかっただろう2人が友情を育んでく様が心地良い。
しかし健治が浮気癖を悔い改めたことから美沙の存在は宙に浮き、この緩やかな時間・ほのぼのコメディから弾かれるものとなっていく。健治が美沙に別れを切り出し、洋子と美沙は紛糾・決裂。
美沙は健治と果歩の結婚式に乗り込むが、ここでも美沙は完全に浮いており、独り惨めな状況になる。
ところがこの映画は洋子が美沙の手を取り、式場を飛び出してく! ドレス姿で手を取り合って駆け出してく2人を健治の先輩やシャオメイは素敵!と感動しながら見送る、ウルトラCな結末を迎えるんである!
レズカップル誕生なのかどうかはわからない。でも相容れない立場で出会いながら育んだ友情に萌え、さらにこの結末は爽やかな感動を残す。
結婚とはそれまでの家族関係に外部から赤の他人が入って来るものであるわけだが、本作は加えて同性カップル誕生!?で新しい家族のカタチ、新しい人間関係の概念まで提示してるように見受けられる。
…とまぁ俺的に萌える♀×♀映画を挙げてきましたが。
欧米映画のレズ系が1本も出てこない。なんかあっちのは萌えないというか? 俺の百合・レズ萌えの好みとは全然違うんだよな…
たぶんねぇ、いやコレわかんないけどね、欧米ってノーマルかレズか2択な気がする。格闘技もプロレスと総合格闘技の2択。でも日本ってカレーに甘口・中辛・辛口とあるように、プロレスと総合の間にUWFがあったり、ノーマルではないがガチレズまではいかない「百合」がある。中辛なんて外国にはないし、UWFスタイルを外人レスラーは嫌がるし、百合という概念も欧米にはない気がする。
韓国映画には百合を感じることが時々ある。以前どこだろう? タイかどっかかなぁ? の女子学生同士がチューしてる画像見たことあるけど、それも萌えた。不思議なんだけど欧米とアジア系で萌える萌えないが分かれるっぽい。やっぱ欧米の2択の極端さでは「百合」の絶妙な魅力――距離感、手触り、接し合い――は生じないということなのか?
アジア系ではノーマルとガチレズ2元論ではなく、その間がグラデーションになってるというか。1か2ではなく、1と2の間には1.1、1.2… 1.8、1.9とあるような、もっと機微があるというか、レズ一語で片づけられるものではなくもっと豊かな意識の様があるというか。
そういえば邦画の『GONIN』とか、香港出身のジョン・ウー監督作品みたいに、アジア系には絶妙な♂×♂映画があるが、欧米にはコレもない。
やはりどうも欧米圏とアジア圏には感覚に決定的な違いが何かしらあるようだ。
…あ、ガチレズも好きよ?(笑) ただ欧米のレズには「興奮」はしても「萌え」はどうもない、っていう。百合の魅力は奥が深いというか。
女性同士が魅力的であることは百合であろうがレズであろうが論を待たない(笑)。