『バクラウ 地図から消された村』
ギャップに満ちた要素の数々。得体の知れない世界観。どこに向かうのかさっぱり先行き不透明&ジャンルの確定もままならない謎展開(すでにオープニングからホラー曲、和やか曲、宇宙空間でSF、女の顔被って白昼夢的、交通事故現場?でバイオレンスの匂い…とミスリードというかカオスというか)。時々むせ返る原始性。
なかなかトンデモ映画。
ブラジルの僻地の村・バクラウが舞台。もうブラジルって時点で俺らとは縁遠い感じだけど、まぁとにかく田舎というか後進国というかなんもない所。
ドラマも村の長老が死んだところから始まって俺らの生活してる現代社会からかけ離れている。
外界に出てた女性が水を積んで村へ向かうトラックに便乗し帰村する道中でも道路に棺桶とか日本人からすると異質な光景だし、水不足で外から水を取り寄せてるというのも蛇口をひねれば水が出るのが当たり前な日本人にとってはまったく異なる生活模様。
しかし村人はスマホを持っているし先生は授業でインターネットも使うし(子供たちの青空授業でもタブレットが出てくる)、現代であることは見てとれる。
近代以前っぽい世界観にスマホが出てくるだけで異様。土俗的と現代的とが混ざりあってる違和感・異質感。
冒頭の葬儀場面では魔女だ悪魔だと支離滅裂なババアがいて近代以前な異常さを漂わせつつ、葬列はギター弾くジジイとDJのマイクで曲とMCアリっていう、そしてデカいモニター付きの車に遺影映像流れてて写真じゃないのもギャップ(むしろ日本よりススんでる(笑)。ちなみにこのDJはマイクで町内の掲示板代わりなトークやってるのもいい味)。
また、村から嫌われてる市長が懐柔にやって来るが、コイツのアドトレーラーが傑作。やたらド派手でアップテンポに自分PR映像が流れる&バニラバス並みにうるさくて中毒性のある歌が流れまくるのがバカウケ! 映像が途切れ途切れなのがまた妙にリアルでいいんだよなぁ(笑)。村の辺境ぶりとのあまりのギャップ――
重ね重ねここはドコ? 何時代? ってな異質さが観てて異様であり楽しくもある。
…にしても周り荒野という感じの汗臭く埃っぽい世界観であり、近隣では何やら制圧されたエリアがあるらしきことに触れられていてなんだか若干『マッドマックス2』風味もあり、
そんな一方で村の落ち着いた生活模様。財政指数が圧倒的に低く貧しいのは明らかなのだが皆がそれぞれ自由に過ごしながら繋がりもあり孤独死などないであろう村中が顔見知り・家族みたいな感じであったり他人ン家に自然に勝手に入ってきてる(入ってきて構わない)おおらかさ、何で生計を立てているのかよく分からないがのんびりした暮らしぶり(村にないものは外部から仕入れてるが、基本的に村の中だけでまわってるガラパゴス的空間である。加えて先述のマッドマックス2云々の孤立してるっぽい感じもむしろ箱庭感覚というか閉塞空間モノに近い心地良さがある)、男女が普通に一緒に裸で体洗ってたり(日本も江戸時代まではそんな感じだったのに)、恋愛など経由せず結構簡単にセックスしたり、他人の目があっても構わずセックスしてたり、日中に娼婦がすれ違う時にオッパイ出してみせてきたり(主役(じゃないが)の女も普通にオッパイ出るカットある)と“未開の地”感が濃厚な集落で、この制約のない奔放な様が案外観てて心地が良い!
しかし同時に、外部からの来訪者をチェックしてたり(市長が来るのがわかるとすぐさま無人地帯に早変わる。後述のバイカーたちも監視しており、おおらかのんびり生活に見えながら不穏さ・警戒心も有している)、近代文明とは異なる独自の因習じみたものが見受けられたり(変わった風習、踊り、音楽、謎の薬?)、
総じてこの村自体がアンダーグラウンドな匂いが何やらあって、やはり我々からしたら異質な文化圏であることは間違いない。
なので、まずこの異国の生活模様を疑似体験といったところ。
しかしそれで済まず、本作は異次元空間トワイライトゾーンに突入してくことになる…。
村の生命線である給水車及び給水タンクが何者かによって銃撃される、ネット上の地図からバクラウが消える、突然電波が入らなくなり携帯電話が通じなくなる&ネットが切断される、家畜が殺される、近隣の農家の惨殺遺体発見、様子を見に行った村人も殺され、村の上空にはアダムスキー型UFO出現…
村に珍しい来訪者、バイクツーリスト2人組(派手なライダー服があまりにも異質で宇宙人的違和感がある。ブルース・リー『死亡遊戯』トラックスーツの近未来感・異質感みたいな)。彼らはただ立ち去るが、
村は警戒態勢に入り近隣の武装ギャングに加勢を求め、村中の武器も用意して姿の見えない敵の襲撃に備える。
やがて停電… 子供も殺される…。
だがここまでで描かれてきてるように村側もどこかミステリアスで、双方おかしい。
そしてバクラウ側の容赦ない迎撃が始まる――
観てて片時も飽きない。少なくともストーリーで観てない人はずっと観所が続いてて途切れることがなく全く退屈しない。
(※以下ネタバレ)
未知との遭遇なSFなのか? ミステリー? チュパカブラ的な何か? 怪村モノ? 辺境ホラー?(棺から水が勝手に溢れ出るのは超常的だし、女「さっきも死体を見た」のくだりは怖さも漂う) バイオレンスアクション? 異文化・風習の物語?
…このブラジルのド田舎の村を舞台にした奇妙な映画、終わってみれば、市長が暗殺者グループを雇って不支持層エリアを潰そうとしたが返り討ちに遭ったという、要は村人たちが外敵から村を守る話。
『ランボー4』などと並ぶ目には目をの「やられたらやり返せ」ムービーで、思想的に俺好みの姿勢。
降りかかる火の粉は己で振り払わないとならない。それが現実であり人生であり。
ところが平和ボケした脳内お花畑な甘ったれ馬鹿どもは話し合いで解決するのが文明人と思ってる。いやいや相手が話し合い通じねェ野蛮人だから殺るんだよ!
あのさぁ… 弱肉強食が自然の摂理であって、そりゃそうだ、光合成でもできない限り、生物ってのは他の生物を捕食してエネルギーを得ないと生きていけないんだから、当然生きてくということはイコール戦いであるわけよ。
だがホモサピエンスはやがて他の生物とはあまりカチ合わないような生活圏を実現した。他の生物にはおそらく無い概念の飛び道具(槍投げ、弓矢、あげく重火器。あるいは殺虫剤etc.)で他生物を狩り、あるいは駆除し、また畜産によって狩りをせずとも食肉を得ることにも成功し、弱肉強食から外れたかのような特殊な生活圏を実現した。こんなことを成し得たのは地球上の生物で人間だけだろう。
しかし、やはり弱肉強食というのは厳然とあって、人間社会から外れたらそこは当然相変わらず弱肉強食の世界であり、人間の常識とか認識なんて通用しない。去年大騒ぎの熊被害なんかまさにそう。熊に人間の論理なんて一切通用しないんだから。あっちは人間を八つ裂きにして、かわいそうなんて全く思っちゃいない。思うわけがない。
本来、生きてくうえで他の生物とカチ合うのは当然であって。
だからハッキリ言う、動物がかわいそうだからベジタリアンになりましょうなんて言ってる奴はこの世を生きていく資格はない。
また、異生物間だけでなく人間同士の間でも諍いや争いは途切れることなく常に勃発している。
『ランボー4』で軍事政権に迫害されてるミャンマーの一般人に薬とか本とか持ってって支援しようって宗教団体に、ランボーは武器の支援をしないなら何も解決しないと喝破した。実際その後その宗教団体は軍隊の襲撃を受けて地獄のような体験をすることになる。彼らを救うのは軍事政権に引けを取らないランボーの殺戮スキルと暴虐バトルだ。野蛮人たちは理屈や法律や良心や宗教や社会常識などといったものは一切持ち得ていないんだから、解決方法は「話し合いが通用しない相手には話し合いなどしない。暴力に対するは暴力。それも同等の暴力」なんである。
『バクラウ』という映画もまさにそうで、やられたからやり返しただけ。自分たちの生活圏を自衛したに過ぎない。
大事なのはあの村の人たちは野蛮人ではない事実。暗殺者たちが(最初ただのバイカーのふりして)現れた時、即刻排除はせずさしあたって普通に接する。が、その前に不穏な状況がすでに始まっていたので(といってバイカーたちが犯人かどうかはまだわからないので)、村人の1人は村の資料館を見に行くことを勧める(そこにはどうもこの村の歴史(=自衛・抗戦の歴史)が展示されている。賢明な人間だったら観覧して理解し考え直すところなのだが、当然金で雇われてる暗殺者たちは資料館に立ち寄ることなどなく、結果「賢者は歴史から学び、愚者は体験をもって学ぶ」を身をもって知ることになる(←もう手遅れ)。あとクライマックス前も、暗殺チームが村へ近づいてきた時、弾痕のある警察車両の廃車がある。ここには警察はないし、来ない。かつてやっつけたからなわけだ)。
俺らの日本でも憲法9条改正に反対してる平和ボケしたアホどもがいるけど、日本人と、中国や北朝鮮とかは、倫理がまったく違うからな? 日常生活の道端でもこちらがどんなに安全運転してても突っ込んでくるバカがいるように、日本がどんなに平和を唱えたところでそんなの知ったこっちゃない奴らはやると決めたら侵攻してくる。爆撃、地上部隊が土足で踏み込んできて日本の国土制圧、そして暴力、レイプ、殺人の蛮行が展開し日本人が蹂躙され続けてる時に改憲反対派だった奴らはどう責任とるんだよ? とれるわけないしとる気もないだろ。
頭の悪い奴は予想するとか想定するとか想像力とか危機管理能力ってもんが無いんだよな。
死刑反対派だった弁護士が自分の家族が殺されたら途端に犯人を死刑にしろって手の平返したって話もあるけどさ、
コトが起こった時の用意が平時から出来てないとならない。それが自衛であり、野蛮でもなんでもなく正常であり、度が過ぎる平和主義者こそが異常であり。
(ちなみに、熊を擁護してる奴の実は結構多くが動物愛護ではなく逆に好戦的な奴らで、ただの言いがかり・嫌がらせだと思うよ。人間が他の生物のテリトリーに踏み込んだらやられて当然なように、熊が人間のテリトリーを脅かすようになったらそれは排除されて然るべきなんだ。共生は出来ないが、お互いの縄張りに踏み込まなければ同じ現実世界の中で共に在ることはできる。子供ならいざ知らずまともな大人ならそんな事は当然の考え・姿勢であって、それを今まさに人間が殺られてる時に熊を狩るのはかわいそうとか言ってる奴は、知的障害者(大人のくせに精神年齢低い奴とか異常な平和主義者も含む)か、理不尽なことをワザと言って嫌がらせがしたい糞どもか、どちらかだ。悲惨な事件があった時に信じられないことに被害者を冒涜してるキチガイどもがいるだろ? あいつら愉しんでんだよ。水に落ちた犬を打ちたがる(叩きたがる)奴らというのがいて、まぁイジメがしたくてしょうがない霊位の低過ぎる連中ってのが潜在的にかなりいるわけだよ社会には。池袋で飯塚が母子を原型がわからないぐらい轢殺した事件で母子のダンナさんに誹謗中傷書き込んでた奴らと、熊の駆除に対して熊かわいそうとかホザいてる奴らって、そのうちの8割ぐらいは実は同一人物たちなんじゃないか?と俺は踏んでるけどね。)
だが本作、それで終わってはいない。
グローバリズムへの抵抗。文化やマイノリティの尊重。
『バクラウ』はアメリカの他国(あるいは他文化)への侵略や介入の歴史・関係性(南米、インディアン、ベトナム、白人至上主義etc.)みたいな解釈をしてる人たちもいる。(当然村の方が侵略・介入された側で、暗殺者チームの方がアメリカだ。)
この映画、宇宙人の侵略SFか? 闇鍋映画? カルト映画? とか思ったら、実はサスペンスの皮を被った社会派映画であることが解かる。
あるいは、いわゆる「ナメてかかったら相手が悪かった!系映画」でもある。
話の骨格としてはむしろオーソドックスといえ、探せば過去の映画でこのパターンの物語は掃いて捨てるほどあるのではないか?
しかし本作は明らかに異様な手つきの映画であり、まぎれもなく唯一無二な作品足り得ている。
映画というものは“どんな話か”ではなく、“どう描くか”が重要であることを如実に物語っていないか。
これまでどれだけの数の物語が口伝・書物・演劇・テレビドラマ・映画・ネット公開前提製作作品etc.で描かれてきたか? 物語のパターンはもう出尽くしているといっても過言ではない。そんな中で問われるオリジナリティは、どんな話かではなくどう描くかにかかっている。そこに才気が問われる。
この点で『バクラウ』は問答無用の屹立したインパクトを発しまくっている。
また先進国社会・システム社会だったりクリーンな世界とはまるで異なり、横溢する土着パワー、逞しさ、性的な奔放ぶり、エネルギッシュさ… 生きていくのにマッチョである必要はないがタフである必要はあり、そんなタフさに満ちた、実は『ツイスター』などのフィジカル系映画でもある。我々が日常生活生きてて悩みや面倒なこととかいろいろ些末な事、シミったれた問題などあるわけだが、そんなもん吹っ飛んで現実認識に風穴を開けてくれる(というかこっちの方が本来的な生だよなという)、人生を生きてくうえで観ておくべき「必修科目」映画の1本だろう。
バクラウの人々の普段の自由でおおらかな日々もそうだし、やられたらやり返すもだし、現代社会に辟易してる人にとっては憧憬すら感じるところがある。バクラウのような生活は野蛮どころかむしろ至極真っ当だよな、っていう。
実働1日8時間以上の週5~6勤務が当然ってなってるけど、実際のとこは異常だぞコレ? 1日8時間以上も稼働し続けてる生物なんて地球上に人間だけだっつーのよ。それで職場でストレス溜め込んだり、挙句の果てにはメンタルクリニックに通院とか過労死とか、どうかしてるぜ? 「生きる」ってそういう事じゃなかったはずなんだけどな。
そういうとこ改めて気づかせてくれる映画ってのがあって、『バクラウ』もその1本に入るだろう。
加えて、ましてや現代は見当違いなデジタル社会であり、俺たちは物理現実で生きている生身の存在であるという ごく基本的なことを失念してる奴が多くないか? 特にネットネイティブだのZ世代だのといった連中は、なおさらこういった映画観て(疑似体験して)現実の実相・現実の手触りとでもいうものを学ぶ必要があるだろう。
平和ボケしてる連中もだけどさ。
実際に戦場とか毒蛇蠢くアマゾンの奥地に行ってこいとは言わない。映画を観ることで疑似体験する、こういうエリアや文化や生き方が他所にはあるのだと知る、自分の経験や知識だけが全世界ではないのだと自覚する… 映画鑑賞にはそういう価値・意義もある。
ちなみに俺が本作で一番好きなのはジイさんが全裸でウロついてるところを急襲された時の反撃及び同じく全裸デブ女性の銃撃アシスト場面。普通にフルヌードな土着性というか溢れまくりのナチュラルさと頭吹っ飛ぶ強烈な暴力性ダブルパンチの絵面の強烈な原始性がもう現代では尊いと言っても過言でない、“これがありのままの自然界だよ”ってな名シーン!








