ボイトレレッスンはどんなことをするのですか?【ボイストレーニングレッスンの中でのQ&A】
先日、体験レッスンを受けに来られた方がいらっしゃったり、ウクレレの生徒さんから内容を聞かれたので、今日はそんな話です。ボイストレーニングレッスンは、目的とするところは同じだと思いますが、先生によってアプローチがさまざまです。わたしの場合は、歌は体が楽器なので、まず楽器のチューニング、つまり発声を整えるところから始めます。恩師から、指導の手順として「声が整っていなければ、歌唱の表現を教えたとしても、再現できない。だから、まずは発声の指導をして声を整えるべき。」と言われたことがありますが、実際に自分が教え始めてから、その意味を実感しています。ですので、時間はかかりますが、最初のうちはレッスンの半分以上は発声練習に費やしています。遠回りをしているように感じるかもしれませんが、声の土台ができてしまえば、そのあとは歌唱指導を受けてもスルスルと吸収できるようになります。発声練習は、裏声3種、地声4種の7つの喉のフォームをマスターする事がメインです。声帯が自由に動ける為の足場枠を作る、喉の筋トレのような事をしています。具体的に言うと、短3度音程を(ドミ♭ドミ♭ドなど)「ホ」や「マ」や「イ」で歌ったりする音階練習のバリエーションだと思ってもらっていいと思います。そうやって、地声と裏声を融合しやすくし、声の自由度を高めていきます。さて、レッスンでは発声練習のあとに、歌唱などの時間になります。ここでは、本当に生徒さんの好きな曲を持ってきてもらい、少しずつ曲を完成していきます。課題曲集があるわけではなく、曲を選ぶのも課題の一つと考えています。それに、好きな曲でなければモチベーションも上がりません。楽しめる曲を練習してもらっています。歌唱の時間にはメロディとリズムをしっかり覚えてもらいます。歌詞ではなくラララで歌って音程の確認、ラップ風に、メロディなしで歌詞を喋る感じでリズムの確認、をそれぞれやってもらいます。普通に歌うと、音程も難しい、リズムも難しい、となるので、細分化して練習するのです。声がある程度整ってきている方には、一緒にアーティストの演奏を聴いて曲の分析をしていきます。ブレスはどこか、アクセントやシンコペーションはあるか、どんなノリの曲か、曲の構成に合わせた歌い方は、などなど。そうやって、歌の枠組みを整えてやる作業がレッスンのメインの内容です。ですが、本当の狙いは、各生徒さん自身が持つ本来の声を出してもらえるようにすることです。本来の、自分の感情や内面が伴って声が出て、曲通りに歌えたら、それだけで感動する歌になると思っています。実際、そういう声が出たとき、生徒さんは、鳥肌が立った、とかテンションが上がっていた、という感想を持たれます。少し飛躍しますが、「その人が存在するだけで、感動的」なのかもしれない。そんな風に感じています。