こんにちは。

大人になってからボイストレーニングを受ける方が増えています。

ボイストレーニング=ボイトレ、という略し方もわたしが始めた頃は無かった略称ですが、シニア層の方でもボイトレ、ボイトレ、と慣れ親しんだ様子でおっしゃるほど大人の間でもポピュラーになっている実感があります。

さて、よくあるご質問の中に「年をとると声が出にくくなりますか?」というものがあります。

普段、どの程度声を使うか、にもよりますが、あまり使わないでいる方は、声を出すための筋肉が衰え、出にくくなると言えます。また、女性の場合は、閉経後は女性ホルモンの分泌が減り、声帯がむくみやすくなるので、声が低くなったり出にくくなることがあります。

ですが、今までボイストレーニングレッスンを行ってきた実感としては、年齢が上がっても、声は良くなる方が多いです。
子供や学生さんに比べると、上達の速度は遅いですが、時間をかけてレッスンを受講して頂くと、必ず良くなります。

実は、ボイストレーナーになりたての頃は、わたし自身、大人、特にシニア層の生徒さんが上達してくれる確信が持てず、悩んでいました。

ですが、今、レッスンを受講して下さっている中高年の生徒さんは、確実に力をつけておられます。今は確信を持って、きちんとトレーニングすれば、歳を重ねても声はよくなると言えます。

ボイストレーニングの方向性は、子供でも大人でも同じで、喉の周りの筋肉群に神経支配がいくように鍛えていく、ということです。筋肉は、何歳になっても鍛えることができます。ということは、理屈から言っても、何歳になっても、声は良くなると言えるのです。

ちなみに、大人になってからでは上達しにくいように感じるのは、子供のころと比べて知識や能力の吸収が遅くなるから、ということもありますが、実は、仕事や家事などで練習時間が思う存分取れていないことが大きな原因のように感じています。

逆に言えば、年齢を重ねて、子供の頃のように吸収のスピードが落ちたとしても、レッスンの時間以外に、どれだけ練習時間を確保するか、効率よく練習するか、で補っていくことができると思います。

歳を重ねることは、不安も伴います。ですが、色んな工夫をしていくことで、カバーできる事、というのはたくさんあります。未来を恐れてはいけないですね。

それに、どんな生き方をしてきたとしても、「確実にその年齢まで時を刻んできた」ということ自体が、本当に凄いことだと、人に対しても、自分に対しても、いつも思っています。歌には積み重ねてきた年月による、その人のパーソナリティがあらわれます。

大人になってから、さらに歌声に魅力が出てくると素敵ですね。