ロシアの天然ガス輸出量が下がり、世界的に一次エネルギー不足となっています。

 

お客様より「ロシアとウクライナの情勢の影響で電気代って高くなるの?」と質問がありました。


現在の電気代増加リスクを解説します。

 

電気代は現状28%UPで月に2520円値上げになり、2022年4月時点でまだ戦争の影響は加味されていません。

さらに、ガソリン代についても高騰が続いています。

 

 

こんにちは、成功電気の今井です。

愛知県北名古屋市で住宅の電気設計を20年ほど続けています。


主に住宅の蓄電池、太陽光発電、V2Hやスマートホームの

 

設計施工を500件以上実施しています。

 

 

もくじ

中部電力の電気代

ロシアの輸出量

日本のエネルギー事情

電気代に含まれるエネルギー単価

まとめ、今後の予測

うんちく、ガソリンの事情

 

 

 

中部電力の電気代

 

中部電力の電気代単価について調べたところ

 

2022年4月の単価は、3~6か月前の価格により決定しているので、

ロシア、ウクライナ情勢の影響は6月から反映されてきます。

 

石油は2.75%、天然ガス(LNG)47.92%、石炭42.75%の比率で電気代に影響してきます。

 

しかし、2021年末にかけ一次エネルギーが高騰してきた影響により既に

2021年2月の燃料調整費-6.17円

2022年2月の燃料調整費+1.17円

 

1年で7円の単価アップとなっています。一般的な電気代単価25円とすると28%の上昇となっています。

月に1万円の電気代だった場合12520円と、月に2520円値上がりします。


https://miraiz.chuden.co.jp/info/press/1207798_1938.html
中部電力 2022年4月分電気料金の燃料費調整について

2020年9月では30250円だったLNG(天然ガス)が
2021年11月には84510円と3倍近く上昇しています。

 

前年と比較した場合は、前年の発電需給バランスの影響で電気代が高騰したこともあり

めちゃくちゃ高くなった。と感じることはなさそうです。

 

 

 

ロシアの輸出量

電気にはエネルギーとしての価値があります。
ロシアの輸出量は


世界の石油輸出額 国別ランキング2位 83200百万US$(2021年) 石油生産量は世界の13.5%
世界の天然ガス輸出額 国別ランキング1位 33006百万US$(2021年)天然ガス生産量は世界の16%

(アメリカのシェールガスが採算割れし事業者が次々に撤退したためロシアの天然ガスが現在1位)
となっており、両方合わせると世界1位のエネルギー生産国なのです。

2021年8月天然ガス生産量は577億㎥(約2.0TCF)×12ヵ月=6684億㎥/年

日本向け天然ガス輸出量は全体の30%以上にもなっています。

 

LNG100万t ≒天然ガス14億m3

1.054 GJ = 252,000 kcal ≈ 25 m3 of natural gas ≒ 天然ガス25m3

2018年ロシアの天然ガス供給量20,387,149(兆J)

から、GJ 対 兆J=9乗 対 12乗  

 

ロシアは天然ガスが上記のとおり特に多く、タンカーやパイプラインを使い輸出しています。


ロシアへの経済制裁、国際決済網SWIFTからの排除されました。

決済ができないすべてではないにせよ、買ったり売ったりしたときに例えば、

クレジットカードなら「このカードは使用できません」となります。


さらにルーブルの暴落、インフレにより経済のダメージが大きくなっています。

 

 


日本のエネルギー事情


日本のロシアからの輸入量
 石油は4.4% 177043百万kℓ 日本では5番目に多い輸入先
 天然ガス(LNG)は7.9% 8055万t 日本では3番目に多い輸入先(㎥換算すると1120億m3)

2018年において、世界のLNG貿易の26%を日本の輸入が占めました


2017年1月には米国からのシェールガスを原料にしたLNG輸入が開始


LPガスの国産、輸入別の供給量 
LPガスは、天然ガス生産からの随伴ガス、原油生産からの随伴ガス、さらに石油精製過程などからの分離ガスとして生産されています。LPガスの供給は1960年代までは、国内の石油精製の分離ガスが中心でしたが、1980年代まで年々輸入の比率が高まりました。
その他のエネルギー精製の副産物
  LPガス 1063万tが総輸入量 天然ガスの17%の量を利用しています。

 

 

ロシア経済制裁で、輸入できなくなる問題が発生します。そうすると、

エネルギー問題には、環境対策に関わる問題、安全保障や地域の問題、輸入の問題
エネルギーは経済活動する源、不足すると輸送できない、電気使えないなど衣食住全般に影響が出てしまうとても大きな問題です。

日本では2つの問題が発生
 ひとつは、

他の国が輸入できなくなり世界のエネルギー供給が減少して燃料の価格が上昇
 もうひとつは

代替えエネルギーを世界的に使用するため、燃料価格高騰が他にも波及する。

 

 

参考文献

ロシアのエネルギー供給が欧州と日本の電気料金に与える影響
https://www.renewable-ei.org/activities/column/REupdate/20220323.php

"日本経済見通し:2022年3月
ウクライナ情勢の緊迫化による日本・主要国経済への影響"
https://www.dir.co.jp/report/research/economics/outlook/20220322_022928.pdf

 

 

 

 

電気代に含まれるエネルギー単価

エネルギーは石油、天然ガス、石炭、原発、再生可能エネルギーがあります。

 

日本では輸入に頼らなければならない石油や天然ガス、石炭

こちらは安全保障の影響、海外の情勢の影響を大きく受けます。

そのため、電気料金もこの部分については変動制を導入しています。

 

原発は燃料の輸入の影響は少なく、発電設備の場所(危険性)リスク、核廃棄物の処理問題(ゴミ箱のないマンション)

があり、いまだ解決できず、プルサーマル計画によるごみ問題解決も暗礁に乗り上げました。

電気料金としては、電気代単価に運転費が含まれ、託送料金に賠償金と廃炉費用などが含まれすべての消費者が支払う体制を導入しています。

 

残る再生可能エネルギーについても課題が多々あります。

太陽光発電について

天候や日照条件などにより出力が不安定であるという課題も残されています。

特に九州、四国地域では需要に比して大規模な導入が進んでおり、近年は太陽光発電のピーク時にエリア内電力需要(1時間値)の8割以上になることもあります。

導入が進展する地域においては、午前の残余需要減少及び夕方の残余需要増加の度合いが以前より急激になっており、系統運用上の課題となっています。

太陽光導入量が多い九州エリアではこの問題が特に顕著であり、太陽光の出力変動に対し、火力、揚水等だけでは調整が困難になり始めたため、2018年10月に計4日、離島を除き国内で初めてとなる太陽光の出力抑制を実施しました。

太陽光発電のさらなる導入拡大のためには、コスト低減に向けた技術開発や出力変動への対策を進めることが重要です。
 

再生可能エネルギーの電気料金は、ベースは電気代単価に含まれ、固定買取の過剰分は再生可能エネルギー発電促進賦課金として別単価で各電力会社すべてが支払う体制となっています。

 

昨年と比較し10%以上の価格上昇
"2022年度の再生可能エネルギー発電促進賦課金単価
     供給電圧    再生可能エネルギー発電
促進賦課金単価(税込)
1kWhにつき    全電圧共通    3円45銭"

 

 

補足ですが地熱発電は
日本が世界第3位の資源量(2,347万kW)を有する電源となっています。
しかし国際的に見ると、地熱発電導入量の日本のシェアは4%程度となっており、ケニアに次いで世界第10位の規模

せっかく資源量はあるのに開発費用をかけず地熱発電業界では1歩も2歩も出遅れている状態です。




まとめ、今後の予測

ロシア情勢の影響により電気代は長期にわたり上昇していくことが明確となっています。

 

昨年末からエネルギー価格上昇の影響もあり、すでに電気代が上がっているのも

「これが戦争の影響かな」

と誤解されている部分もあります。

 

合わせて、日本の貿易収支が数年前から赤字となり、日本円が売られ始め円安が進んでいます。

この影響により、さらに輸入しなければいけない石油や天然ガス、石炭価格を押し上げます。

 

2000年代では1KWh20円だった電気代が

2022年には30円となり、22年で1.5倍となりました。

実は電気事業法に年率2%の値上げまでは事業者の判断で実施可能と書いてあります。

すなわち、法律通りに電気代は上昇しています。

輸入コスト増大は、この内容とは別ですが

2032年には36.57円以上にはなる予定です。ドイツでは1KWh44円を超えています。

 

世界のインフレ率が2%なので、輸入が多い電気代は国内インフレ率とは関係なく上昇していきます。

 

ガソリン代についても、情勢不安と今後円安が進めばどんどん高くなる可能性が高いです。

 

 

 

うんちく、ガソリンの事情


2022年3月27日現在 ガソリン平均価格は168円となっています。

 

1バレルは159リットル
2022年3月27日現在 1ドル = 122.06円
原油価格 OPECバスケット        106.33$/バレル 22/03/20週
ということは、1バレル×122.06円=12978円÷159ℓ=81.62円


精製や輸送販売コストなどを割り出してみます。
本来のガソリン税(本則税率)は、28.70円。それに25.1円の暫定税率を合わせた53.8円が、ガソリン税です。

これに加えて石油税(2.8円)、そして消費税(10%)がさらに加算
ガソリン単価が170円とすると、(170÷1.1‐53.8-2.8)=97.95円
97.95-81.62=16.33円 原油がガソリンにすべてがなるわけではないので一概には言えません。
石油のもとである原油を加熱分解すると、ガソリン、灯油、ナフサ、軽油、重油などになります。


一回の精製で出来る『連産品』の割合は、原油の種類(産地)によってほぼ決まっており

日本が主に輸入している中東産の原油(重質油)からはおよそ

ガソリン24.5%、軽油19.2%、C重油16.4%、A重油12.1%、灯油11.7%、ナフサ7.8%、ジェット燃料油4.7%

潤滑油・その他3.6%
 

 

 

おわり

 

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