アフリカで勝利を重ねるスキピオ
アフリカに戻るハンニバル
決戦のとき近し
『アド・アストラ』12巻 11巻でスキピオはついにアフリカに上陸して、カルタゴとヌミディア連合軍を打ち破り、さらに攻め込んでいき、そこで慌てたカルタゴ本国はハンニバルをアフリカに戻す指令を出し、二人がアフリカの地での決戦(ザマの戦い)に進むまでです。
そこには、この帯にある通り、大きな悲劇があります。
感想と展開
11巻で大軍を擁しながらも、ウティカにて、スキピオ率いるローマ軍とマシニッサ(東ヌミディア元王子)らの夜襲の火攻めで大惨敗を喫したシュファクス(西ヌミディア王→統一ヌミディア王)はキルタに命からがら逃れます。
スキピオとマシニッサは、シュファクスを追い、そのキルタに向かいます。
ジスコーネは、農民でもなんでも、兵としてかき集め、シュファクスと共にスキピオ&マシニッサと戦いを挑みます。
紀元前203年バグラデス川の戦いが行われます。
兵数だけでみると、ヌミディア王シュファクス&カルタゴ軍のジスコーネの方が、ローマ軍スキピオ&旧東ヌミディア王子マシニッサを圧倒しています。
マシニッサは、シュファクスから愛しのソフォニスバ(ジスコーネの娘)を取り戻すためにやる気に満ち溢れています。
ここで、スキピオはローマの歩兵の規律を生かした形での包囲戦術を繰り出します。
シュファクスはそれを戦術と理解してはおらず、チャンスとみて総攻撃をかけます。
ジスコーネがそれを包囲殲滅戦術だと気づきかけますが、時すでに遅く包囲殲滅に会います。
シュファクスはとらえられ、マシニッサが統一ヌミディア王として、ヌミディア首都キルタに凱旋帰国することになります。
愛しのソフォニスバを救い出すことができると、喜び勇んでその下に向かいますが、ソフォニスバは、シュファクスの子どもを身ごもっていました。
それを知ったマシニッサは、少量の毒を飲んで堕胎することを求めますが、ソフォニスバは全部飲んで死んでしまいます。マシニッサは愛しのソフォニスバを失い、悲しみに暮れ、ローマとカルタゴの戦いに巻き込まれたことに後悔し、恨み、スキピオらとも別れることになります。
それがこの扉絵の悲劇になります。
一方のイタリア半島南端のブルッティにいるハンニバルの元にはアフリカのカルタゴ本国への帰還命令が届きます。15年間イタリアで戦い続けたハンニバルでした。
そこに朗報も入ります。弟のマゴがアルプス越えしてイタリア半島北部に来ていることで、兵力増強につながると喜ぶハンニバルでした。
しかし、実際には異なっていました。3度目のマゴのアルプス越えは、その周辺にいるガリア人の協力は得られず、大軍のローマ軍により打ち破られ、マゴ軍は敗残のぼろぼろ状態でした。さらに不幸は重なり、ハンニバルとの合流を目指すマゴはその途上で無念の死を迎えます。
弟のマゴの死を知りハンニバルは、スキピオと戦うためにアフリカのカルタゴ本国に戻ります。
ハンニバルにとってスキピオのローマ軍と勝つためには、地中海世界最強騎兵のヌミディアが必要であるとの認識から、マシニッサをハンニバル側につかせようと交渉します。
スキピオ側も、マシニッサ率いるヌミディア騎兵の重要さを理解し、同じく交渉します。
マシニッサは、スキピオを選びます。
ハンニバルはスキピオと和平会談を行うことを決意して、提案します。
しかし、この時点での和平会談は決裂します。
スキピオはハンニバルが何らかの意図があり、それを隠していることを気にしていましたが、そこで象がスキピオ陣営に集められていることを知り、その意図を見抜き
対策のための緊急訓練を実施します。
ついに、次回の最終巻にて、二人の最初で最後の決戦”ザマの戦い”になります。
バグラデス川の戦いでのより進化させたスキピオの包囲殲滅
マシニッサとソフォニスバとの悲劇
スキピオとハンニバルの和平会談
などの見どころはぜひマンガでご確認ください。
次回は最終巻になります。
アド・アストラ 1~10巻まで
『アド・アストラ』1巻は、こちら
『アド・アストラ』2巻は、こちら
『アド・アストラ』3巻は、こちら
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