ハンニバルの包囲殲滅戦法の完成
大スキピオは己の無力を知る
第二次ポエニ戦争”ハンニバル戦争”を題材にした歴史マンガ『アド・アストラ』の6巻についてです。
第5巻から引き続きのカンナエ(カンネ―)の戦いの終焉とその後についてです。
このときの戦法は、ドイツが第一次世界大戦でフランスを攻撃する際の計画「シュリーフェン・プラン」に生かされたという逸話や、第二次世界大戦のナチス・ドイツも、その「シュリーフェン・プラン」をなぞらえるように進軍したという影響を与えたことで戦史に刻まれた大会戦です。
展開と感想
ハンニバルはついに包囲殲滅戦法を完成させ、ローマ軍を完全に包囲して四方八方から殺戮を行います。
包囲網の外のローマ軍騎馬隊の大スキピオは、包囲されているローマ軍を助けるべく、1万の待機兵がいる陣営に救援を求めに走りますが、待機兵たちは包囲に会っているその執政官二人に待機を命じられ出動できないと断ります。大スキピオは救援の必要性を説くが、それもかなわず、貴族とはいえ若造でなんの実権もない自分の無力さを痛感します。
ローマ軍は壊滅状態に追い込まれます。
トビラ絵は、完勝したハンニバルが、まさに冥府の神ハデスのようにローマ軍の死を司るような姿が描かれています。
カンナエの戦いで8万6千のローマ軍を包囲殲滅し、将官のマハルバルらがこのままローマを落とすことを提案しますが、冷徹にハンニバルは反対します。マハルバルはそのことに不満を抱き、ハンニバル軍の中に不協和音が流れ始めます。
ローマは大惨敗に悲嘆にくれます。
そんな中、大スキピオらの敗残兵は、「ローマの剣」こと猛将マルクス・クラウディウス・マルケルス将軍のいるシチリアに送られることになります。
敗残兵らはマルケルスの厳しいことを嘆きますが、大スキピオは、マンガのタイトル「アド・アストラ」の言葉をいい、ハンニバルへの反撃を誓い、シチリアに赴きます。
こちらがその「ローマの剣」こと猛将マルケルス将軍
ここで大スキピオは、早く出世して力を握るため按察官選挙に出馬したいのでその推薦をマルケルス将軍に願い出、マルケルスと決闘をすることになります(どうなるかはマンガでご確認を)。
このマルケルスにもローマより、ハンニバル軍の攻撃に対しカンパニア地方の防衛が命じられ、シチリアを離れることになりますが、そこに大スキピオもついていくことを志願します。マルケルスは、その姿にローマの魂を見た思いがします。
7巻からは、その猛将マルケルスとその下でハンニバル軍と向き合う大スキピオになります。
アド・アストラ 1~4巻まで
『アド・アストラ』1巻は、こちら
『アド・アストラ』2巻は、こちら
『アド・アストラ』3巻は、こちら
『アド・アストラ』4巻は、こちら
『アド・アストラ』5巻は、こちら